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とある神兵の珍道記  作者: ペロりん
19/24

18話 冒険者ギルドとギルドマスター

脳筋達の宴、再び。

 《ロイ視点です。》


 アカシと宿屋前で別れた。じいちゃんと一緒に冒険者ギルドへと行くんだ。アカシが倒したミノタウロスの褒賞金を受け取るんだって。

 褒賞金を受け取るには、冒険者ギルド長と騎士団長に説明が必要なんだって。それを聞いたアカシは、何かほっとしてたっけ。後で聞いたら、面倒事は嫌いなんだよ。とか言ってたっけ。


 じいちゃんはいつも大股で歩くから、付いていくのが大変だ。今日はステータスが上がったからか、そんなに大変じゃない。アカシとオルちゃんのおかげだね♪


 オルちゃんはというと、僕の頭の上に乗っている。アカシに僕の護衛をするように言われて、最初は僕の肩の上に影を作って顔だけ出してた。それを見たアカシにスゴく怒られてたっけ。結局、頭の上で落ち着いたんだけど、オルちゃんの重さを全く感じないんだ!大精霊だから、重さも自由自在なんだって。だけど、肉球の感触だけはしっかりと感じるんだよ?流石、オルちゃんだ!


 じいちゃんと歩くと、いつも人から見られてる視線を感じるんだけど、今日はいつも以上に視線を感じる。周りの人が見てるのは…オルちゃんだ!オルちゃんって可愛いからね♪


 冒険者ギルドに着いた。2階建ての大っきな建物だ。竜の絵に二本の剣が交わった看板が目印だ。

 じいちゃんが開けたままになっている入口から入っていく。

 中にはデッカイ男の人がいっぱいいた。お酒を飲んで騒いでいる人もいる。ちょっと怖いかも。

 じいちゃんは、人が並んでいない かうんたぁ に行って、そこにいる兎人族のお姉さんに話し掛けていた。珍しく小声だ。


「姉ちゃん、ギルドマスターを呼んでくれないか?ミノタウロス討伐の報告をしたい。」

「え?ミノタウロス?討伐って、え?」


 聞いたお姉さんは大っきな声を出しちゃった。まわりで騒がしくしていた人達も一瞬静まり返ってから、『聞いたか?ミノタウロスだとよ?』『出たとか聞いたことないぞ?』『何言ってんだ?』とか騒ぎ出しちゃった。じいちゃんは、お姉さんを苦いものを食べた時みたいな顔して見てる。かなり機嫌が悪い時のじいちゃんの顔だ。


 すぐに『ドスンドスン』って音を立て、スッゴく大っきな人が来た。じいちゃんに詰め寄ってきた。


「おい、おっさん。嘘ついてんじゃねーよ!討伐しただぁ?お前みたいなジジイが討伐できるんなら、オレラはドラゴンを討伐できらぁ!なぁ?」


 まわりのその男の人の仲間っぽい人達も、「ちげぇねぇ。」

「なら、オレラもドラゴンスレイヤーだな!」「おっさん、何とか言えや!」とか騒いでる。


「確かにワシは倒していないが、少なくともお前らみたいな雑魚にドラゴン退治は無理だな。ガハハ!」

「な、何だと、てめぇ!」

「「「「やっちまえ!」」」」


 あっという間に囲まれたじいちゃん。5人に殴りかかられているのに、涼しい顔で避けている。じいちゃん、カッコいい!

 疲れた人から順に、足を掛けたりして床に転がしていく。全員転がしてから、また兎人族のお姉さんに話し掛けてる。


「姉ちゃんよ、ギルドマスター呼んでくれよ。つかよ、受付が情報漏らしてどうすんだよ。」


 そんな話をしていたら、転がってた、最初にじいちゃんに絡んできた人が剣を抜いてじいちゃんに斬りかかった。じいちゃんは、後ろを向いたままだ。


「じいちゃん、危ない!!」


 その男の人に向かって両手を前に出して、おもいっきり突き飛ばした。男の人はスゴい勢いで飛んでいき、壁に激突した。男の人は崩れ落ちたまま、全く動かなくなった。…あ、強くなったの忘れてた。生きてるよね?


『全く、ロイ殿は手加減を覚えんとな。安心せい。あやつはワシが死なぬ程度にダメージを減らしておる。現に壁が壊れておらぬだろう?』


 いつの間にか居なくなっていたオルちゃんが念話で話し掛けてきた。この念話って、オルちゃんが好きな人にしか聞こえないんだって。僕もオルちゃんが大好きだ♪

 あ、じいちゃんが少し呆れたような顔をして見てる。じいちゃんを助けたのに酷いや!じいちゃんの後ろに見える兎人族のお姉さん、驚いた…違うな。怯えた顔で見ている。アカシが 普通に生きられないかもしれない。 とか言ってた意味が少し分かった気がする。


「ロイ、やり過ぎだ。だが、ありがとな。ガハハ!」


 じいちゃんが笑いながら頭をワシャワシャと撫でてくる。目が回るけど、いつも通りでほっとした。


「ったく、騒いでいるのは、どこのどいつだ!煩くて昼寝もできやしねぇ。」


 2階から白い虎の耳をした、またじいちゃんより大っきい男の人が降りて来た。さっきの人よりも、強そうだし年上みたいだ。じいちゃんと同じくらいかな?


「ガドゥン、昼寝とは良いご身分だな?お前が弛んでいるから、モラルが低下してるんじゃないのか?職員の教育もなっちゃいねーみたいだな?」

「ハンスじゃねーか。久しぶりだってのに、酷い言いようだな?あれはお前がやったのか?」


 僕が突き飛ばした男の人を左手親指で指している。僕、怒られちゃうのかな?


「確かにあれとそこら辺に転がっている奴等をやったのは、ワシ達だ。だが、先に絡んできたのはコイツらだし、アイツは剣で斬りかかってきやがったんだ。後でその姉ちゃんに聞きやがれ!」


 じいちゃん、少し怒ってるみたい。手に力が入っている。まわりで『ハンスって、あの?』『元A級の 万能のハンス …さん?』『ギルドマスターの元相棒じゃねーかよ。』とか騒いでいる。じいちゃん、万能って呼ばれてたんだ。確かに器用だし、間違いないな。僕もじいちゃんみたいにカッコ良く呼ばれてみたいな。


「そうか、それは悪かったな。彼奴等には後でキツい罰を与えておく。それよりも、お前、腕を上げたんじゃないか?」

「…相手の力量も感じ取れなくなったか?ぬるま湯に浸かって、腐りやがったか。」

「おいおい、現役S級の俺より強いつもりか?引退して耄碌しやがったか!」

「言葉も忘れちまったのか?今はワシの方が強いって言ってるんだよ!」

「ワハハハ!表に、いや、修練場に来やがれ!」

「ガハハ!望むところだ!」


 じいちゃん…絶対わざとだ。今、口の端がスゴく吊り上がっている。仕方ない。僕もみんなに付いて地下にある修練場に向かうか。いつの間にか頭の上に戻っていたオルちゃんと一緒に、階段を下りていった。




 1階には、皆に忘れられた5人の冒険者が残されるのだった。


ペット、欲しいとは思いますが、死んじゃうと何もしたくなくなっちゃうのが目に見えているので、未だに飼えません。

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