光を求むモノ
真っ暗な世界。 僕の視界には一面の黒しか見えない。
ただ何も見えない空間を歩いている。 歩いたところで何かあるわけではない。 何かを得るために歩いている。 何かは分からない。 それが何かを確かめたいから歩いている。
暗闇の中に、一つの小さな光が見える。 それは、辺りを照らすわけではなく、ここにいると主張しているようだった。
僕は、その光に近づこうとする。 僕が近づこうとしたら、光が離れていく。 歩く速度を上げても、その速度に合わせて、光は離れていく。 走っても、同じ速度で逃げられて、結果は同じだった。
「どうして逃げる!」
そんな心の葛藤をしながら、光を睨みつける。
光に近づけない。 だけど、僕は追い続けた。 この光は何かを得るのではないかと期待しながら……。
僕は、光を追い続けたが、一向に距離は縮まなかった。
「なぜそんなに離れる! そんなに僕がいやなのか! 諦めるまで追っかけてやる! お前が嫌と言うまでな!」
それから、僕はただひたすら光を追いかけた。
何もない暗闇から見える、唯一つの光。
何を示しているか分からない。
けれど、一つだけ分かることがある。 この光は、今の僕を変えてくれる光であると。
僕はまだ追いかけた。 しぶとく追いかけた。 体が疲れ切った状態だろうと追いかけた。
そして、光は少しずつ近づいていった。 少しずつ、少しずつと……。
けれど、まだ足りない。 近づいてはいるが、まだ遠い。
僕はまた走った。 周りは暗闇で何も見えない中、光を求めて走った。
もう少しで光を掴める距離まで近づいた。
「あと少しだ! あと少しで掴める!」
僕は無我夢中で走った。 ただひたすらに光を追いかけた。
そして、遂に光を掴んだ。
「やっと。 やっと……掴めた」
すると、光は輝きを増し、周りを照らし始めた。
今まで暗闇だった世界がまるで新世界のように世界を変えた。
上を見れば綺麗な青空が広がっており、前を見れば、緑の草木が風によってなびかせていた。
僕は掴んでいる光を見た。
その光の暖かい光は、大丈夫だよと微笑んでいるようにも感じた。
僕は前へ進んだ。
光を掴むという願いは叶ったが、まだ僕は全ての願いが全て叶ったわけではない。
僕は前へ進んだ。
後悔はしたくない。
だからこそ、前へ進んだ。
今できる全力を出して。
次の願いを叶える為に……。
読んで頂きありがとうございました。