第6話「刀」
無理して沢山書いて投稿するのではなく、短く書いて投稿しよう。
「随分派手にやったな」
そう言って折れた剣とボロボロの防具を受け取ったガンツはどこか嬉しそうにしていた。
「ゴブリンキングがいた群れを一人で相手したんだからこうなるわな」
「その話知ってたんだ?」
「冒険者界隈だと有名だぞ、Fランクの新人がゴブリンキングを一人で群れごと倒したなんてな、それにCランクに上がったんだろ?新しい武器も必要だろうから色々考えてたとこだ」
するとガンツは奥から様々な大きさ長さ形の剣を持ってくる、普通のロングソードからクレイモアやバスターソード、変わった物だとグラディウスやショーテルなんかまであった。
「とりあえずこの中の剣全部振ってみろ」
「これ全部・・・」
それから一時間ガンツに渡された剣を振り続けた、クレイモアやバスターソードを片手で振るとニコニコしながら「それならこれはどうだ!?」と喜びながら降らせる、店の前を通る人がおかしな物を見る目で通るのが辛い。
「ふ~驚いたぜ、俺には【看破】とか【鑑定】みたいなスキルは無いから細かい数値は分からねえが、最低でもSTRが300はあるだろうな」
「まあね、あと『侍』てジョブになったんだけど刀ってある?」
「・・・驚いたな、まさか勇者以外でそのジョブになれるやつがいるとは思わなかったぜ」
それまでの経緯を説明すると誰にも言うなよと念入りに言われた。勇者固有のジョブになったなんて言えるわけがない。
「しかし刀か・・・一本だけならあるぜ、ちょっと待ってろ」
奥に行って少しすると古い木箱を持ってガンツが帰ってきた。机の上に置き箱を開けるとそこにはユウキの知識にある刀が入っていた。
「こいつは俺の爺さんが友人から貰ったものでな、誰も鞘から抜いたことがない刀なんだ。」
「誰にもってどういう事?」
「何が条件かは分からないがこの刀は【使用者制限】が付与されてるんだ、【使用者固定】ならこいつの持ち主しか抜けないんだが、【使用者制限】は条件さえ満たせば抜くことが出来る。物は試しだ抜いてみろ」
左手で鞘を持って右手で柄を握る「いくぞ」そう言って引くと抵抗なく少しずつ鞘から刀が抜けていき、刃が見えてきた。直接刀を見るのは初めてだったがこれだけは分かる。
「綺麗だ・・・」
素人目で見ても分かる程の綺麗な白い太刀だった
「なぁ、この刀を売ってくれないか?」
「ふんふ~ん」
鼻歌を歌いながらユウキは町を歩いていた、ガンツからお前以外に使える奴もいないからやると言われたが流石にそれは悪いのでゴブリンキングの討伐で貰った金を全部渡した。
ガンツから刀を受け取った後、鑑定眼を使ってみた。
[名前]:聖刀 響(2級)
[スキル]:使用者制限・不壊・光属性・切れ味激化・魔法干渉
[説明]:元々この世界には存在しなかった剣、異世界より召喚された初代勇者の知識と仲間のドワーフの鍛冶師とエルフの賢者によって作られた【四聖刀】の内の一本、この刀は穢れず壊れず魔を払う。
どうやら【使用者制限】が掛かっている物は持ち主以外に名前やスキルなどが見えないようになるらしい、持つだけなら誰でも出来るらしいが。
Dランク冒険者になればスキルの付いた武具を身に付けるのは当たり前なんだとか、その分お金は掛かるらしいが。
なので次は防具を揃える為に街の近くにあるダンジョンに潜ってみることにした、西門から出て一時間程進んだ所にあるCランク迷宮〈鬼の戦場〉、迷宮にはランクがつけられていて、Cランク迷宮ならばCランク冒険者で作られたパーティーで入る事を推奨している。元々迷宮にはモンスター以外にも罠もあるのでパーティーで入る事を冒険者ギルドでは推奨している。
「まあ今の俺には関係ないよな」
ユウキは単身で迷宮の入り口に立っていた。迷宮の近くでパーティーの募集があると思ったのだが、そういうのは冒険者ギルド内でしており、わざわざ現地で募集するのは何か裏があるような危ない賭けなんだと入り口の近くにいた先輩冒険者が教えてくれた
「自分の成長性に期待して進むか」
そう言って〈鬼の戦場〉へと入って行った。