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第25話:出発!

なんだか筆が乗ってきました!!!

 アイザックから餞別として、刀と短剣、そして腕輪型アイテムボックスを譲り受け、ホクホク顔でベットにダイブし、眠りについたその晩から一晩明け、クロウは窓から差し込む陽の光を受けて眼が覚める。


「う、う〜ん。ふぁ〜………朝かぁ」

 地平線の向こうから顔を出し始めている太陽を見ると、ベットから降りて着替えを始める。



 3分ほどで着替えと、学園へ持っていく手荷物の準備を終え、それらを持って1階へ降りていく。

 1階に降りると、既に起きて朝食の準備をいていたリリーと眼が合う。


「クロウ様、おはようございます。その様子でしたら、もう準備は終わっているようですね」

 リリーはクロウの手元にある大きめのカバンと腰に付けるタイプのバッグを見てそう言う。そして、にっこり笑うと

「朝食の用意はできております。カル様とククル様と待ち合わせなさっているのでしょう?ならば、お早めに朝食を済ませる方が良いかと…」

 と言って、クロウに朝食を進める。


「うん。じゃあ、いただくね」

 玄関にカバンを置いて、食堂に向かう。










「う〜ん、美味しかった!ごちそうさま!」

 朝食として出てきた目玉焼きとナンの様なパンを美味しくいただき、満足気に笑顔で朝食を終える。


「はい、お粗末様でした。ウフフ、では、クロウ様、いってらっしゃいませ。学園でもお体に気をつけてくださいね」


「うん!リリーもね!」

 食堂を出て玄関へ行き、荷物を持って外へ出る。



 そして、門を開けようと手を伸ばしたとき…


「「クロウ(クロウちゃん)!いってらっしゃい!」」

 と2階の窓から、まだ寝たりなさそうなアイザックといつも通りの元気なシャーロットが大きな声で言ってくる。


 その声に続く様に、畑に水をやっていたケリーや、庭を掃除していたエリーも見送りに出てきてくれた。





「はい!行ってきます!」

 元気な声でそう返し、手を振りながら村の方へ走っていくクロウをアイザック達は、嬉しそうに…だがどことなく寂しそうに見送っていた。


















 村まで…いや、村すら駆け抜けて、村の入り口の様なところに到着するクロウ。


 早く来すぎたのか、カルもククルは其処には居ずに、移動用の馬車には馬が繋がっているだけで、業者はどこにも見当たらない。


「仕方ない、暇つぶしでもしよっかな」

 そう呟くや否や手元に、アイザックから貰った刀(以下ムラマサ)と短剣(以下シンゲツ)を取り出し、ムラマサは細長い袋に仕舞い、口を1度折り曲げて本体と重なる様にして紐で結んで固定する。見た目は紺色の刀袋に入れて赤い紐で結んである状態だ。シンゲツの方は、持ち手の部分から宝石が全て隠れるくらいまで滑りにくい布を巻き、留め具として刃が付いている方とは逆のところに金属を魔法でちょちょいと巻きつければ完成だ。

 これで、ムラマサの方は刀袋から出さない限りは滅多なことは起こらないだろうし、シンゲツの方は、無骨な大きめの真っ黒い短剣程度にしか思われないだろう…多分。


「これで…よしっと」

 ムラマサを[ストレージ]に入れ、シンゲツは取り出しやすい様に、某潜入ゲーの蛇様みたいに脛の横らへんに装着しておく。一応言っておくが、装着するための装備は一応手作りだ。


 そんなこんなで時間を潰していると、村の方から


「ウオォォォォオオオオ!!!」

 と喧しい声が聞こえて来た。

 まぁ、どうせ誰なのかは知っているので、馬車の屋根に飛び乗って待ち構える。


「ォォォオオオオ!!!よっしゃああ!!!一番乗りじゃあああ!!!」

 朝っぱらから傍迷惑な咆哮を上げつつ登場したのは、寝癖を放置したままのカルだった。そのあとすぐに、ククルが到着するが、馬車の上で笑っているクロウを見つけるや否や、カルの肩をポンと叩き馬車の屋根を指差す。


「カル………残念ながら、2番だったわね」


「な、ななな、なんだと!?ク、クククロウ!いつからそこに!?」

 がっくりと膝から崩れ落ちるイケメン(笑)


