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のらりくらりと異世界遊覧(改定前)  作者: 霧ヶ峰
第1章:異世界転生
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第04話:出会い

*2018 3/24 編集完了

 色々とあった僕の誕生日からかなりの月日が経ち、この世界に生まれてから五度目の夏がやってきた。



 五歳の誕生日はもう既に終わり、一抹の不安に駆られながらも拡大された行動範囲の中で自由に伸び伸びと過ごしていた。

 のびのびと言っても、父様からは剣の稽古を、母様からは魔法の勉強を、エリーたちメイド三人衆からは英才教育を受けているため、正午から午後六時までの間しか好き勝手に遊ぶことは出来ない。


 数少ない自由時間に五歳の誕生日プレゼントとして貰った刃引きされた練習用の剣で素振りしてみたり、母様の手作りの杖を使って魔法を使ってみたり、祝福(ギフト)である[召喚魔法]と[空間魔法]で何ができるのかなど、色々と充実した生活を送っていた。




 ある日の夜は[空間魔法]で創り出した空間から[召喚魔法]を使って物を引き出したり仕舞ったりする練習をしながら今までの実験の成果をメモ帳に書き連ねていた。


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【召喚魔法】

 ・自分のイメージした物を魔力で作り出す(この場合は、生物は不可。そして、構造なども把握していないといけない)

 ・特定も場所や印を付けてあるものを、自分の手元に召喚する(この場合は、生物でも召喚可能)

 ・特殊な道具を使った儀式などで、精霊や悪魔といったものを呼び出せる(これに至っては、まだ試したことはない)


【空間魔法】

 ・特定の空間を創り出し、その中を自由に操作できる

 ・空間を歪めたり、切り離したり、切り取ったりすることができる

 ・新しい空間を創り出すことができる(ただし、魔法使用者の意思でしか創り出された空間に入ったり出たりすることができない)

 ・空間を圧縮し、一時的に強固な壁や足場にできる


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「…これで良しっと。ホントにすごい魔法なんだなぁ[空間魔法]って。まぁ、エリーたちから貰った魔法の図鑑みたいのにもちょっとしか書かれてなかったし、色々と誤魔化す魔法とか考えなくちゃ。封印とか試してみよっかな?」

 非常に子供らしからぬことを呟きながらメモ帳を閉じて虚空にしまうと、壁掛け時計を見て慌てて床に就く。

 母様から貰った(押し付けられた)可愛らしい寝間着を身に纏って。







 翌日の早朝、父様が仕事の都合で今日一日帰ってこれないと非常に残念そうに顔を顰めて呟いていたが、「お仕事頑張ってください」と一言声をかけると、この世の終わりみたいな表情がキリッとしたイケメンになって元気よく馬を駆けていくのだから不思議だ。

 父様を母様たちと一緒に送り出すといつもの勉強の時間を繰り上げてもらって十時頃から自由時間にしてもらった。

 自由時間になるとケリーに作ってもらったお弁当を持って、なんとなく街の方へ足を延ばすことにした。



 我家ことロペス家は街の端にあり、近くに沢が流れていたり森が広がっていたりする。

 普段は自由時間になると川に行って魚を取ってみたり、森で珍しいものを集めたりして、それを[空間魔法]で創り出した空間で保存したり、家に持ち帰ってエリーたちに上げたりなどしているのだが、今日はどんな気まぐれか、河原を街の方に向かうことにした。


 いつもならば自然の奏でる音に耳を澄ませながらのんびりと考え事をしたり、シーツを敷いて昼寝をしたりするのだが、今日は自然の音に交じって誰かが水の中に何かを投げ込んでいるポチャン…ポチャン…という音が微かに聞こえる。

 珍しいこともあるんだなと思って川を下ると、もう少しで村に着くといったところで一組の少年少女が水切りをしているのが見えた。よく見ると二人とも機嫌が悪いようで、少年の方は少々荒っぽく石を投げ、少女は水切りというよりもただ単に石を放り投げているだけなのだが。先ほどから聞こえる音の発生源が意外に近いところだったことに拍子抜けしていた。






 ひとまず様子見をしようかなと思っていたら、こちらに少女の方が気付いたらしく、少年に声をかけつつ立ち上がってこちらは身体を向ける。少年も少し遅れて立ち上がる。

 二人はこっちを向きつつもひそひそと話し合っているようだが、流石に小声で話している声を聞き取ることは出来ない。


 二人が話し終わるのを静かに待っていたクロウに、二人は意を決したように頷き合うと、普通の大きさ大きさの声で話せるくらいの距離まで近寄ってきた。



「えっと…この村の子?」

 コテンと首を首を傾げる少女は、自分との間に入っている少年の横から顔を出している。


 その二人は、どこか変わった雰囲気を持った不思議な子供だった。

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