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第32話:学園都市アルカディア緊急会議

「おやっさん……拳骨はねぇだろ。まぁだクラクラするんだけど」

「喧しいわい!あの子供がどれだけとんでも無いことをしてるのか分かっとるんか?お前さんらは」

 そう言うと、冒険者ギルドの長、アンドリュー・ガルシア…通称おやっさんは冒険者ギルドの一角にある部屋に集められた者達の方を向いて座り直す。




 ここは、ギルド内にある会議室と呼ばれる場所。

 魔物によるスタンピートや強大な魔獣の出現での指揮などを行う所だが………

 今回、ここに集まっているのはウォーレスを始めとする【スクエア】一同、冒険者ギルド長アンドリュー・ガルシア、魔術師ギルド長アリッサ・マーティン、情報ギルド長トリスタン・キャンベル、傭兵ギルド長ケイト・ルイスとそれぞれの副長と、【騎士魔術学校メルティア】学校長兼理事長であるウィリアム・ロペス、そしてその孫であり今回の騒動の元凶…クロウ・ロペス(+カレア・クルス、クレア・クルス)の計16人が集結しており、それぞれが座る長机の中心に一つの水晶玉が設置されている。




「え!お祖父様なのですか!?」

「なんじゃ、アイザックとシャーロットからは聞いとらんのか?」

「はい………あっ!そう言えば、家を出る時に何故かニヤニヤしていましたね。こう言うことだったんですかー」

 プクーっと頬を膨らませているクロウと、それを見て大きく笑いながら強く頭を撫でるウィリアム。

 場違いなほどにほのぼのとしているロペス家をみて、周りのメンバーは『さすが、この人の家系だ…』と心の中で一斉に思ったのだった。






 ……ザ……ザザー……………


 一同がロペス家の精神の太さに呆れていると、突如ノイズのような音と光が水晶玉から発せられた。

 その瞬間、【スクエア】一同と各ギルドの副長は急に姿勢を正し、各ギルド長は椅子に深く座り直す。そして、ウィリアムは顔を水晶玉に向ける。もちろんのこと、水晶玉が何かすら分かっていないカルとククルは顔を見合わせて首を傾げるばかりだ。



 その後も少しだけノイズ音が続くが、徐々に小さくなっていく。

 そして、「ブツッ」という音と共にノイズ音がおさまる。………点滅していたように見えた光とともに。









「………えーっと……なんか切れた?ように見えるんですけど…」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いや〜、滅多に使わんから…どう使うんか忘れとったわ!」

 水晶玉から言葉が聞こえるのとともに光が点滅する。やはり、この水晶玉はこの世界の通信道具だったようだ。


「なんじゃ、やっぱり忘れとったか!儂が渡したメモはどうした?」

「んー?………いや、無くしてはおらんぞ?確かここの引き出しに…あれ?こっちだったか?」

「もう良いわ!全く一国の王という者がこれでは、臣下たちも苦労するのぅ」

「そこ!全くですとか言うでない!不敬罪でひっ捕まえるぞ!」

 その後もウィリアム爺とこの国の国王との会話は続いたが………


「ん?ちょっとまて!それは何だ!」

 という国王の言葉とゴーンという鐘の音のようなものが聞こえ、水晶玉は静かになった。





「ウィリアム様、こやつには私めから話しておきますので、お話の方を…あ、これは片付けておいてね」

「おお。分かった、オリビア皇女」

 水晶玉から従者らしき声と何かがズルズルと引きずられていく音を聞き、皆が顔を引きつらせているにもかかわらず何事も無いようにウィリアム爺は会議を開始するのだった。




 ーーーーーーーーーーー暫く後ーーーーーーーーーーーー



「なるほど………ウィリアム様のお孫様、クロウ殿の従魔である【九尾狐】の存在についての」

「ええ、そちらの貴族達にも手出しは無用だと…」

「もちろんですわ。我が夫の盟友であるウィリアム様のお孫であり、この国の英雄であるアイザック様のご子息であるのです。公にはいたしませんが、貴族にはこちらから勧告しておきます。ですが………中には欲にまみれた者達も居りますので…」

「はっはっはっ………構いませんよ。アイザックが問題なしと言っておるのです。そこいらの者には負けませんよ、この孫は」

 自らの横で従魔手続きを済ませた召喚獣たちを撫でまわしているクロウを横目で見ながらウィリアムはそう言う。


「ですが……クロウ殿は未だに9歳なのでございましょう?私めには………」

「ふむ………では、クロウよ。お前は今どれ程の魔物を相手にして自力で倒す事が出来るのだ?」

「え?そうですね………正面から戦ったことが無いんでよくわからないですけど、あの森にいる魔物だったら大体ってくらいです…よ?」

 ちょこんと首を傾げながら当たり前のように言うクロウに、苦笑いを浮かべるカルとククルを除いた会議室の全員が固まるのだった。いや、会議室だけでなく水晶玉の向こう側も固まっていた。








「あれ?ボクなんか変な事言った?」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「母様に言ってもあんまり驚かなかったので、これくらい普通なのだとばかり………」

真剣に呆れているウィリアムに詳しく話を聞かれ、その後にこの世界の基準とお叱りの言葉を貰ったクロウは、肩を落としシュンとしながらそう呟く。


「なぜあれに聞くのだ………アイザックに聞けば良かろうに」

 ウィリアムはため息まじりにそう言うと、さらにシュンとし始めたクロウの頭に手を置き「これからは気を付けておくれ」と優しく言った。





「なるほどの…まぁ、其れ程の強さがあるのなら、心配は要らぬかもしれないのぅ」

 いつの間にか帰ってきていた国王らしき人の声が水晶玉から聞こえるが、水晶玉の向こうでまた何か話をしているようで、僅かだが声が聞こえてくる。











「では、表面的でしかありませんが………貴族達には、勧告と忠告をしておきます。そして、各ギルドには情報の秘匿義務を課します。学園側には………そうですね、特に無しとしましょう」

「なっ!?それでは我らギルドの秘匿義務の意味が!」

「秘匿義務と言っても、ギルド………と言うよりも、今ここにいる貴方達からの情報流出を禁止すると言う事です。どっちみち、学園には貴族の息のかかった者や子供達がおります。情報の流出は時間の問題でしょう」

「まぁウィリアムなんぞに任せてはおれんからな」

「ほう………よし!我が孫とその友人を宿舎に送り届けたら、お前の元へ行くとするかのぅ」

「えっ」

「ああ、首を洗って待っておれよ?」

 ウィリアムはそう言うと水晶玉の通信を切る。その表情は何故か満面の笑みで彩られていたが。


「これで会議は終わりじゃ。解散とするかの…………あぁ、クロウとカレア君クレアちゃんは荷物全部持ってついて来なさい」

「「「あっはい」」」

 クロウ達三人は、ウィリアムの有無を言わさぬ態度に反射的にそう言ってしまった。クロウがふと振り返ると、召喚獣たち全員もビシッと背筋を伸ばしていた。


















 ウィリアムがクロウ、カル、ククルを引き連れて会議室から出て行った後、残された12人は呆然と扉を見つめていたのだった。


「おやっさん………俺らはどうしましょう?」

「あ、ああ………受付で金を受け取ってから帰れ。今日の事は他言無用だぞ」

「あ、シリルは残りなさい。話があります」

「え!?ちょっ!!!マジっすか!?」

登場人物が多くなって来ましたね〜


人物紹介話でも作ろうかな?自分用にも

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