「いつからって、日が完全に昇ってすぐかな?時間で言ったら6時ごろかな?」

 を鼻で笑いつつ答える。


「ま、そんなことより。今日から、7日ほど馬車で移動するわけだが………多分、ボクはあんまり馬車に乗らないと思う」


「えぇー!クロウちゃんと一緒に馬車の旅が出来ると思ったのにー」

 クロウの暴露に頬を膨らませながら抗議(?)するククル。


「まぁ、ジンがいるもんな」

 と、立ち直りの早いカル。


「実際のところにボクとジンだったら2日もかからないと思うんだけどね〜。いや、ちょっと早めにしたら1日とちょっとで着くのかな?まぁ、どっちにしても、ボクはジン“達”と馬車の周りで遊びながら同じくらいの速さで進むわ」

 さらっと、500キロを1日ちょっとで移動できるなどと言うクロウ。

 それを「だろうな………」みたいな顔で呆れながら苦笑いしているカルとククル。


 そんなたわいもない(?)ことを話していると、村の方からクロウ達に向けて声がかけられた。


「おーい!ごめんね、遅れちゃったかな?」

「ちょっとリーダー!子供達の方が早いって、俺たちダメじゃん!」

「リーダーが、昨日酒飲みしなかったら………あーあ」

「そうっすよ!リーダー酔っ払ったら大変なんすから、色々と」


 クロウ達に声をかけてきたのは、4人組の武装した人たちだった。


「おお!!!ホンモノの冒険者だ!」

 その4人組を見て、目をキラキラとさせて、憧れの眼差しを送るカル。

 そして、その横で「よろしくお願いします」と頭を下げているククル。

 ククルと同じ様に頭を下げながら内心で「へぇ、これが冒険者が…」と4人を観察するクロウ。


 リーダーと呼ばれは男性は、腰にダガーを2本携えている。身軽そうな装備から見るに、遊撃などを担当しているのだろう。ん?腰に短剣を装備しているが…サブウェポンかな?

 2人目の男性は、金属鎧に身を包み、幅広い大剣と言うべきものを背負っている。いわゆる、タンカーだろう。

 3人目は、いかにもな魔法使いって感じの女性だ。身をすっぽりと包むローブの様なものを着込み、先端に赤色の宝石(魔石)がついたスタッフを腰にさしている。

 4人目も女性だ。背中に弓を背負っているため、リーダーと同じ遊撃か後方支援担当だろうか………いや、腰に長剣を装備しているから、前衛もこなすのだろうか。まぁ、どちらにしても、クロウから見たらバランスの良い良いチームに思える。









「ん!そうだ!これから7日間一緒に行動するんだから、自己紹介でもしよっか」

 リーダーと呼ばれていた男性がクロウ達を見ながらそう言う。


「では、言い出しっぺの俺から………俺の名前は、ウォーレス。ウォーレス・オルトだ。このパーティー…【スクエア】のリーダーをやってる」

「じゃあ、次は俺が。俺は、セント・カッシーユ。遊撃担当のリーダーとは違って盾役だ」

「私は、フィヤ・ヨートルよ。見ての通り、魔法使いね。貴方達の先輩になるかな?」

「そうっすね。私たちは、学園卒業してから冒険者になったすからね。あ、私は、シリル・イオンって言います。よろしくっす、弓と長剣使いの万能型っすよ〜」

【スクエア】と名乗るパーティーの人達がそれぞれに自己紹介をしてくれる。


「ご丁寧にありがとうございます。では、こっちの自己紹介を………そうですね。じゃあ、ボクから。ボクは、クロウ・ロペスと言います。一応、ある程度の魔法は全員使えます。使える属性は、ボクは、闇と光、そして召喚です(本当は、全部使えるんだけどね)」

 属性のところで口を開きかけたカルを睨んで静止させ、3つしか使えないと言う。


「じゃあ、次は俺が。俺は、カレア・クルスです。皆んなからは、カルって呼ばれてるんでそう呼んでください。適切は、火と風です」

「最後に私ですね。私は、クレア・クルスです。そこのカルとは、双子ですね。私は、ククルと呼ばれてるのでそう呼んでくださいね。適切があるのは、風と光です。よろしくお願いします」

