08話 次期村長と魔術
村長…大変な中間管理職なイメージです。
「リックは寡黙なのよ。ごめんなさいね。」
アンナがフォローする。既にリックは何処かに消えてしまっている。次期村長があんなで大丈夫か?と少し失礼なことを考えてしまった。ちなみに現村長あは、おっさん連中と少し離れた場所で、バカ騒ぎしている。勿論、大量の酒を仰ぎながらだ。
横で『バシン』『バシン』と、こちらに聞こえるほどの力で叩かれているヨゼフ爺さん。痛々しい。ところで爺さん、門番の仕事はどうなった?
「大丈夫よ。次の村長は私なのよ?」
アンナが言う。俺の疑問、声に出てたんだよね?エスパーじゃないよね?
村長は男児女児関係なく、基本的には長子が継ぐ。ハンスには娘が2人居て、長女のアンナが次期村長となるそうだ。男尊女卑で無いのだなと思ったのは束の間、貴族様はその限りではないらしい。貴族…嫌な予感しかしない。関わらないのが吉だろうな。
ロイは傍には居るが、とても静かだ。次期村長の話が出てからは特に。やはり、村長は嫌なのだろうか?
彼がどんな判断をするのかは分からないが、出来る範囲で手伝おう。
「ところで、ロイ君は学校とか行かないのですか?」
話題を変えようと、軽い気持ちで聞いた。
「まともな学校は王都にしか無いのよ。都市には騎士学校くらいしかないわ。魔術や法科学校とかは、やっぱり王都にしか無いわね。」
魔術…ここまで一切見ることが無かったから、存在する可能性を考えなかった。でも、あんな巨大モンスターが跋扈する世界だ。魔術くらいあるわな。
「魔術ですか。便利そうですね。」
「アカシさん…ミノタウロスを倒すほどの腕をお持ちなのに、魔術を知らないのですか?」
「…いや、田舎者でして、剣術ばかりやっていたものですから…。」
「そうなのですね。そうだ!魔術ならリックが多少使えるわ。後で見に行きましょう。」
「僕が父ちゃんの所へ連れていくよ!」
「そうね。ロイ、お願いね。」
危ない危ない。つい、魔術というフレーズに食い付いてしまった。魔術はありふれた事象のようだ。もう少し、考えてから発言しないと。久し振りの人との会話に夢中で、口が軽くなっていたな。出身地とか答えようがないから、これからは田舎者で通そう。
男なら、魔術、魔法に憧れるものだ。メ○、メラ○、メラゾー○…夢が広がる。40童貞のリアル魔法使いは願い下げだが。
リックは氷室に居るらしい。管理を任されているそうだ。
ロイと村外れにある氷室に向かう。
「ところで、ロイはどうやって勉強してるんだい?」
「僕は母ちゃんに常識と簡単な算術を、父ちゃんに魔術を。あと、じいちゃんに農業を教えてもらってるんだ。」
算術は二桁の足し算引き算程度らしい。この世界の常識と魔術は俺も教えてもらいたいくらいだ。暫く村に滞在するから、必要なら恥を忍んででも教えを請おう。
魔法剣士…うん、素晴らしい響きだな。思いを馳せながら、ロイの後を遅れ気味について行くのであった。
ドラゴ○クエストの魔法名、一生忘れないと思いませんか?中でも、パ○プンテは秀逸過ぎると思います。