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俺の飼い主 僕の異能力ペット  作者: 一つの装置
番外編
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番外編 俺様の飼い主 僕の異能力ペット 新月

メリークリスマスイブ!!

イブ編の続きです!!

「早くそこのゴミを外に持って行きな」

「・・・はい」

「何突っ立ってんだよ。早く行きやがれ!!」

「・・・・・はい」


いつからこんな生活をしていたんだろう。15年程だろうか。思い出せない。学校って所に行ってないからかな?そうだ、昔の事すぎて何も思い出せないんだ。わかっている事はこの人達が僕の本当の親ではないという事だけだ。


「・・・・・・」


僕はゴミ袋を開けてそこから食べれそうなものを口に入れて噛んだ。僕のご飯は自分で見つけないとダメだから、ポテトの袋を舐め、卵の殻を食べ、魚の骨を飲み込んだ。そうしないと死んじゃうから。


「・・・・・・・開けて」


また締め出された。こうなると次に用事ができるまで中には入れてくれないんだ。僕が悪い子だから?今日は寒いし中に入れて欲しいな。この芝生は冷たいな。










ポツン








あ、雨だ。喉が渇いていたからよかった。こうしないと死んでしまう。死んでたまるか。


「・・・・・・・・サンタさん」


今日は12月24日クリスマスイブだ。それくらいは知ってるよ。欲しいなプレゼント。今年はくれるかな?悪い子だからくれないのかな?


「・・・・・・!」


なに?草が揺れてる!?誰かいるの?怖いよ。誰か助けて。サンタさん


「・・・・・・」

「・・うさぎ・・さん」


うさぎさんだ。草むらから出てきたのはとても黒いうさぎさん。とても赤い目で僕を見ている。なにがあるの?


「・・・・・・・」

「・・どうしたの?うさぎさん。口の周り、汚れてるね。おいで」


僕は手を前に出した。するとうさぎさんは睨んだまま近づいてきた。


「・・・・・」

「・・・・・・拭いてあげるね」


僕は自分の服で口の周りを拭いてあげた。うさぎさんの顔はまだ睨んでる。機嫌が悪いのかな?


「・・・お腹空いてるの?・・これ食べる」

「!・・・・・」


やっぱりお腹が空いてたんだ。よかった。魚の骨を残しておいて。全部噛んで食べてる。強い歯なんだ。


「・・・・・どこから来たの?」

「・・・・・・・」

「・・・・・お名前は?」

「・・・・・・・」


答えられないよね。動物は人間の言葉を喋れないもんね。本当にどこから来たんだろう?もしかして!


「サンタさんがくれたのかな!!」

「!!」


僕は勢い良くうさぎさんを持ち上げてくるくる回った。きっとそうだ!サンタさんが僕にうさぎさんをくれたんだ!


