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転生者の異世界冒険譚!!  作者: まっち
5/7

第5話「忙しい日」

鍋が美味しい季節になりましたね

「疲れた~」


あの後、すぐにギルドを出て宿屋に向かった。さすがにもう眠気が限界なのと、あそこにずっと居ると何があったか聞かれそうだったからだ。

さすがに登録初日にDランク冒険者3人をボコボコにしたのは拙いと気づいたのは終わってからだった。


「でもこの宿屋はあたりだな~、ベッドは柔らかいし綺麗に掃除はされてるし満足!まだ夕飯の時間には早いけど何か食べて寝るか」


部屋を出て一階に降りると正面玄関と受付があり、階段の反対側には20~30人位の人が座れるテーブルとイスとカウンターがある、カウンターからは厨房の中が見えていた。宿の食堂らしくキッチンからはトントンと包丁の音が聞こえていた。


「すみませーん、何か食べれますか?」


「シチューとパンなら出せるがそれでいいか?」


「お願いします」


エプロンを着けた50代程の、頑固親父って言葉が似あうこのおじさんはこの宿のコック長(一人)のダンさん、受付にはダンさんと同い年の奥さんのファンさんが宿の管理をしている、夫婦で経営しているらしく、息子が一人いるらしいが今は王都で冒険者をしていてちょくちょく顔をだしているとか。


「ふーお腹いっぱい、コック長美味しかったよ」


「そうか、次の飯も期待しておけ」


そう言って厨房で晩飯を作りながら答える。ダンさんは愛想は無いけど作る料理は美味しいし、まだ飯の時間じゃないのにご飯を出してくれる良い人だ。


部屋に戻ってベッドに横になるとすぐに瞼が落ちてきた。







冒険者になって10日が過ぎた。それまでの間は討伐系の依頼と採取系の依頼を同時に受け続けた、もともと採取系の依頼は高ランクの依頼じゃないと報酬が討伐よりも基本的に少ないため、ルーキーが進んでする依頼じゃないらしい。

そんな中、俺が他の依頼とだが受けてくれるので喜んで複数のクエストを同時に2.3個受けさせてもらっている、そのお陰で無事にFランクになることができた。


「レナさん、討伐証明と薬草持ってきたよー」


ギルドにはそれなりに馴れてきた、レナさんとは気軽に話せる位仲良くなったし、まあ他の冒険者には何故か避けられていて今だにソロだけど・・・。


「おかえりなさいユウキ君、今すぐ証明するからちょっと待ってね。」


レナさんは俺のことを弟のように可愛がってるらしく、帰りが遅くなると心配してくる、体は13才だけど心は23才なんだよなー。


「はいユウキ君、これが今回の報酬よ」


「ありがとうレナさん、何か今日は騒がしいみたいだけど、何かあったの?」


「・・・実はね、ルピカスの森の奥にゴブリンの上位種が複数目撃されたの、もしかしたらゴブリンキングが出たんじゃないかって」


ゴブリンキングはゴブリンの上位種で、【同族支配】と呼ばれるユニークスキルを持つ。このスキルは自身の下位種族を支配して命令することができるスキルで『~キング』と付く魔物は高確率で持ってるらしい。

ゴブリンはすぐに数を増やす為、キングが出た地点でかなりの数のゴブリンがいることになるらしい。


「だからユウキ君もルピカスの森に行くときは奥に行っちゃ駄目だよ!ユウキ君はまだFランクなんだから」


「大丈夫だよレナさん、わざわざ奥まで入ったりしないから」


「もう約束よ」

そう言ってレナさんはカウンター越しに俺の頭を撫でてくる。


・・・どうやらまだまだ子供らしい。




「何か変だな・・・」


ルピカスの森に入るといつもならそこら辺から感じるゴブリンの気配が森の奥から感じる。

(まさか本当にゴブリンキングが出たのか?)


確認の為にも気配を消しつつ森の奥に進んでいく。しばらく進むと森の奥からゴブリンの鳴き声が鳴り響いてくる、木に登って確認するとそこには村があった、村と言ってもボロボロの家が建っていて、村人は全員ゴブリンなのだが。


「何匹いるんだよ、100とか200じゃすまないぞ・・・」


(さっさとギルドに戻って報告するか・・・!!)