 クロウに続いてカル、ククルと順に自己紹介をしていく。



「よし、わかった!クロウ、カル、ククルだな。これから5日間だが、よろしく頼むぞ。あ、もし、料理が得意だったら言ってくれ、俺たちのパーティーにゃ、料理できる奴がいなくてな」

 ウォーレスは、そう言うとフィヤとシリルの方をジト目で睨んでいた。


 睨まれている方は、目を逸らしながら音の出ていない口笛を吹いたり、帽子を深く被って目を合わせない様にしていた。




「うーん…ククル、どうする?ボクは、普通に狩ってこようと思ってたんだけど」

「そうね。じゃあ、クロウちゃんは、ジンちゃん達と食べれるお肉と香辛料に使える木の実とかを集めてちょうだい。私が料理するから、ご飯の時は休んでてね」

 クロウとククルによる役割分担の会話から、ほっぽり出されたカルと冒険者一味。


「ねぇカル君。クロウって子の言ってることがわかんないんだけど。あと、ジンって誰?」

「あー。あんまり気にしない方がいいと思いますよ。クロウは、探られるのが好きじゃないですし、ジンについては出発すればわかると…」

「へぇ〜。クロウちゃんは、謎っ子っすか。いいっすねぇ〜」

 イタズラを思いついた子供の様な顔をしながら笑っているシリル。


「シリル…辞めとけ。お前だって、小等部の頃のあれこれをバラされたくはないだろう?」

 そのシリルを、呆れた様に見ながらなにやら面白そうなことを言うウォーレス。


「うっ!………し、仕方ないっすね。今回は、辞めとくっすよ。………ったく、あれを引き合いに出すのは、卑怯っすよ(ボソボソ)………」

 口を尖らせてボソボソ言っていたが、


「さて、そろそろ出発しようか!もう7時頃だろう」

 ウォーレスが、懐から懐中時計を取り出して確認しながら、出発することを進めてきた。


「そうだな、じゃあ、クロウ、カル、ククルは馬車に乗ってくれ」

 セントが、そう言いながら自分の装備を確認している。いや、セントだけでなく【スクエア】の全員が自分の装備を確認・点検していた。


「ん?みなさんも乗るんじゃないんですか?」

 その行動を疑問に思ったのか、カルが近くにいたフィヤに質問した。


「んー、完全な後方支援の私と、馬車を操作できるシリルは、御者台に座るけど、リーダーとセントは馬車を挟む様に歩くわ」

「そうっす。もともと、この村には学園へ行く子供の護衛兼輸送としてきたっすから」


 


「よし!準備完了!そっちは、終わったか?」

 カル達が話をしていると、装備の点検が終わったかウォーレスが声をかけてきた。


「終わってるっすよ〜」「私もです」

 と、気楽に返す女性群と、


「はーい」「乗ってまーす」

 と、馬車の中で答えるカルとククル。


「準備完了してます」

 と、馬車の外で答えるクロウ。



「よし、全員準備できて………ねぇじゃん!クロウ!お前も馬車の中だぞ」

「いえ、ボクは移動手段がありますし、使ってあげなかったら、その子ショゲちゃうので…」

 ウォーレスのツッコミをスルーしてクロウは、そう言うとクロウは、何かの詠唱を始めた。


「我に従いし眷属達よ、我が導きに応えその姿を示せ。汝らの名[ジン][イザナミ][サクヤ][フレイヤ][ツクモ]」

 クロウの詠唱が続くにつれて、クロウの周囲に5つの魔法陣が展開されていく。

 そして…


召喚(サモン)!」

 クロウが、魔法を唱えると、クロウの周囲に展開していた魔法陣から5つの影が浮かび上がり、その形は徐々にくっきりとしていく。




 召喚され終わると同時に、空へ飛んで羽根を伸ばすサクヤとフレイヤ。ネコ科特有の前足を突き出しての伸びをしてから、クロウの側に駆け寄るイザナミ。召喚た瞬間にクロウに飛びつくツクモ。召喚された位置でおとなしく座っているように見せかけて、尻尾を振り回しているジン。

