事務所大掃除!そして…
コーデリア(24歳)、ユウヤ(19歳)の二名にて『何でも屋』コーデリア事務所を設立。
「ふー、こんなもんかな」
だいぶ綺麗になったなこのダンジョンの壁も…じゃなかった事務所の壁も。
あー腰が痛い…ひたすら外壁の植物とか汚れを綺麗にしてたからなー。
ちょっと伸び~~~。
「あとは庭か」
とりあえず草をなんとかしなきゃな~。
所長は事務所の中を掃除するって言ってたけどちゃんとやってるんだろうか。
「ユウヤ~、お茶いれたから少し休憩しましょうー。」
ドアを少し開けて所長が言ったのでお言葉に甘えさせていただく。
「うっす」
「どう?外の掃除の感じは?」
「壁はさすがに真っ白!みたいな感じにはなりませんよ。庭の草とかはこれからやる予定です」
「まあ後で少し確認しとくわ。中はキッチン・食卓スペースを終わらせてあとは二階かしらね」
「じゃあもうすぐですね」
「お風呂とトイレ事前にやっておいて正解だったわ」
「昨日使いましたがふつうに綺麗でしたよ」
「でしょ~?」
なんだろうなこの会話。
昨日初めて出会って、それから割と深刻な話やら色々したはずなのに。
「私はね、運動以外は出来るのよ」
「へ~」
「それも天才とか世間に言われるくらいよ?実家はそこそこお金持ちだし将来は安泰みたいに周りには思われてたんだけどね。でもね~私って飽きっぽいのよ。毎日同じようなことの繰り返しみたいな仕事って無理なの。だから大学を卒業したら『何でも屋』を開業しようと思ったの」
「なるほど」
「でもさすがに一人で色々やるのは無理でしょ?魔法とかも全く使えないし。だからまず苦手な運動要員、戦闘要員を仲間に入れてから本格的に開業しようと思ったわけ。あとは足りなくなってきたら徐々に色んなタイプの要員を補充しようかなって感じね」
「天才とか言われてるわりにけっこう行き当りばったりなんですね」
「人生そんな思い通りにはいかないものよ。最初はグラン君を誘ったんだけど断られたしね」
「そうだったんですか…」
「で、あなたを紹介?されたってわけ。グラン君はあなたのことを気にかけてたし、それに『何でも屋』なら、流されやすいあなたにもそのうちやりたいことが見つかったりするのかもっていう狙いもあったのかもね」
「なるほど。でもそれはいつか俺にやりたいことが見つかったら事務所を辞めてもいいってことになりませんか?」
「まあそうなっちゃうわね。でもしばらくはここにいてほしいわ。あなたにもメリットがたくさんあるはずだしね」
「確かにそうですね。グランさんのこともありますし。まあ元からすぐに辞めるとかはしない予定でしたので」
「なら良かったわ。とりあえず今日はこんなとこかしらね。もう夜も遅いしあなたはシャワーでも浴びて二階の部屋で寝なさい。明日は朝から早速事務所でやることがあるしね!」
「え、ここシャワーついてるんですか?」
「玄関からみて階段の右手の部屋にね。着替えはまあこんなこともあろうかとジャージ用意しておいたからそれを着なさい。寝るのは二階の好きな部屋で。じゃあ私は帰るから。はい鍵。では戸締りよろしく!」
「え~…」
意外と快適だったなシャワー。
部屋はとりあえずめんどいから階段上がってすぐにしよう。
真ん中の階段をあがり~の、左右に分かれてるからなんとなく右にあがり~の、一番近くの部屋!
とりあえず二階は部屋が左右に三個ずつで合計六個か。俺の部屋は右手の一番奥。
これから残りの部屋に住人が増えてくのかな~。
てかやっぱ夜は怖いな。なんとなく変な声みたいのも聞こえる気がする…
トイレはさっき確認したが、一階の階段の玄関からみて左手の部屋と。
部屋を開けるとベッドがまず目につく。てかそれしかない。広さはホテルの二人部屋くらいかな?旧実家の俺の部屋より広いな。
よし!もう色々ありすぎて眠い。さっさと寝よう。
「起きなさいユウヤ!」
「ん~誰だよ」
「所長のコーデリアよ!起きなさいユウヤ、朝ごはん食べて買い物行くわよ!」
「めんどくさい~一人で行けよ~」
「寝起き悪いわね…それとも半魔族化の影響なのかしら…とりあえず起きて!」
「あ~もう起きるよ!」
「キャッ!…危うく殴られて死ぬところだったわ…これは問題ね…対策をいくつかたてないと…」
「事務所の大掃除をします」
一階の食卓で朝食のトーストを食べているとそう所長が言った。
ちなみにここは玄関からみて右手の部屋である。昨日は確認しなかったから初めて入った。
「あ~確かに表はひどいですしね。誰も近寄りませんよあれじゃあ」
「事務所スペースとトイレ・お風呂はやってあるんだけどそれ以外は時間がなくてね~。まあ一人増えたしなんとかなるわ!ユウヤは外をお願いね。私は中をやるから」
「まあそうなりますよね」
「とにかく朝食べたら買い物ね。事務所の備品とかあなたの服とかその他諸々買いに行くわよ」
「え?あ、ありがとうございます」
「まあこれくらいわね。あんま多くは買えないけど。じゃあ食べ終わったわね?ではレッツゴーーー!」
「…テンション高いな」
よし充分休憩もとれたし掃除再開だ!
とりあえず大雑把に草刈るか草。よいしょっと。
…ふ~…この小太刀を久しぶりに、しかもこんなことに使うことになるとは。
さっき久しぶりに入れ物から出した時、なんか申し訳ない気がしたけどしょうがない。
力がないからって理由で研究所の戦闘訓練で選んだ比較的軽い部類に入るこの小太刀。
魔族手術成功後は力有り余ったから二刀流にしたんだよな~…なんか懐かしい。もう一本は今は腰に下げてるけど。
小回りもきくし変な道具を使うより慣れたこっちの方がいいな。
よしさっさと終わらせるか。
「こんなところで何をしてるの?ユウヤ」
格子の門の外側から、記憶とは違う、少し大人になった姿の幼馴染のコトネがそこに立っていた。
コトネ(幼馴染)→19歳・メガネ