とっさに剣を振りぬいて後ろからきた()()を切った。切ったそれは矢で、十日前俺にボコボコにされたグスとその取り巻きが少し遠くから俺に向かって矢を打ってきた、グスは笑いながら周りの奴らと一緒に走って逃げていく。


「ギャァ‼!ギャァギャァ!!」


すぐに追いかけようとするが周りからゴブリンが大量に現れてきてそれどころではなくなった。


(何でこんな急に現れたんだよ!)


原因を探そうとするとすぐに分かった、切った矢に小さい袋が付けられていて、その袋から変な煙が出てきている。すぐに【鑑定】すると。



[名前] 魔物寄せのお香 等級4


[説明] 周囲にいる魔物を呼び寄せ、興奮状態にさせる。このお香は現在使用を禁止されていて、このお香を使ったことにより街1つが無くなったことがある。



「あいつらわざとゴブリンの村の傍で使ったな!」


悪態を吐きながらも向かって来るゴブリンの相手をする。何匹か殺してもすぐに次が来て休む暇がない、切りつける度血が飛び出て俺の体が血まみれになるがそんなことを気にしてる余裕もない。


「いったい何匹いるんだよ!」




いったい何時間過ぎただろう、もともと使っていた剣はもう無い、切りすぎたせいか途中で剣が折れてしまった。殺したゴブリンが持ってたボロボロの剣を使って、殺しては奪って殺しては奪っての繰り返しだった。途中からゴブリンソルジャー、アーチャー、メイジ、シャーマンなどの上位種が出てきてさすがに無傷ではいられなかった、ガンツさんから買ったレザーアーマーはもうボロボロで防具の意味がないほどだった。


「グルルルルゥゥ!!ギャァ!」


俺の目の前には180㎝程の身長の筋肉質なゴブリンが俺を睨みながら威嚇している、通常のゴブリンと同じ特徴を持つが何よりステータスが違う、ゴブリンキング単体ならDランク冒険者一人でギリギリ倒せるらしいが今回のような群れの場合Cランクパーティーでないと危険と言われている、そんな群れを連れたゴブリンキングをFランク冒険者の子供が一人で戦うなんて自殺以外考えられないが、ここでは違った。


ゴブリンキングが身の丈ほどの木の棍棒を真上から叩きつけてくるが、その振りはユウキにとっては遅く、躱しながらゴブリンキングの右手を切りつけた。


「グギャァァァァ!!」


ユウキが持っていた片手剣はそのまま壊れるがゴブリンキングの右手も地面に落ちていた、切れた腕からは大量の血流れているが、ユウキはそのままゴブリンキングの懐に入り()()()()()で【剛拳】を叩き込む。


ドゴォ!


鈍い音と共にゴブリンキングの腹にユウキの手が貫通していた、ユウキが手を抜くとゴブリンキングはそのまま後ろに倒れて死んだ。


「ギャギャァー!」


僅かに残っていたゴブリンはその瞬間森の奥に逃げていった。


「やっと終わった・・・ていうかこれどうしよう」

全身血まみれで防具と武器はボロボロ、大量のゴブリンの死体、正直どうすればいいかまったく分からない。


「とりあえず上位種とキングの耳と魔石だけ取ってギルドに行くか・・・」




ーーーーーグス視点ーーーーー


「上手くいったぜ」


10日前にあのガキにやられてからずっと準備してたかいがあったもんだ。

俺たちに手を出したあいつが悪いんだよ、まあこれで少しはスッキリしたぜ。


「なあグス、あそこにゴブリンの村があることは報告するのか?」


「当たり前だろうが、ゴブリンキングがいる村を見つけたって報告するだけで金貨5枚は貰えるんだぞ」


「もしあのガキが生きてたらやばいだろ?」


「Fランクのガキがゴブリンキングの群れに一人で勝てるわけないだろうが」


「それもそうだな」


「それに報告は今日の夕方にでもすりゃあ問題ねえよ、そん時にはあのガキもくたばってるだろうしな」


そう言いながらグス達は森を出てカルバスに向かって行く。





結局森を出た時にはもう夕方で、どんなに急いでも閉門時間に間に合わないから草原に生えてる木の下で毛布に包まりながら眠った。日が昇ってから街道を歩いて門に着くとカルムさんがいた。


