28話 怒りは敵と思うな
よろしくお願いします!
うさぎを触りたい
「グギャギャギャギャギャ!」
「サ・サシミ?・・何言ってんだよ」
「・・お前は黙って能力半径内にいろ。あいつが息をしなくなるまで殴り続けてやる」
「サシミ!殺すなんて、そんな!」
「トカゲの仇だ」
「サシミ!」
サシミは猫ジャンプで黒うさぎに近づいた、すると黒うさぎは手をこちらに向けた
「プレゼントだ」
「グロォバァ!」
「サシミ!・・・あれって」
黒うさぎの掌からは百円玉がサシミの方へ一直線に噴出した。そう、グラタンの能力と同じように
「(硬貨を生み出す能力)」
「はぁ・はぁ・キャップ犬も・・殺ったのか」
「あ?なんだよ、この能力の持ち主とも知り合いなのかよ。本当に世間は狭いぜ、グギャギャギャギャギャギャギャ!」
黒うさぎは自分の掌で硬貨を転がしていた。その動作はグラタンにそっくりだった。
(あの時逃さずに倒してれば・・クソッ!)
「俺様達は帰る家も金もなくてな、そんな時見つけた、この能力を。これでもう飯に困ることはねぇ。しんげつの大好きな、肉も食べ放題だ。なぁ、しんげつ」
「・・・・・・うん」
「なんだ猫?その顔は?」
「クソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「サシミ!駄目だ!」
サシミはまた猫ジャンプで黒うさぎの元に向かった。そのまま、黒うさぎに殴りかかろうとした。
「ぐっ!」
「グギャ!何度やっても一緒だっての」
「グバァ!」
「サシミ!」
サシミは拳を怪物化し、黒うさぎに殴りかかったが、黒うさぎにジャンプで避けられてしまい、上から、空間から生み出したハンマーで、サシミを地面へ叩きつけた
「攻撃が安直なんだよお前。怒りに身を任せたらろくなことがねぇぜ。グギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」
「う・・がぁ・・」
サシミは黒うさぎに耳を掴まれ黒うさぎに見つめられていた。
「こんなにしぶとい奴初めて見たぜ。どうせならまだ倒れるなよ。俺様は楽しみたいんだ。もっと、もっと、もっと、もっと、もっと!もっと!もっと!もっと!もっと!もっとぉぉぉ!その顔を見せてくれよ」
「・・・・うるせぇ」
「サ・サシミ」
サシミは、黒うさぎの首元に手を持っていき、黒うさぎの首を閉めようとした。力が全く入っていない腕で。
「グギャギャギャギャギャギャギャ!いい!その目!やっぱりお前には近いものを感じてた!お前は俺様にそっくりだ!その目はなぁ!
偽善者の人殺しの目だぁ」
「!」
「お前は自分を正当化してるだけなんだよ。俺は間違ってない。俺は大丈夫ってな。それをなくせば、それを殺せば!!お前は俺と同じになる。グギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!」
「!・・・俺が・・お前と・・・似てるだと・・・・ふざけんな」
「何!?」
すると、黒うさぎの首を締めていたサシミの腕の力がみるみる強くなっていった。
「がぁ!はぁ!(まだ・・こんな力が!)
「・・・似てるわけ・・ねぇだろうが」
「・やめ・ろ、やめろ・・やめろ・やめろ・・やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!やめろぉぉぉ」
「グヴォ!」
「サシミ!」
黒うさぎはサシミの顔を地面に叩きつけた。
「ふざけやがって!痛ぇだろうがぁぁぁ!」
「ブハァ」
何度も
「クソが!」
「ダァハ!」
何度も
「クソが!クソが!」
「ガハァ!ギャブ!」
何度も
「クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソが!クソがぁぁぁ!」
「・・・・・・・・・・」
「サシミ!サシミ!」
叩いた
「あ?死んだか。呆気ねぇ最後だったなぁ」
「・・・・・・・・死んでねぇ・・よ」
「は?ビボラァ!」
「サシミ!」
「・・・・・・・イブ」
黒うさぎはサシミの耳を掴んで持ち上げた。するとサシミが右拳を怪物化して黒うさぎの腹を殴った。黒うさぎは自分の飼い主の方に飛んでいった。しかし飼い主は黒うさぎの名前を口ずさんだだけで、それ以外何も行動を起こさなかった。
「サシミ!」
「はあ・はあ・はあ・やったか」
「・・・やってねぇよ」
「!」「そんな」
黒うさぎはこちらに向かって歩いてきた。その顔は笑っていた。
「ち・ちく・しょう」
「サシミ!」
「おっと!猫の飼い主はそれ以上こいつに近づくなよ。グギャギャギャギャギャギャギャ」