「うさぎさんにお名前をつけてあげる。サンタ。アメ。サカナ。イブ・・・・イブ。君のお名前は



















イブ」












僕はイブとともに生きた。今はだいぶ暖かくなってきた。もう5月だからだろう。外に締め出されても寒くない。


「・・・イブ・・ご飯あげる」

「・・・・・・」


イブは家の中には入れていない。入れたらお母さん達に怒られるからね。まだ出会って5ヶ月くらいだけどイブは僕に心を開いてくれたようだ。


「・・・・・イブ・・少し待っていて・・これ捨ててくるから」

「・・・」


僕はお母さんに頼まれたゴミを捨てに行った。早く戻ってイブと遊びたいな。










「・・・イブただいま・・・・イブ?」

「んだよ」


ゴミを捨ててくるとイブがなんだか大きくなっていた。それだけじゃない。日本語を喋ってる。


「・・・・・イブ・・どうしたの?」

「普通の人間だったらもっと驚くところだが、やっぱりお前は驚かなかったな。この身体がどうなったかしらねぇ。だけどよ・・・」


イブは自分の手を顔にくっつけ、身体を仰け反らせると








「キタ!・・・キタ!・・キタ!・キタ!キタ!キタ!キタ!キタ!キタ!キタァァァァァァ!!」

「!!」


嬉しそうに笑っていた。


「俺様の時代が来たんだ!!俺様の復讐がぁ!!今の時代を変える!!最高だ!!最高だぜぇ!!グギャギャギャっ!!」

「イブ・・」

「ああ、すまねぇ。こんなこと言うの嫌だけどよぉ。お前のおかげで俺様はここまで生きてこれた。だから礼がしたい。何が欲しいものはねぇか?叶えてやる。いくつでもいいぞ」

「・・欲しいもの?」


僕は考えた。欲しいもの・・・欲しいもの・・・欲しいもの・・・欲しいもの


「3つ」

「あ?」

「3つある・・いいの?」

「ああ、いいぜ」

「わかった・・・自由になりたい・・お肉が食べたい・・・名前が欲しい」


うん。これが僕の願い事。


「名前?・・そういや・お前の名前聞いてなかったが、ねぇのかよ」

「ないっていうより忘れたんだ」

「・・・・・・・わかった全部一気に叶えてやる」


イブは外に置いてあった鉢を持つと家と庭をつなぐガラス扉に歩いて行った。


「イブも知ってるでしょ・・・中に入るにはもう少し待たないと「知ってるぜ」?」


イブは鉢を扉に投げつけると、鉢が割れると同時に扉が割れた。


「・・・・・・・あ」

「お前はポストを見てこい。そんでもって俺様がいいって言うまで入ってくるなよ」


イブは割れたガラスの破片を持つと家の中に入っていった。僕も言われた通り、ポストを見に行こう。












「・・・・」


この手紙なんだろう。



名無し様



「・・名無し様?僕のこと?」

「おい、待たせたな入ってこい。

「・・・・・・」


戻ってきたイブ僕が小さい時に着ていた、うさ耳のパーカーを羽織っておりそのパーカーは真っ赤だった。出会った時のように自身の目のように赤かった。握っているガラスも赤い。










「ほらよ。食べたがってた肉だ」

「・・・・わぁ」


僕の目の前には生肉の塊が二つ置かれた。僕の家はゴミが散乱して、見るも無残な状態だった。お母さんとお父さんはどこに行ったんだろう?


「どうだ。美味いか?」

「・・・・うん・・美味しいよ」


お肉って不思議な味なんだな。柔らかくて硬くて脂が乗っていてパサパサで、なんの肉なんだろ?


「これでお前は自由だ。それに肉も食べられた」

「・・自由?・・僕自由なの?」

「ああ、もうお前を縛り付けるものはねぇ。あとは名前だが・・おい・・その手紙をよこせ」

「うん・・」


イブは僕から手紙をとると手紙を隅々まで読んだ。すると


「グギャギャギャギャ」

「?」

「最高だ!!最高だ!!グギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」


腹を抱えて笑いだした。口にお肉を入れながら


(脳みそに《異能力ペットを気絶・殺せ》《ポストを見ろ》ってじんじんくるのはこれが理由か?)

「お前の名前決めたぜ!!」

「・・ほんと?・・」

「ああ」


イブは手紙を投げ捨て横に置いてあった雑誌を手に取ると僕に見せてきた。その雑誌の名前は


「・・・・新月?」

「そうだ。夜に光り輝く月が死んだ姿。それがお前の名前・・・











新月」





僕の中の何かが動きだした。



俺様の何かが止まった。



僕の何かが満たされていった。



俺様の何かに穴が開いた。



ああ・・・ありがとうございます。



ああ・・・ありがとうな。












もう俺様達は後戻りはできない。











投げ捨てた手紙は宙を舞った。手紙が落ちると赤で滲んだ。滲んだ部分に写ったものは
























新月様








ありがとうございました!!

次回からもよろしくお願いします!!

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