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半人半妖の事務所労働  作者: 貴志
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ドキドキ実験生活

人体実験開始。


ユウヤ(主人公)→17歳男

キサラギ(研究員)→40歳男

とある人体実験が行われていた。

それは、主に『人間と他種族のハーフを作る』というもの。


この世界は人間や動物の他に、魔族、エルフなどの種族が数百年前から存在しており、様々な歴史を重ね、なんとか共存をしている。もちろん争い等は今でも多々発生しているが。


過去に人間は、魔族やエルフがもっている、人間の何倍以上もある身体能力や、魔法などの特殊能力がほぼなかった為、度々窮地に立たされていた。


それでも弱いなりに知恵をしぼり生き残っている。おそらく人間という種族が一番頭が良いと他種族には評価されている。一番ずるがしこい、卑怯などという声も大きいが。


そして他種族に対抗する為様々な研究を重ね、近年では人間でも一部の魔法や超能力を訓練次第で使えるようになった。


さらに欲がでてきた人間は、自らの種族を実験対象にし研究を重ねることになる・・・。





ユウヤが目を覚ますとそこは見慣れない白い天井だった。


ボーッとしつつ上体を起こし周りを見てみると、他にも数人いることがわかる。

寝たままの人、近くの人と喋ってる人、自分と同じくボーッとしている人。

その数人の第一印象は、『あーなんか特徴ねーなー』という感じ。自分もだけどね。


部屋の感じは・・・、広さは普通の学校の教室くらいかな?でベッドが数個あると。

うん、さっぱり状況がわからん。



まあとりあえずのんびり待つとしよう。



数分後、細身の幸薄そうな顔した白衣のおっさんが入ってきた。

なんかのファイルを見ながら、見た目を裏切らない小さい声でこう言った。


「えー突然で申し訳ないんだけどねー、今日から君達はーこの施設で暮らしてもらいます」


ん?


「あー少し細かく言うと、ただ一緒に生活するのではなくて、えーわかりやすく言うと、君達はいわゆる人体実験の対象者に選ばれましたので、色々薬を打たされたりその他様々な行動をしながら暮らしていってもらいます」


え?俺売られたの?


「まあ大まかな事は以上。あ、私のことは『キサラギ先生』と呼んでください。では細かい説明に入りまーす」


え、ちょ。



その後、質疑応答なども交えて説明が終了。

んー、とりあえずまとめると



実験の目的は『人間と他種族のハーフ作り』(へー)

実験対象者の選定理由は特徴や特技など秀でたものがない者や将来性がない者である(ひでーな)

一日に数回、他種族の成分みたいなもんを投与される(気持ち悪っ)

食事は三回でて、内容は他種族の肉とか(うげっ)

戦闘訓練(格闘や武器を使ったもの)を主とした運動あり(めんどいなー)

もちろん座学というか授業みたいなもんも少しある(マジか)

一日の終わりに身体の検査がある(まあまあ)

家族には了承済(了承したのか)



こんなもんか。あとはそれぞれの経過によって色々変わるんだと。

そして一人一種族固定。

ちなみに俺ことユウヤは魔族担当。なんとなくエルフとかの方が良かったなー。

人間の頭脳に魔族の身体能力が理想らしい。


「はー、この先どうなることやら」


そう呟き、ユウヤはこれからの実験生活に多くの不安とほんの少しの期待を抱き、暮らし始める。





正直しんどい。


飯はまずいし薬投与された後は乗り物酔いした状態みたいになるし戦闘訓練は疲れるし娯楽として本はあるけど小難しいやつばっかだし薬の影響かなんかで気持ち悪くて寝苦しいし。


しかも運が良いのか悪いのか、俺はそれなりに成果がでてるらしく実験内容も少しきつくなるとの話。

普段の今までの周りから全然期待されてない高校生活の方が全然ましだな。中断されたけど。確か俺は一身上の都合により自主退学みたいな感じになってるんだっけか。


みんな何してるかな。

特にコトネはどう思ってるだろうか。あのメガネのクール幼馴染のことだから意外と気にしてないのかも。

そうだとしたら残念すぎるな。

家族は…どうなんだろう?