 クロウやカル、ククルからすれば、いつも通りの光景だが、冒険者をやっているウォーレスたちからすれば、それは驚きの連続だった。


「ちょ、ちょい待て。クロウ、そいつら全員お前の召喚獣か?」

 ウォーレスは、動揺を隠そうともしないでクロウに質問する。他の3人は、空を見上げてポカーンとしていたり、ツクモを見て驚いた表情で固まっていたりしている。


「うん?そうだよ。なんか変なとこある?」

 と、イザナミとツクモを撫でながら答える。


「いやいやいや、変も何も、最初に飛んでった2匹は、[キラーホーク]と[シャドウウォーカー]だろ!?しかも、今撫でてる奴らは[ナイトメアキャッツ]と、あの[妖狐]だ。おまけに[シルバーウルフ]もセットときた。お前はこれがどれだけヤバいことか知ってるか?」

 そこまで言うと、1つ息を吐き出してから言葉を続ける。


「いいか?お前の召喚獣…成体ともなれば危険度Aを越える奴らがいる。まず、[キラーホーク]だが、お前の召喚獣のやつは、体毛が赤みがかっていたな?と言うことは、火を有しているだろう。通常種でさえ、B級の冒険者がパーティーが“犠牲覚悟”でやり合って勝てるかどうかの奴だ。[シャドウウォーカー]は、森で出会えば大抵の冒険者は、エサになるくらいのヤバさだ。なにせ、姿が見えない・魔法が弾かれる・あり得ないくらい硬いのトリプルコンボだからな。[ナイトメアキャッツ]は、危険度はBだが、冒険者からしたらあまり出会いたくない奴だ。もしも、夜に鉢合わせちまったら、そいつの危険度はAになる。そこでおすわりしてる[シルバーウルフ]は、魔法を使えなかったら危険度B相当の魔物だ。まぁ、ただの身体能力だけで並大抵の冒険者を屠れるんだ、それだけでも十分ヤバい。だが、魔法を使える奴との場合だと話が違う。もともとの身体能力プラス風属性のコンボだ。A級冒険者でも、苦戦するだろう。………とまぁ、これだけで色々とヤバいのは分かっただろうが、1番ヤバいと言うか、危険なのがそこの[妖狐]だ。こいつに至っては、危険度がバラバラだからなんとも言えないが、尻尾が6本あたりでB級相当だったはずだ。だが、それだけなら、他のやつと大して変わらん。重要なのは、クロウ…お前のような子供が[妖狐]を持っていると言うことがいけない。知ってるか?そいつら[妖狐]にどれだけの値段が付いているか。名のある魔獣専門の狩人がそいつらを捕獲しに行ったが、帰ってきた奴はほとんどいない。帰ってきたとしても、もう活動は不可能なレベルの怪我をしているんだ。もしも、そいつを手放さないと決めてるなら………それなりの覚悟をしておけ。そいつらを手懐けるんだから、それなりの実力はあるんだろうが………この世界は、汚い手を使ってでも奪いに来る奴らがいるぞ。………いいな?このことを胸に刻んでおけ」

 ウォーレスは、そう言うとクロウの頭をワシャワシャと強く撫でた。


「アイザックさんの子供だから、何かあるなとは思ってたけど、まさかこんなトンデモだったとはな………。今度酒でも奢ってもらわおうかな?」

 と、苦笑いでそう言った。


「「「?」」」

 クロウとカル、ククルが頭の上に疑問符を浮かべていると、


「さ、さあ!出発す、するっすよ!」

 正気に戻ったシリルが、上ずった声で出発の合図をし、手綱を握って馬を進め始めた。


「ちょっ、おま!待て!俺らを置いてくな!」

 ウォーレスとセントは、自らの鎧をガチャガチャと言わせながら追いかけ行った。







『ご主人?ボク達も行きましょ!』

 ウォーレスの話なんて聞いていないと言うように…いや、尻尾の振り具合からして、待ちきれなくなってだろうが、ジンがそう言う。


「そうだな………じゃあ…お前ら、7日間のミッション付き自由行動だ。ミッションは、食べれる肉と草、それと香辛料に使える木の実などの採取。安全第一で行動しろ!」


『『『『『はいっ!!!』』』』』

 久しぶりに思いっきり羽根を伸ばせるためか、いつも以上に張り切っている召喚獣達。


「よし!出発!!!」

 それにつられてクロウのテンションも上がっていった。












「旅は、やっぱり楽しまなきゃね」

 ジンの上でボソリと呟くクロウは、いつも以上に笑顔だった。

でも、やっぱり週一投稿が限界かな?

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