魔法使い編②
少しづつ仕事が増えてきたコーデリア事務所に、エルフの依頼人が来る。
依頼内容は『魔物退治』と『神隠し事件の調査』。
そして所長の提案により、『魔法使いを仲間にする』という目的を胸に秘め、ユウヤ、サヤカ、コーデリアは依頼人の案内のもと、エルフの里を訪れる。
案内人(依頼人)のエルフに導かれとうとう村に着いた。
村の周りには結界のようなものがはられており、それを解除して奥に進む。
そしてこの村で一番大きい家に案内され、これからの予定を話し合うコーデリア、サヤカ、ユウヤ、そしてこの村の長である。
「では魔物討伐の件はユウヤさんにお願いします。この後この村の戦士団の皆さんと合流していただき、そこでこれからの細かい動きを詳しく聞いて下さい」
「はい、わかりました」
エルフの戦士団か…さぞイケメンぞろいなんだろうな。
「ではわたくしコーデリアは村の皆さんに、もう一つの神隠しの件について色々聞いてまわります。自分の耳で実際聞いてみないとわからないこともありますし。サヤカちゃんは何か霊的なものはないか、村中をチェックしてくれる?」
「はい!任せてください!」
「ではユウヤさん、わたしについてきてください」
「はい」
そして村の北の方に行くとこれまた、うちの事務所なみにでかい建物に着いた。
違うところはほとんど木で出来てるところくらいかな。
入り口であの依頼人のイケメンエルフがいた。
「お待ちしてましたユウヤさん。あらためまして私が戦士団団長のリンクスです」
え、この人団長だったのか。
「あ、よろしくお願いします」
「黙っててすいません。本当は私がここまで案内すればよかったのですが、事前に行ってみんなをまとめてからユウヤさん交えてお話をしたかったもので」
「いえいえ」
あ~すごい丁寧な人だな~。
頭の悪い俺にはすごい有り難い。
「では中へどうぞ」
中に入るとそこは大きな酒場みたいな部屋だった。
そして真ん中にある大きな机を囲んでエルフが何人かいる。
で、その周りの椅子とかにもエルフがたくさんと。
五十人くらいかな?
「ではみんな聞いてくれ。この人が今回魔物討伐に参加してくれるユウヤさんだ」
「よろしくおねがいします!」
「…なんか弱そうだな…」
「え、人間かよ…大丈夫なのか?」
「二刀使いか」
「あまりタイプじゃないわ」
まあこうなるわな。
最後の女性の一言は地味に傷つくな…
「はい静かに…では状況の確認だ。魔物のアジトはこの村から北の山奥であることが、今までの調査でわかった。そして一週間前には、村とアジトの間に見張り台も立て、少しずつではあるが良い方向に進んでいる」
「そろそろ総攻撃をしかけますか?団長?」
「いや、まだ敵について不明な点が多いから危険だ。しかし、今回戦闘を専門としているユウヤさんが入ってくれた。だから彼には調査班に入ってもらう。この班が一番魔物と遭遇するからな。そしてその調査で敵のことがある程度わかったら総攻撃を仕掛ける予定だ」
俺そんなに評価されてるのか。
所長…さては盛ったな?
「そいつ本当に強いんですか?」
うん?誰だ?
「リュウか…ユウヤ君は懸賞金つきのテロ軍団を、一人で潰したという功績がある。それだけじゃあダメかい?」
「…だって見た感じ魔法も使えなさそうですし、体もそんな強そうじゃないじゃないですか!納得する方が無理ですよ。みんなそう思ってますよ」
周りを見渡すと、うなずいたり、「そうだよな」みたいな声が聴こえる。
う~ん…俺ってそんなに弱く見えるのか。
「えっと…リンクスさん?あの少年は?」
「彼はリュウ。わずか14歳で戦士団の一員でね…お姉さんのルナが神隠しにあってるんだ。だから少し焦ってる。あまりきついことを言われても気にしないでくれると助かる」
「何話してるんですか団長!そいつは本当に戦力になるんですか?証明して…!?」
「…これでは納得してもらえないだろうか」
少しだけ魔族の力を開放してリュウ君に急接近してみた。
正直もう少しでぶつかるところで焦ったがなんとか平静を保てたな。
「はい、そこまで。ユウヤ君ありがとう、充分だ。リュウもこれでいいだろう?」
「え、あ、うん…」
「よし!では、調査班、巡回班、そして見張り台の交代班にそれぞれわけるぞ!」
なんか悪いことしたかな。
めっちゃリュウ君こっち睨んでるし。
あ~幸先不安だな。
とりあえず俺は予定どおり調査班になった。
まあこまかくいうと調査班の護衛みたいな感じなんだけどね。
そしてリュウ君も一緒。
みんながあまりやりたがらない調査班に志願していた。
調査班は神隠し事件のも兼ねているらしいから、お姉さんのことが気になるんだろう。
エルフのみなさんや所長は魔物と神隠しの二件は関連しているとふんでいる。
まあそこらへんはあちらに任せるか。
そして俺とリュウ君含めた調査班約十名は森の奥へと進んでいく…