「あ・足が!」
サシミはその場で倒れてしまった。
禎の足は氷によって拘束されてしまい、全く身動きが取れなくなってしまった。
「さぁ、猫、どの死に方がいい?お前のお友達と同じで顔を焦げ溶かされるか?それとも、お友達の能力で死ぬか?どっちがいい?グギャギャギャギャギャギャギャギャギャ」
「はぁ・はぁ・黙れ・・クソうさぎ」
「せっかく選ばせてやったのに、そんな態度をとるんだったら、もう選ばせてやんねぇよ。お友達と同じように、顔を爛れさせて死にやがれ」
「はぁ・はぁ」
黒うさぎの掌が、熱を帯びると、黒うさぎの手はサシミの顔に向かって伸びていった
「サシミ!サシミ!」
「はぁ・はぁ」
「じゃあな。楽しかったぜ」
グサッ
「あ?」
「はぁ・はぁ」
「え?」
黒うさぎの手はサシミには当たらずその手には代わりに
刀が刺さっていた。
「全く、昼間に冷えピタを買いに行けばよかったな。こたろう」
「ゴホッ、コホッ。ああそうだな」
「お前・・ら」
「な・何で」
サシミ達の後ろに立っていたのは、剣山と虎太郎だった。剣山は自身が生み出した、刀をピンポイントで黒うさぎの掌に刺したのだ。
「こたろうの冷えピタを買いに、薬局に行ったらこのザマだ。サシミ、どういう状況だ」
「コホッ、ゴホッ」
「見れば・・わかるだろうが。俺がうさぎを殺そうとしてんだよ」
「・・・・違うだろ」
剣山は今起こっている状況を整理した。
「クソが!また異能力ペットか!いてぇなおい!」
黒うさぎは剣山の刀を掌から抜くと怒りをあらわにした。
「成る程、あいつを倒せばいいわけか」
「何で・お前らが・・・俺達の味方をするんだよ」
「勘違いするな。俺はこいつの方が危険だと判断した。だから先にこいつを倒す」
そう言って、黒うさぎの方にある刀を消し新たな刀を生み出した。
「刀を生み出す能力か。流石に瀕死とは言え二対一、しんげつ、引くぞ。俺様は一対一の方が好みなんでね」
「・・・・・・・・・」
すると、飼い主はパーカーを拾い黒うさぎを抱えながら歩いて行った。
「おい!・・待ち・やがれ!」
「あ?」
サシミが倒れながら黒うさぎに話しかけた。すると黒うさぎは、こちらを振り返った。
「お前・・名前は・・・何だ!」
「俺様の名前か?俺様の名前はイブ。いずれこの異能力ペットバトルの頂点に立つ異能力ペットだ!」
「イブ・・・・決めたぜ。お前があの手紙に乗るまで俺は、絶対に負けない。覚えてやがれ!」
「グギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!期待してねぇよ。グギャギャギャギャギャギャギャ!」
「今追っても、無駄か」
「コホッ」
「サシミ!」
剣山は刀を消した、それと同じタイミングで、禎の足の氷が割れた。イブが能力を解除したのだ。
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「あそこで倒れてる犬と飼い主はお前らだが倒したのか?」
「ああ、そうだよ。どうやら元々、飼い主が気絶してたら、自分の異能力ペットがやられて能力半径内にいても、飼い主はダメージを喰らわないらしいな」
すぐそばで禎が豆太達を草むらに連れて行っている、倒れたままの豆太とその飼い主を見ながら剣山達は話していた。豆太は普通の柴犬に戻っており、顔はボロボロであったが、飼い主の方の顔はボロボロではなかった。
「そんな事よりサシミ、さっき、殺してるとか言っていたな。どうゆう事だ」
「あのうさぎは、俺の友達を殺したんだ。その仇打ちだよ」
「その友達か?真似をしたのは?」
「そうだよ」
「いいかサシミ、お前が勝とうが負けようが、俺には関係ない。ただ一言だけ言っておく、殺すな。誰も、お前の手で殺すな。殺したその時点で、お前はあのうさぎと同じになるんだぞ。そんな奴には絶対に成り下がるんじゃないぞ。確かにこれは命をかけた勝負だ。しかし『死ぬ』や『殺す』を考えるんじゃなくて『生きる』や『生かす』を考えろ。俺が言いたいのはそれだけだ。今回はこたろうを助けてくれた恩だ。見逃してやる。また万全の状態でお前をブチのめす。こたろう、帰るぞ」
「ゴホッ、ああ」
「・・・・・・・・・・・」
サシミは剣山達が見えなくなるまで見続けていた。
「サシミ?どうしたの?運び終わったから、帰ろ?あれ坂出くん達は?」
禎はサシミに近づいて来た
「・・・・・・・・・・・」
「サシミ?」
「クソっ・・・・・わかったよ剣山。一言じゃねぇよ。それ」
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