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第45話:幕話 生徒会長の一日

ちょっとした裏話回です。

生徒会メンバーを書いておきたかったので・・・

 コンコンコン・・・とリズムよく木製の扉がノックされ、部屋で机に向かっている影が顔を上げて返答しようとしたところで、勝手にドアが開けられてしまう。


「やっほ~、かいちょー。面白いネタが入ったんだけど、いくらで買う?」

 カラカラと体育会系の明るい笑みを浮かべて、そんなことを言いながら入ってきた女子生徒に、かいちょー・・・会長と呼ばれた人物は、ため息を吐いて[生徒会長]という札の置いてある席から立ち上がる。


「またか?今回はちゃんとしたのなんだろうな?」

 胡散臭そうなものを見るように、目を細めてそういう生徒会長に、女子生徒は笑みを崩さずに答える。


「もっちろん!これは絶対面白いしーーー」

 だが、女子生徒はそこまで言うと、一旦話すのをやめ、生徒会長の目を真っ直ぐ見て、


「君に、いや・・・僕たち生徒会に関わってくるものだ」

 と、先ほどまでとは別人のような声音でそう告げる。


「・・・・・なるほど、まぁいい。報酬は、やっと仕入れたあの紅茶と・・・そうだな、最近出来たケーキ屋で好きなのを一つ。でどうだ?」

 その眼に映るものを見て、その言葉が嘘ではないことを確認した生徒会長ーーークラウス・L・エリュシオンーーーは、フッと引き締めていた顔を緩め、戯けるようにそう言った。


「一つかぁ〜。もう一声欲しいなぁ」

 クラウスのそんな言い方に、キャラじゃないと思いつつも、一応ノリで応えておく。


「うん?良いけど、大丈夫なのか?」

「む?」

「ニーニャから聞いたんだけど」

「むむむ?」

「今、ダイエ・・・ど、どうしたんだ?ロ、ロゼッタ。何でそんな顔で近づいてくるんだ!うわっ!な、なにをする!やめっ「成敗!!!」グハッ!!!」


「いいもん!お持ち帰りするもん!!!」

 ロゼッタと呼ばれた。いや、叫ばれた女子生徒は、正義の鉄槌と言う名の口封じを受けて転がっているクラウスに、プンプン!と頬を膨らませる。








 そんなことをしていたためか、


「会長!どうかしたんすかぁぁぇぇえええ!!!???」

 出周りから帰ってきた役員らしき少年が、部屋の惨状を見て声を上げ、


「姉さーん!ただいま戻りましたー!って、またですか・・・」

 続いて入ってきた青年は、苦笑いする。


「なんだとぉー?だって酷いんだぞ!クラウスのバカがデリカシーもなくあんな事いうから・・・」

 そんな言葉にロゼッタは反論しようと声を上げるが、最後の方はゴニョゴニョと口を動かすだけで、二人には聞き取れなかった。



「(ベナレスさん・・・ロゼッタさんって、もしかして・・・)」

「(お?サレーヌも気付いたか?)」

「(てことは、やっぱり?)」

「(そう言うこったぁ。ま、俺らが首突っ込むことじゃねぇよ)」

「(そうですね・・・僕らは見守ることにしましょう)」


 ロゼッタの様子を見て、男二人の絆が深まったのだが、ロゼッタもクラウスもそれに気付いてはいなかったのだった。









「ウッ・・・久々にもらったけど、やっぱきついなぁ・・・ゴホン!さ、話を戻そう。先ずは、二人ともお疲れ様」


 何事もなかったのように話し始めるクラウスに、べレナスとサレーヌは『いつものことながら凄い頑丈だな』と内心で呟きつつも、クラウスの言葉に応える。


「うん。べレナスは後で報告書にまとめて提出してくれ。詳しい説明はその時でいい。サレーヌともどもこの後の会議に参加してもらうから準備はしておいてくれ。場所はニーニャが取っている。・・・・・まぁ、その時間までロゼッタの言う[生徒会(僕ら)に関係する情報]とやらを聞かせてもらおうかな?」

 ベナレスとサレーヌの返事に頷いてから、クラウスは簡単な指示を出すと、そのままロゼッタに話を振る。


「オッケー。ニーニャちゃんにはクラウスから伝えてもらうことになるだろうけど・・・・・んんっ!この話はね、ついさっき聞いたーーーっていうか見たことでね」


 話を振られたロゼッタは、そう一つ前置きを置くと、静かに耳を傾けている三人へ話し始める。















「なるほど・・・カル君たちが被害に合いそうなのか」


 ロゼッタの話しと言うのも、ついさっき図書館から生徒会室(こっち)にくる途中で見たことをそのまんま伝えただけだった。


 それだけとは言え、中間試験も明日から始まり、それが終わると初等部1年生たちには所属する委員会を決めてもらう事になっているのだ。

 生徒会に強制参加のカルと、そのストッパー的な存在であるククル(クラウスが勝手にそう思っているだけ)、そしてよくわからないがその二人と非常に仲の良いクロウの三人を無駄な被害に合わせたくない・・・と言うのがクラウスの考えだった。


