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半人半妖の事務所労働  作者: 貴志
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魔法使い編⑥

霊能力者サヤカにより『神隠し』に使われた隠し通路を発見。そしてユウヤは、人体実験されたエルフの少女ルナの安全確保。『神隠し』、『魔物退治』の二つの依頼の達成も近い。

夜遅く、村の隠し通路から一人の女性が現れる。

見た目の年齢は30代半ばで、化粧は濃く髪はパーマをかけたロング、そして鞭を持っている。


「あらあらこの様子だともうばれてるみたいね。じゃあもういいかしら…」


そうつぶやき鈴を鳴らす。

すると続々と魔獣が彼女のもとに集まる。


「武器を持っているエルフは食料、それ以外は殺さずこの場所に連れてきなさい」


不思議な声色でそう魔獣たちに命令すると魔獣たちはいっせいに村の中に走りだす。

これが『魔獣使い』の能力の一つである。


「さて、勝手に動いちゃったけど『マッド』のほうはどう動くのかしら」



「きたか…!」


リンクスは村の慰霊碑の隠し通路を戦士団で囲み準備していた。

巡回班から隠し通路の出口で人影をみたという報告を受け、リンクスは戦闘準備万全で待ち構えていた。

もちろん村の入り口にも戦士団は少し残してある。

そして戦闘が始まる。


魔法や矢が飛び交う。

結界や罠の魔法は仕掛けておいたのだが、その恩恵をうけたのはほんの最初だけだった。

そしてエルフと魔獣はほとんどの場所で接近戦を強いられる。

目の前の魔獣を倒したと思ったら、その後ろや上から新手が攻めてきて、そのまま食われたり引き裂かれてしまう。そんな光景も少しずつみられてきた。


「久しぶりの戦闘だ~~~~~!!!!」


そんな狂気じみた声がしたと思ったら、うしろからサヤカが刀『月影』を振り回しながらやってきた。

そして魔獣の群れに突っ込み魔獣を切りまくる。

リンクスは普段のギャップに最初は驚いたが、そんな状況ではないため気を引き締め前線で戦う。


そんな時、村の入り口で爆発音がなる。


リンクスは嫌な予感がして


「そこの魔法使い五人!そう君から君までだ!ここはいいから入り口に向かってくれ!」


そう命令され急いでエルフ五人はその場へ向かう。

するとそこにはあの白髪の男と目が虚ろなエルフの少年少女が5名ほどが、白髪の男の前、横に並んでたっていた。


「次はあそこにいるエルフ達だ。いいね?では…うて」


「「「「「はい…マスター…」」」」」


そして大爆発を起こす。

危険を察知していたためなんとか五人は死の危険を免れた。

防御魔法をいっせいに展開したからだ。

そして運もよかった。

もし一人ひとりがルナ並の魔力であったなら全員死んでいただろう。


「ルナ!ルナ!いるなら出てきなさい!」


そう白髪の男は叫んだ。

いればすぐに自分のところにくるのが分かっているから緊張感もない声だった。

しかしルナは現れない。


「ふむ…まだ村には戻ってないのか?それとももう死んだか?」


「随分冷たいんだな『マッド』さん」


「…!君は…!」


「ユウヤだ。お久しぶり」


「やはり生きていてくれたか…!ルナはどこにいる?」


「…嫌だよ、何で僕がそんなこと教えなきゃいけないのさ」


「…!ふん、まあそうだろうね。実に憎たらしいな~君は。まあいい、ルナの件はあとにしよう。実はね僕は君にも用があるんだ。ユウヤ君…君は被検体だね?」


「…」


「隠してもダメだよ~。元研究員の僕の前であんな身体能力みせたんだから~。だからね…大体わかるでしょう?」


「…はぁ~とっつかまえて研究したいと」


「その通り!被検体をさらに研究することによって、僕の研究はさらに飛躍する!このエルフ達はまだ序の口さ。これからもっともっと僕は!げほ!げほ!すまない興奮しすぎたようだ!」


