気弱な高校生は魔王の夢を見る
目の前には謎の女性。
何処までも続く白い空間。
手には止まったハンド○ピナー。
あれ? どうしてこうなった?
あ、そうだ。学校帰りに何か足元に空き缶があって滑って転んで気がついたらこうなったんだった。
んで、この女の人が、
「これから魔王になってもらいます」
とか言ってきたから全力で拒否したらなんか怒らせちゃいけない的オーラだすからしょうがなく引き受けたんだった。
「これから貴方には王国を倒して世界統一してもらいます」
「はぇー。そーなんですかー」
つい口からそんな言葉が吹き出してくる。
なんかこの人が言うには今その世界は王国と魔族で対立してて魔族が劣勢なんだそう。
んで、その魔族の王様、魔王が殺られちまって、そいつの跡を継げる程力のある奴もいなかったから魔王が伝えた秘術で異世界から誰か召喚するっていって、白羽の矢が立ったのが俺だったってわけ。
正直さ、どーでもいーんだけど、この人怖いから言われるように魔王やってやんよ。
「それでは、お願いします」
地獄としか思えないスマイルを出しながらお辞儀してくる。
と同時に転んだ時と似たような感じになる。
しょーがない。やってやんよ。
気がついたら中世の城の様なところにいた。
回りには魔方陣的なアレがある。
ってかなんか回りの魔術師的なアレがこっち見てザワザワしてる。
「あ……貴方様が魔王様……です」
こっちをうかがうように声をかけてきたのは……なんだこいつ。
くっそ弱そうなんだけど。
男だけど痩せすぎじゃね?
ってか言葉通じんのな。まじか。
「どーも。異世界からやって来ました。上といいます」
近づいてきた奴に返事してみた。
スッゲーモジモジしてる。面倒。
あの女の人が怖くなければなぁ……良かったのに。
色々聞き出した。
まぁぶっちゃけあの人に聞いてたまんまだったので途中できったけどね。
「王国倒せばいいのね。オッケー、案内して」
「はは!誰か上様をご案内しろ!」
なにこれ。超待遇いいんだけど。もうここに住んでもよくね?
めっちゃいいやん。王国すぐ倒そ。
……あれ? 俺運動とかマジで無理なんだけど。
戦場ってここか。まぁ知ってたけどさ。
分かりやすく言うと……まぁ、戦国時代の戦争だね。
歩兵らしき連中がかたまって剣やら槍やらで攻撃してる。
でも魔王の配下の連中は数も少ないし武装も整ってない。体格的にも劣ってる。
こりゃ劣勢になるわ。
んでも、コイツらには弱点がある。
くっそ軽いのだ。
もう塵とかそういうレベル。
踏まれても紙くらいだし。
槍で刺されても蚊に刺されたみたいなもん。
毒とか塗ってたら別だけどね。
魔王勢は皆俺が下がらせた。
ハンド○ピナーを回す。
王国勢が吹っ飛ぶ。
ため息をつく。
王国勢がむせる。
めんどくさいので全力で息を吐いた。
王国勢が全滅した。
戦争用語とかではなくマジで。
なんか一人だけ装備が豪華な奴がいる。死んでるけど。
あー、こいつが国王か、残念だったな。
俺を敵にして。
なんかまた転んだ時のような感じになる。
また件の女性に会った。
「ありがとうございます。助かりました」
「いえいえ」
あなたが怖いだけですんで。
早く帰らせて。怖い。
「お礼という訳ではありませんが、こちらをどうぞ」
「あ、どうも」
なんか新型のハンド○ピナーもらったやった。
「ではさようなら。また会うことを楽しみにしてますよ」
「さようなら」
俺はもう二度と会いたくないがね。
てか誰だったんだろ。あの人。
気がついたら転んだところまで戻ってきてた。
よし、帰るか。
そう考え、もらったハンド○ピナーを回した。
好評であれば次回つくるかもです。