「ユウキ昨日はどこに行ってたんだ?今ギルドじゃあゴブリンキングが出たって騒いでたぜ?」


「そのゴブリンキングと戦ってて帰れなかったんだよ」


「はあぁ!?」


カルムが口を開けながら驚いているのを無視してギルドに歩いていく。



ギルドの中に入ると冒険者達が真面目な顔をしながら武器の手入れや準備をしていた、それを無視してレナさんの所に行く。


「ユウキ君聞いた!?やっぱりゴブリンキングが出たらしいの!」


「もう聞いたよレナさん、朝一だけど買い取りお願いしてもいい?」


「今は皆ゴブリンキングに夢中になってるから大丈夫よ」


「それじゃあ・・・」


カウンターの上にゴブリン上位種とキングの耳と魔石を全部置くと周りが静かなのに気づく。


「ユウキ君?これってまさか・・・」


「ルピカスの森にいたゴブリンキングと上位種の素材だけど?・・・あっ」


ユウキは今になって気づいた、この状況で出せばこうなるのは当たり前だと。


「ギルマス呼んでくるからちょっと待っててね!」


「ここにいるから大丈夫よレナ」


(いつの間に後ろに!?)

ユウキは常に周りに気を払っていたが声と同時に気配が自分の真後ろから聞こえて驚いて後ろを見る、そこには肩まで伸ばした金髪、強い自信を感じさせる黄色の瞳、その場にいた人全員が見とれる程の笑顔をした美人だった、身長は俺より少し高い170㎝位でギルド職員たちと似た服にフード付きの上着を着ていた、フードを被っていて何より周りの男たちはギルマスのとても大きな胸を凝視していた。


「君がユウキ君ね。初めまして、冒険者ギルドカルバス支部ギルドマスターのサリアよ、さっそくだけど私の部屋で詳しい説明をしてくれるかしら?」


そう言って俺の手引っ張りながら移動しようとする。


「流石に手を繋がれる程子供じゃないんですけど!」


「大丈夫、13歳はまだまだ子供よ」


そんなー!



冒険者ギルドの三階にあるギルドマスターの部屋には俺とギルマスことサリアさんといかにも騎士といった格好をしている鎧を着ている40歳程の男性の三人だけだ。


「私はケーライヒ統一王国カルバス騎士団団長のベルンという、よろしくユウキ君」


ベルンさんは怖いではなく真面目な人って感じかな?短髪の茶髪に鍛え抜かれた体をしている、そして何故か俺を見る目が優しいんだが気のせいか?


「ユウキ君、さっそくだけどルピカスの森で何があったか最初から教えてくれる?」


サリアさんに聞かれて俺はルピカスの森での出来事をすべて話した、森を調べたこと、グス達が魔物寄せのお香を持っていて俺を殺そうとしたこと、ゴブリンの群れを一人で潰したこと全部話した。


「やっぱり話を聞いておいて良かったわ」


「ええ、Fランク冒険者が一人でゴブリンキングの群れを潰したなど、誰も信用しないでしょう」


「ユウキ君、君は今からCランク冒険者に上げるわ、後でギルドカードの更新に行ってね」


・・・!!


