第13話:二人の気持ち
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◇◆◇◆◇カレア視点◇◆◇◆◇
クロウの母親であるシャーロットさんに引き摺られていったククルを追いかけて、メイドさんが扉の前で待っている部屋についた。
扉の前に立っているメイドさんーーー確かケリーってクロウが呼んでいた人ーーーに「ごめんなさいね。張り切りすぎちゃってて」と言われてしまった。
そのまま部屋に入り、言われるがままに椅子に座る。目の前の机には何冊もの本が積み上がっていて、横に座ってるククルは若干目の光が消えかかっていた。まぁ、お風呂上がってからずっとそうだった気もするけど。
「クロウちゃんはお外に行っちゃったけど、まぁ二人の適正を調べるだけだから関係ないわね。さあさあ、始めましょう!昨日教えた通りに順番に魔力を流してもらえる?」
パチンと手を合わせてウチの親と同じくらいの歳とは思えないキラキラした笑顔のシャーロットさん。
「「はーい」」
「まずはカル君からでいいかしら?水晶、紙の順番でお願いね」
「じゃあ…いきますね!」
昨日家に帰ってから暇さえあれば魔力を流す練習をしていたからか、始めよりもだいぶ流しやすい。
魔力を流した水晶は、緑色の靄と赤色の靄を表し、その後に虹のように数種類の色が散らばった感じの靄になった。
「なんだ?この色。虹みたい」
「あぁ…やっぱりねー。あの二人の子供だからもしかしてって思ってたけど、本当に継承してるとは思わなかったわ」
「シャーロットさんはこの色の魔法が何か知ってるんですか?」
「知ってるわよ?そのためにわざわざその水晶を持ってきたんだもの。まぁ、その話は二人ともおわってからね!」
それからシャーロットさんに急かされながら俺とククルは適正を調べた。
ククルは俺と適正似ていて、俺の[火魔法]が[光魔法]になった以外は全部同じだった。
[魔傾の紙片]の結果は、俺の紙は燃えて、ククルの紙はピカーっと白く光った。
この反応で俺もククルも大体わかったが、俺は[火魔法]でククルが[光魔法]が一番適正が強いみたいだ。
シャーロットさんに聞いたが、[風魔法]はくしゃくしゃに、[水魔法]はビチョビチョに、それ以外の魔法もその魔法でできる一番簡単なことが起こるみたい。
クロウはどんな反応がしたのか聞いたが、いまいちよくわからなかった。増えたり消えたりするってどういうことなんだろう。
適正がわかった後はひたすらに勉強だった。
シャーロットさんやケリーさんが言うには、魔力があっても魔法を使う知識がなかったら宝の持ち腐れらしい。
驚いたことに、クロウはもう既に魔法の知識をあらかた覚え終わっているらしく、勉強から実戦に変わりつつあるのだと。
そういえば、初めてあった次の日にも魔法を使っているって聞いた気がする。
お昼ご飯をもらって、それからもしばらく魔法の勉強が続いた。
日が暮れ始める頃になってクロウは帰ってきた。黒っぽい色をした短剣と普通の短剣を腰から下げて、「お腹すいた〜」っとお腹を抑えて、気のせいかテンションが低い。
俺も腹が減り始めていたが、さすがに夜になる前に帰らないと。クロウの家の晩御飯も食べたいが、今日は帰っておかないと怒られそうだ。
「今日はありがとうございました!しかも勉強用の本も貰っちゃって……いいんですか?こういう本って高いんじゃ?」
「いや、とあるところからこういった本をタダで貰えるからお金はかかってない。逆に処分に困ってたからちょうど良かったんだ。訓練用の武具も同じような理由でたくさんあるからこれからも遠慮せずに使ってくれ」
「そうなんですね…わかりました!明日からもよろしくお願いします!」
「おう。俺も最近は時間があるし、シャルも楽しそうだから時間さえあればどんどん来てくれ」
「はい!」
今まで暇だった時間が訓練と勉強に使える。釣りとか水切りをするよりももっと意味のあることができるんだ。
『明日から頑張らなきゃな』
◇◆◇◆◇クレア視点◇◆◇◆◇
クロウちゃんのお母さんーーー シャーロットさんは不思議な人だ。ふわふわポワポワした感じの人なのに、その言葉が不思議と力強く感じる。
私のお母さんもちょっとだけ他の人と比べると違う感じがするけど、シャーロットさんは何かが違う?
でも、クロウちゃんのお家の人全員がなんだか変な感じがするし、気にしても仕方ないのかな。
それはそれとして、シャーロットさんはとっても優しい。ちょっとお茶目なところとか教えるのが苦手なところとかはあるけど、私とカルが新しいことをできるようになるたびにすっごい褒めてくれる。
でもシャーロットさんは「魔法だけだったらクロウちゃんみたいな相手に勝てなくなっちゃうよ!」とアイザックさんの訓練の大切さを教えてくれた。
私もカルも昨日やったクロウちゃんとの試合で、一回もクロウちゃんに攻撃が当たらなかった。
それがどうしてなのかは今の私にはわからないけど、シャーロットさんは「力はただ単に使うだけじゃダメよ。上手にコントロールできるようになってようやくスタートなんだから」って笑って言ってた。
『もっともっと頑張らなくちゃ!』
私の心はその時からクロウちゃんを追いかけてたのかもしれない。