霊能力者編⑤
儀式に乱入しようとしてきたテロ組織『乱獲祭』を撃退し、さらにサヤカの『降霊術』の手伝いに成功したユウヤ。今回の件で『霊能力者』の存在の重要性を感じたユウヤはサヤカを事務所に誘う。
「ではお世話になりました」
サヤカの家の者たち一同にそう告げて、ユウヤはその家をあとにする。
ユウヤにとって初めての大仕事はこれにて終了した。
死体の片づけ、清掃などは公安が駆けつけてくれて、魔法などを用いて短時間で終わらせてしまった。
テロ組織『乱獲祭』の懸賞金はのちに事務所に払われるそうだ。
「う~ん、やっぱ魔法って便利だよな~。事務所に魔法使いほしいな~」
さてこれから駅に向かって帰るわけだが、なんかお土産でも買っていったほうが良いのだろうか?
…ま、駅になんかあるだろう。早く帰ってゆっくりしたい。
…サヤカさんは仲間になってくれるだろうか?
「ユウヤさんの事務所に私が?」
「いかがでしょうか?」
「え、でも急に言われましても…」
「もちろん強制はいたしませんし、今すぐ答えを出してほしいというわけではありません。今回のお誘いも所長の指示でもなく俺の独断です」
「どうして…ですか?」
「…楽しかったからです」
「楽しかったから?」
「はい。もちろん霊能力者が事務所に入ってくれれば、うちの仕事の幅が増えるからという理由は否定いたしません。でもそれよりも、一部ですが一緒に生活、除霊などの活動をしていく中で居心地が良いといいますか、なんかうまく言えませんが楽しかったんです」
あ~うまく言葉がでない…
やっぱ俺には説得みたいなことは無理っぽいな。
こういうのは所長とかに任せた方がよかったかな。失敗した。
「とにかく…サヤカさんが必要なんです!」
「…!それって…!」
ごり押しにもほどがある…
ボロがでないうちにさっさと切り上げよう…
「あ、もう家に着きましたね。この後色々ゴタゴタすると思いますので返事はまた後日!事務所までご連絡ください!」
「ただいま~」
「あらおかえりなさいユウヤ。今回は長旅お疲れ様」
「お疲れ様です。あ、これお土産のクッキーです。もう荷物置いて部屋で寝ます」
「はいはいわかってるわよ。ゆっくりしなさいな」
「おやすみなさ~い」
それから二週間ほどたった後事務所に尋ね人が現れた。
「おはようございます!本日からこちらの事務所でお世話になりますサヤカと申します!よろしくお願いします!」
「え?サヤカさん?断ったのでは?あれっきり連絡がないのでてっきり」
「いえ、こちらの所長さんに、ユウヤさんがお帰りになられた次の日にご連絡をさしあげたのですが。よろしくお願いしますと」
「所長?」
「まあ仕返しみたいなもんよ。あなた、この私に無断でこの娘誘ったでしょう。それでまあこの娘にはユウヤにはもう連絡してあるからしなくていいわよて言っておいたの」
「え~…」
「まあそういうわけよ。サヤカちゃんは来週から近くの高校に編入するみたいで、家はここだから。わかってると思うけど変なことしないでね」
「しませんよ…」
まあ夜這いとかかけられたら無理ですけど。
さすがにそんなアクティブな娘ではないか。
しかし制服姿は新鮮でいいですな。
水色のスカートに白いセーラーか…やばいな。
とりあえずコトネは俺を蹴らないでね。
「う~ん…まあとりあえずこれからよろしくねサヤカさん」
「『サヤカ』でいいですよ?ユウヤさん。あと敬語もやめてください。ユウヤさんは年上ですし先輩ですから!それに呼び捨ての方が個人的にうれしいですし…」
「?じゃあ…サヤカ、これからもよろしく」
「…!はい、よろしくお願いします!ユウヤさん」
『霊能力者』所属。