「えっ、それって大丈夫なんですか?職権乱用とかじゃ?」


「安心して、ギルドマスターは冒険者のランクをCランクまでなら試験無しで上げることが出来るから。」


「何なら我が騎士団に入ってもいいぞユウキ君?」


コンコン。

ベルンさんがそんな冗談を言ってると扉がノックされる。


「失礼しますギルド長、今回の件に関わっていた三人組を捕縛しました。」


「ご苦労様。さあ団長さん、そんな冗談はいいのであの三人を連れて行って下さいね」


ニコニコしているけど何か威圧感を感じる・・・


「私は本気なのだがね・・・それでは失礼する、ユウキ君も何か困ったら私を頼りなさい」


そう言って俺の頭を何度か撫でると満足そうに帰って行った。


「そういえばグス達はどうなるんですか?」


「そうねえ、良くて犯罪奴隷で悪かったら死刑ね、あのお香はそれほど危険なのよ?」


「そんなにですか・・・結構危なかったんですね。そういえば何でサリアさんはずっとフードを被ってるんですか?」


「特に理由は無いけど昔の名残ね、私エルフだから」


サリアさんがフードを外すと長い耳が出てくる。すごい!やっぱまじかで見ると物凄いファンタジー感が出るな!!


「エルフをあんまり見たことないのね」


「はい、僕が住んでいた所にはいなかったので」


「やっぱりそうなのね、初めてエルフを見る人は大体そうだから気にしなくていいわよ」


やっぱまじまじ見すぎてたかな


「さてと、そろそろ下も落ち着いてると思うからレナの所でカードの更新をしてきなさい、また何かあったらレナにでも私に伝えるように言えば大丈夫だから」


「はい、それじゃあ失礼します」





「はいユウキ君!これで今日からCランク冒険者よ」


レナさんから新しくCランクのギルドカードを貰った。Cランクになると買い取り額が上がったりギルドの施設を無料で使用出来たりとサービスが増えるらしい。


そして新しく使命依頼と強制依頼の対象になるらしい。使命依頼はその名の通り個人を指名して依頼が来ること、報酬が通常より割高なのと評価が上がりやすいので良いらしい、その変わり断り続けると評価が下がって依頼が来なくなる。

強制依頼はギルド側からの依頼で拒否することが出来ない、拒否すると1年間の冒険者資格剥奪とかなり厳しい、もっとも強制依頼は街の危機など無視出来ない程の規模なので拒否する人いないらしい。


「レナさんレベルが25超えたからジョブ部屋を使いたいけど今大丈夫?」


「大丈夫よ、それじゃ今から行こっか!」


前回も使ったジョブ部屋に入って水晶に手を乗せると適正ジョブが浮かび上がっていく。



『剣士』『槍術士』『棍術士』『重戦士』『騎士』『狂戦士』『拳闘士』『重拳士』『侍』・・・



あとは前回と同じジョブだった、個人的には『侍』が気になる!日本人としてこのジョブが一番輝いている

何かレナさんが驚いた表情で止まってるけどどうしたんだろう。


「さ!『侍』!!」


「はい?」


「ユウキ君はいったい何者なの!」

レナさんが必死に俺の胸辺りの服を掴んで揺らしてくる


「レナさん!いったい何が!?」


「『侍』のジョブは今まで勇者の方しかなったことがない超レアジョブなの!未だに条件が分からない謎のジョブなのよ!?」


それでこんなに興奮しているのか、もしかして称号に『異世界』が必要とか?まさかね。


「ユウキ君!ジョブの条件とか分かる!?」


「物凄くキラキラして聞いてくるけど分かりません!」

多分だしね、それに異世界出身は隠したいし。


「それもそうよね、まず『侍』を知らなかったみたいだしね」


「とりあえずその『侍』になるから」


心の中でそう念じ、俺は侍になった。

[名前]ユウキ


[年齢]13


[種族]人族


[職業]冒険者


[ジョブ]侍 (1、戦士)


[称号]ゴブリンキラー


[レベル]36


[ステータス]


HP1103/1103 MP876/876


STR587 VIT574 DEX625 AGI612 INT310 LUC99


[パッシブスキル]

剣術LV6

体術LV6

刀術LV1 NEW

身体能力強化 LV7

状態異常耐性 LV7

言語理解

索敵LV6

忍び足LV5

夜目LV5 

魔力感知LV6


[アクティブスキル]

剣技LV5

格闘技LV5

刀技LV1 NEW

鑑定眼

魔物契約LV2

気力LV5


[ユニークスキル]

幸運

成長期

健康体


[加護]

創造神ダークの加護


AGIとDEXの上がり方がおかしい、侍のジョブボーナスなのか?

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