アイドル編①
所長コーデリア
主人公ユウヤ
事務員コトネ
霊能力者サヤカ
魔法使いルナ
「暇だ…」
いや、ちゃんとしたお仕事なんだろうけど、やっぱ数時間立ちっぱなしなのはきついな。
『警備』の仕事って聞いたからイメージ的に施設内とかを歩いたりするものと思ってたら、まさか施設の裏口の横でずっと立ってて、関係者以外通さないようにする係とは。
正直関係者すらもあまり通らないですよ。
機械でどうにかなるらしいけど、故障したらいろいろ面倒らしいので人間がやるとのこと。
『次の曲でラストだよ~!みんな~!一緒に盛り上がろうね~!』
『うお~~~~~~~!!!!』
中は楽しそうだな…
とりあえずもう少しでライブも終わる感じか。
ツアー初日乗り切ったな。まだ初日か…ツアー中ずっとこの業務だとさすがに神経やばそうだな。
「ユウヤ君お疲れ~。この後はさっきも話したけど、警備係みんなで出待ちのファンの人達をキセキちゃんに近づけさせないように抑える仕事があるから、よろしく!」
「はい、了解しました」
さあここからが本番だ。
「キセキちゃ~ん!お疲れ~!」
「キセキ~!愛してる~!」
「んしうぇおうvbふさkmckdhmかw」
ど、どこからこんな力が…!
相手は人間だから少しなめて手加減して構えてたらけっこうやばい。
「は~い押さないでくださ~い!」
スタッフの誰かがそう言ったが聞いてないな…
まあとりあえず…ここからは誰も通さん!
よしキセキちゃんとやらが車に乗った!
もう安心かな…ん?なんか魔法の気配がする?あの高台にいる男…!?やば!
「氷よ…」
その時無数の小さな氷の矢がキセキの乗った車に殺到する。
車が動き出す寸前の出来事で、少し周りも油断していたかもしれない。
周りに人がたくさんいて車も回避できず大惨事になると思われたが、事前に察知したユウヤが車の前にたちはだかる。
ユウヤが抜けた分警備が緩んでしまったがしょうがない。
警備の制服から二刀を取り出し、氷の矢をはじくか体に受ける。
制服は頑丈なのでその部分は無視。制服にさらされてない首部分と、ユウヤからは少しそれた矢をはじき被害をなくそうとする。
キセキのファンは逃げ惑うかその場に座り込むなどの状況。
警備は声を荒げて注意を促す者やおろおろしてる者もいた。
そして魔法を唱えた者に向かっていく者もいた。
「ちっ」
魔法使いは向かってきた警備に先ほどとは規模の小さい同じ魔法を浴びせその隙にその場からいなくなった。
「ユウヤ君ありがとう!本当にありがとう!」
「いやそんな」
暑苦しい…
めっちゃ両手つかまれてグワングワンされてる。
魔法の気配を察知できたのはよかったな。日ごろ事務所で魔法使いと接してたり、仕事で攻撃魔法の実験体になってたのがまさか役にたつとは。
でも今回の結果はどうなんだろうな。
十人ほどファンの人達に怪我人がでてしまった。警備の人達にも何人か。
車も少し壊れてるな。まあ中の人達が無事だったのはよかった。
一人も怪我人をださないことが理想だったけどまあ良い方なのかな?
あとで反省しておかなければ。
ん?警備長が小走りでこっちにくる?
「ユウヤ君ちょっといいかな。こっちこっち」
「?」
「とりあえず今日はこの施設にキセキちゃんを泊めることにしたんだ。明日もここでライブだからちょうどいいしね。で、申し訳ないんだけど君にも残ってほしいんだ。もちろん給料は予定の3倍以上だすから。どうかな?」
「…事務所に連絡してみます」
「いいわよ。ここでしっかりコネ作っときなさい!」
「あ、OKです」
「よかった…。とりあえず配置はキセキちゃんの寝る部屋のドアの前になるから。何時間ずつで交代でね。とりあえずえ~とこの部屋に向かってくれる?悪いね細かいことは後で言いにいくから。じゃあよろしく!」
忙しそうだな。
まあとりあえずキセキちゃんとやらの部屋の前に行ってみますか!
と、その前にトイレ行こうっと。
「よし」
トイレは済ませたし手も顔も洗った!
じゃあ行きますか!
ん?なんか奥の通路から一瞬人の声が…
…何が起きるかわからないから一応行ってみるか。
あれは…キセキちゃんとやらか?あとスーツ姿の眼鏡ボーイ。マネージャーかなんかだな。
「なんでこの私がこんなとこで泊まらないといけないのよ!」
「いやですからね?外は危険ですから。お願いだから理解してください」
「嫌よ!だってこんな事態になったのって警備のやつらが無能だったからでしょう?見てたわよ。何人かオロオロしてるの。」
「確かにそうだったかもしれないけど、ちゃんと対処してる人はいたでしょう?」
「い・ち・ぶ・でしょ!もうほんと台無しなんだけど~。こっちはちゃんと愛想ふりまいてライブこなしたのに最後の最後に!」
「いやそこは襲撃者を怨もうよ」
「あん?」
「あ、やば」
「誰だそこにいるのは!」
「あ、すいません本日の警備にあたります者です」
「ん?あなたは確か車の前で…てうわっ!」
「ちょっと今はそれどころじゃないでしょ!」
「え?…あっ!」
「今までの会話聞かれてたと仮定したら色々まずいでしょう!」
「そ、そうですね。えっとではそこのあなた少しお話が」
あ、なんとなく予想できる流れだ。
「その…キセキのことは黙っててもらえないでしょうか?」
やっぱりか。
「お金も多少払っても構いません」
どうする?所長に相談はさせてもらえないだろうし、金は受け取っといた方がいいのかな?
でも所長が言ってたコネとか今後のことを考えると受け取らない方がいいのかな。
金をせびり続けるとサスペンスだと殺されるし。
ここは
「いえ、お金はいりません。もとから誰かに話すつもりはありませんから」
「え?そうなんですか?」
「はい正直芸能人の方はこういうもんだと思っていましたので。ですからえっと、これからも仲良くお願いします」
「…わかりました。あ、とりあえず名刺を渡しておきます。」
「ちょっと!勝手に決めないでもらえる?」
「でも彼は先ほど私たちを身を挺してかばってくれた人ですよ?それだけでもう信用できると思うのですが」
「は~相変わらずちょろいわね。あなた名前は?」
「ユウヤです」
「ユウヤね。じゃああなたはこれからツアー中は私の近くかマネージャーのケンジの近くにいること!誰かに言いふらすようなそぶりをみせたら…事務所つぶすからね。」
「…はい了解しました」
「ふふん、よろしくねユウく~ん?」
めんどいのに巻き込まれた…
新メンバー加入も主人公しかほぼ出番ないとか。
後半からはほかの所員もでてきます。