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とある神兵の珍道記  作者: ペロりん
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09話 魔術と四大精霊

中世って、人口の8割が農民だったらしいです。職業選択の自由なんて無かったそうです。

 リックは、薪割りをしていた。冬支度のためらしい。ちなみに今は夏真っ盛り。準備早くね?

 ローブ着心地が良いためか、気温気候が気にならないようになっている。良くないな。


 リックに魔術に付いて尋ねたが、少し怪訝な顔をされたが、快く教えてくれた。

 火のサラマンダー、水のウンディーネ、土のノーム、風のシルフの四大精霊に力を借りて呪文によって魔術を出すのが基本らしい。この4つは、得意不得意はあるが、練習さえすれば、誰でも使えるようになるらしい。…早急に練習が必要だ。

 その他、光、月、闇、雷、氷等の特殊精霊もいて、こちらは適正が必要らしい。リックは氷の適正があることもあり、氷室の管理者となったそうだ。

 ちょうど氷室へ氷を追加するため、魔術を使うというので、見学させてもらう。


「氷の精霊フラウ様、保存用の氷を与えたまえ、アイス!」


 …え?呪文?変な祈りにしか聞こえない。リックが言うには、呪文に特に決まりは無く、自分にあった呪文を考えれば良いだけらしい。自分の魔力の込め方次第で、魔術は色々と応用可能らしい。要するにイメージ力か?

 恥ずかしいが、リックに水の出し方を教えてもらい、試してみる。


「水の精霊ウンディーネ様、あの水瓶を満たしたまえ、ウォーター!」


 …何にも起きないやないかーい!


「水の精霊よ、このコップを満たせ、ウォーター!」


 ロイが唱えると、手に持つ木製の器に水が注がれる。態々、略式にしてくれている。真似るが、やはり何も起きない。40童貞じゃないからだろうか?


「何で出ないのかな?アカシ、ステータスの魔力は減ってる?」

「ステータス?」

「うん。ステータスだよ。ステータスオープン!こんな風に言えば出るよ。ほら、見て。」


【名前】ロイ

【年齢】10

【職業】村人

【レベル】10

【体力】103/103

【魔力】120/130

【攻撃力】15

【防御力】18

【敏捷性】23


 ロイの前に現れた半透明な画面には、そう記載されている。村人って職業か?任意で他の人に見せれるようになるらしい。ロイ、強くないかい?文字は違いのだが、頭の中で変換されているようだ。少し変な感じだが、問題はないようだ。


「ステータスオープン!」


 …出、出ない!イレギュラーな存在だからか?


「何で出ないのでしょう?教会で洗礼を受けたことがあれば、誰でも出るのに。」


 教会?洗礼?転生前にも受けたことありませんが?首を横に振ってみた。


「…洗礼を受けさせてもらえないなんて…。苦労したんだね…。」


 リックが涙ぐんでいる。通常は生まれて1年くらいで洗礼とやらを受けるらしい。勘違いされたみたいだが、流れに乗る。


「ええ、田舎過ぎて教会無かったんですよ。ド田舎は大変なんです。ちなみに、教会って村にあります?」

「生憎と協会は村にはないよ。グラシルの街にあるものが一番近いね。」


 グラシルの街には、馬車で1日半程度掛かるらしい。ちなみに、冒険者ギルドや傭兵ギルド、商人ギルド等の支部もあるとのこと。行くのなら、ミノタウロスの素材の売却を勧められた。新鮮な方が、より高く売れるらしい。ハンス村長に相談しよう。






 リックに礼を言い、その場を後にする。

 魔術が使えない事にショックを感じたが、使える可能性はあるのは僥倖だ。仮に使えないにしても、生きていくには困らないだろう。身の振り方を決めるにも、人の集まる場所へ行くのは情報収集の面からもありだろう。


「アカシ、グラシルの街に行くの?」


 物思いに耽っていたようだ。ロイが話し掛けてきたことに少し驚いてしまう。


「ああ、ハンス村長に確認してからにはなるけど、出来るだけ早く行くつもりだよ。暫く先にはなりそうだけど、王都や、他の国へも行ってみるつもりだよ。」

「王都…。僕も行きたいなぁ…。…あっ!」


 つい本音が出てしまったのだろう。こちらの顔を伺ってきている。急ぐ旅では無いので、連れていくのは別に構わない。ただ、親御さんの許可が必要だ。ダメ、ゼッタイ!なのだ。


「行くときには一緒に、でも構わないよ?ただ、親御さんの許可は必須だからね。」

「…許可してくれないよ…。」

「本音をぶつけるのは大事だよ?いきなりは厳しいと思うのなら、ロイ君に甘い順番に保護者を味方に付けていくんだよ。外堀を埋めるってやつだよ?」


 それっきり、ロイは黙り混んだ。もう少し、入れ知恵しておくかな。


「ロイ君、君の本当にやりたいことを許可しそうな人は誰だろうね。或いは、身内で君に甘い人ってのもありじゃないかな?」


 ハッとした表情を浮かべるロイの肩を叩く。何時の世の中も、子供に甘いのは年寄りで、権限もあるのだ。ロイに交渉の仕方の手解きをしながら、第一攻略目標の所へと向かうのであった。

爺婆は、孫には甘いのです。

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