「せや、対応は早めーーー」

「お兄様!失礼します!」

 クラウスの呟きにロゼッタが意見しようと口を開けた瞬間。再び生徒会室のドアが開け放たれる。

 

「お兄様」と言う言葉からわかる通り、生徒会室に入ってきたのは、クラウスの妹のニーニャ・L・エリュシオン。生徒会の役員であるのを示す学園の紋章が入ったピンを刺し、黒色の魔術科の制服に身を包む。

 クラウスと違って、その格好からは微かに王家の風格が滲み出ていた。


「あれ?今は会議室にいるんじゃーーー」

「それどころじゃありませんわ!」

 そんな風格はどこへやら。クラウスの言葉を遮って、さぞご立腹なのか、プリプリと頬を膨らませている。



 珍しく怒っているニーニャに、取り敢えず椅子に座るように諭し、アイコンタクトでロゼッタにお茶を入れてもらう。


「はいニーニャ。お茶よ。ひとまず落ち着いてちょうだい」

「ロゼッタさん!だってだって!「落ち着きなさい。・・・ね?」アッハイ」

 ロゼッタからお茶を受け取りながらも、ムッスーとしていて、要件を話そうとしないニーニャだったが、背後にス○ンド的な何かを浮かび上がらせたロゼッタの圧力で一気に頭が冷めたらしく、顔まで真っ青になって頷いている。



 その後、お茶を飲んで落ち着きを取り戻したニーニャは、なぜこのように取り乱していたのかをクラウスに問われ、それに答えた。


 その話は少々長かったため割愛するが、つまるところ、今年の初等部一年生の第三席が裏口入学をし、下手をしたらそれで首席になっていた。と言うことだった。



「え〜・・・この学校って裏口入学出来たんだ」

「会長・・・そこじゃないっすよ。突っ込むところそこじゃないっすよ・・・」

 思わず口からついて出た言葉にベレナスが突っ込みを入れる。


 その突っ込みを受けたクラウスは、薄ら寒い笑みを浮かべると

「そうだな・・・じゃぁ先ずはーーー」











「手引きした教師を消そうか」

 と明るく言い放つのだった。






 その後、会議の場で他の委員会、風紀委員会にこの事とその対応をどうするかを話し、その者たちから協力を取り付けたクラウスによって、学校長のウィリアムまでもが悪事を働いた教師の特定に乗り出し、その教師と裏口入学したトン・プロシェル・アラカルト本人と、その後身であるアラカルト男爵家は、その事を学校長経由で国王に伝えられ、貴族爵を取り上げられた後に他国へ流され、手引きした教師は事の重大さから国軍騎士に捕らえられ、今は薄暗い牢の中で終わる事のない後悔をしているのだろう。


 ちなみに、貴族爵の取り上げが決定するまでに、一晩すらもかからなかったらしい。

 


 そんなこともあってか、学園内の教師たちの間にも、お互いに道を踏み外さないように監視し合うような体制が出来上がり、結果として、より一層学園生であること、学園の教師であることへとプライドが高まったのだった。

現段階での生徒会メンバーとその簡易的な設定


クラウス・L・エリュシオン

【学園都市アルカディア】の第3王子。

15歳(高等部1年)で【騎士魔術学校メルティア】の生徒会長をしている。


ニーニャ・L・エリュシオン

【学園都市アルカディア】の第3王女。

12歳(中等部1年)で【騎士魔術学校メルティア】の生徒会書記を任されている。


ロゼッタ・マケドニアン

【騎士魔術学校メルティア】の高等部2年生

会長の補佐として副会長の任に就いている。

小中高等部と顔がきき、色々な情報を生徒会に運んでくる情報通でもある。


ベナレス・ガネーシュバラ

【騎士魔術学校メルティア】の中等部3年生

生徒会と他の委員会・部活動連合(部活連)との窓口役。

物怖じしない性格で男勝りなロゼッタのことを姉さんと慕っている。


サレーヌ・マーティン

【騎士魔術学校メルティア】で生徒会会計をしている。

少々気が小さいところはあるが、自分の意見をしっかりと述べることができる。

【魔術師ギルド】の長、アリッサ・マーティンの一人息子で、本人も優秀な魔術師である。

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