「…結局研究所をつぶしても無駄だったのかな…」


「なんだい?まあいい…お、いいことを思いついたぞ。取引だ。君がおとなしく綺麗な身体で僕の研究に付き合ってくれるならこのエルフ達は無傷で開放しよう。どうだい?」


「…」


「早くしないと一人ずつ殺してしまうよ?この娘たちは僕のいいなりだから抵抗しないよ?」


「…今だ」


ユウヤはそうつぶやくと右足を軽く上げまたおろす。それを二回繰り返す。

マッドが気付かずユウヤに質問をせまろうとした時、マッドの左手首に短剣が突き刺さる。


「!!…な…グッ!!」


さらに左足にも短剣が刺さる。

そしてそのままマッドは一人の少年に取り押さえられる。

ユウヤと話している間、隠れながらマッドの横に建っていた民家のかげに移動し、ユウヤからの合図を待っていたリュウによって。





マッドがエルフ達を連れて村の入り口にくる少し前、リュウはマッド達を近くの森で発見していた。

少しでもみんなの力になりたいと思い、個人的に巡回していたのだ。


「あいつ…!」


リュウは迷った。

姉をあんな風にした男を許せなかった。

だからこの場で殺してしまおうと一瞬思った。


「…でも俺は…」


リュウは数日前の魔物との戦いで自分の今の力の限界を知った。

一人で出来ることの限界を。


「…ここは…(あん)ちゃんに報告だ」


リュウはユウヤに知らせに行く。

そしてコーデリアとともに対策をたてる。


「とにかく入り口の戦士団はあえてひかせましょう。相手がエルフだとちょっとね。本当はリンクスたちと話し合いたいけど時間がないから、こっちはこっちでやりましょう。じゃあそちらのエルフさん、入り口の戦士団にお願い」


「…はい、わかりました」


「正直力でおされたらまずいわね。ユウヤは病み上がりだし。とりあえずルナちゃんには眠らせるなり隠れさせたりしましょう。ルナちゃんが目的でしょうし。それにいないとわかったらどんな行動とるかわからないから、何か聞かれても答えないようにしましょう」


「…じゃあ俺がその研究員と対面して話をしましょう。で、隙をみて誰かが…リュウできるか?」


「…はい!」


「よし、じゃあ…えらい爆発音したな」


「もう来たわね…」


「くそ、とりあえずリュウは裏口からでて隠れててくれ。俺がなるべく時間を稼いでリュウが短剣を投げやすい位置に移動できるようにする。で、ある程度時間がたったら右足で二回足踏みする。そしたら短剣を投げてあてて、そのまま相手を取り押さえてくれ。申し訳ないが俺は多分いっぱいいっぱいになってるから、そっちから合図をだしてもきづかん。俺からの合図を確認したらすぐに行動してくれ」


「わかった!」


「よし、じゃあ俺は正面から…」


「待って…あれは『マッド』ね」


「知ってるんですか?」


「ええ。元研究員の男で指名手配中の男よ。懸賞金もついてるわ」


「そうですか、それはいい情報を。では行ってきます!」


「いってらっしゃい!」





一回の合図でうまくいくとは思わなかったな。

とりあえず声をだされて命令をだされたら厄介だ。

喉をつぶすか。

いやもう殺した方が早いな。


そしてユウヤは走り、リュウに取り押さえられているマッドを見下ろす。


「リュウ…これから俺がトドメをさすからあんま見るなよ?」


「…いや見るよ。こういうの慣れておかなきゃだし」


「わかった」


「待ってくれ!…あ…!」


「なんか言いかけてたな。なんか情報聞けたかもだけどいいか。素直にはかなそうだし。大丈夫か?リュウ」


「大丈夫だよあんちゃん」


「じゃあそちらのエルフの方たち、とりあえずこちらのエルフ達に催眠の魔法みたいのがあればお願いします」





一方慰霊碑サイドでは…


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