ユウヤは両親と姉と妹を交えた三人兄弟の真ん中の存在である。

姉は勉学に優れ一流大学に、妹は天才ピアノ少女として中学では有名人である。


そしてユウヤは、運動は少し足が速い程度、勉強は中の中、高校は少し勉強すれば入れる無難高。

とにかくユウヤは何をするにしても長続きせず、やりたいことも将来なりたい職業も特になし。


友人関係は数人で固まっている様子。そして周りからは羨ましがられている女の幼馴染のコトネがいる。高校一年の中間と期末の結果はほとんどが平均点あたりをうろうろ。


だからこそ実験対象者に選ばれてしまった。





「ユウヤを実験の対象に?」


「はい。理由は今話したとおりです」


多額の金を積まれ、その他様々な保障の約束を提示され最終的にユウヤの父は承諾してしまった。

ユウヤの実験の話が出た時、母親は金に釣られ賛成、妹のユイは兄の取り柄がないことで周りから色々言われ嫌な思いをしていたので賛成、姉のユリコは弟を溺愛していた為最後まで反対していたが強引に押し切られてしまった。


そして周りの友人たちは、ユウヤの自主退学に最初は驚いていたものの、変に空気を読んで割とすぐにユウヤのことを気にしなくなっていった。

幼馴染のコトネはというと・・・





ドキドキ実験生活もなんだかんだで一年が過ぎた。普通に学校に通ってれば三年生か。

人間とは恐ろしいものでこの実験生活にも慣れてきている自分がいる。同期が急にいなくなったりしてももうあまり気にしなくなってきている。


「じゃあユウヤ君、最終段階に入るから明日手術ね」


そんなある日、キサラギにそう告げられた。


「え?手術?」


「あー手術とは違うかな?えっと、今までは慎重に用量を増やしつつ魔族の成分なんかを投与してきたけど、もう君の身体は割と魔族に対応してきてるから、少量ずつじゃ成果でなくなってるの。だから一気に大量に投与しようって話。本当は魔族の肉を移植したかったんだけど、先日失敗しちゃってね。」


「はぁ~、わかりました」


なんかさらっとすごいこと言った気がするな。まあ抵抗しても無駄だから了承しておこう。


よし、じゃあもう寝よう!では手術へ!





手術室?のベッドの上で目覚めると俺を五人程の研究員がのぞきこんでいる。


そして名前やら生年月日やらを聞かれてなんとなく答えた後、別室に移動させられ身体能力の検査を行ったところ、人間ではありえない数字をたたき出していた。


「やった!成功だ!」


「素晴らしい!」


などの声が聞こえてくる。そこで自分は一瞬こう思ってしまった。



あれ?さっきからなんでゴミが喋ってるんだろう



?何だ今の考え、え?


その後カウンセリング等をうけたところ、どうやら自分は魔族の身体能力だけでなく『思考』までも一部受け継いでしまったらしい。


えっと確か、魔族は実力主義で強い者が偉い・すごいという風習で、魔族の身体能力は人間の身体能力の数倍以上。デコピンとかで人殺せるんだよな確か。だから虫みたいな扱いをするらしい。そんな人間が魔族に向かってあーだこーだ言ってきたら、そりゃあうざいよな。


だから自分はさっきの考えが一瞬浮かんでしまったのか。で、自分は半分は人間だし疑問を覚えたと。魔族だったらそのまま研究員殺してたかもしれないな。怖っ!





正直しんどい。


実験成功後、人間の発言とか行動に対してすごい敏感になってる。今すごい短気な人間みたいな感じになってるな俺。我慢我慢!


とりあえず今はリハビリみたいな期間だ。情緒かなり不安定だし。戦闘訓練も徐々に再開してきて、こっちは主に力の調整がメインだ。





そしてユウヤの身体が落ち着いてきたある日、運命の日を迎える。

ユウヤ→18歳

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