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「被害者は真柴ましば 秋彦あきひこ……て、真柴先輩なんですか?」

 小折は捜査資料に目を落としたと思ったら直ぐに、隣に腰を下ろす岐志に声を掛けた。その目は驚きによって見開かれている。

「天田、真柴を知ってるのか?」

 岐志も小折と同じように捜査資料に目を落とし、そして直ぐ様驚いたような表情になった。しかし、それは小折とは別の理由だ。

「というか、お前、被害者ガイシャも知らなかったのか」

「あ、はい。本来は捜査本部に参加する予定ではなかったんですが、担当の二係の佐伯さんがぎっくり腰で……、てそうじゃなくてっ」

 小折は自分がここにいる経緯を丁寧に説明しかけて、今はそれどころではないことを思い出した。実際のところは、捜査本部に参加するのは小折の所属する三係ではなく、二係なのだ。けれど二係の古株、佐伯が今朝家を出る際にぎっくり腰になってしまい、仕方無く隣の係で、非番である小折が人数集めの為に召集された次第だ。だから、事件内容を聞く時間もなく、ただ、現職の刑事が殺されたとだけ、聞いていたのだ。大分人員の揃った会議室は圧巻の見た目だった。それでも、マスコミ対応に頭を悩ませているらしい上司達はしきりに渋い顔をしている。

「真柴先輩、何度かお世話になりました。本当に優しい先輩で……」

 小折は言いながら、丸い瞳に涙を浮かべた。脳内には秋彦との思い出が蘇る。あれはまだ、小折が刑事になる前──警察官だった頃の話だ。同じく警察官であった秋彦はいつも人懐っこい笑みを浮かべた好青年で、いつも職務に不慣れな小折の面倒をよく見てくれていた。それを思い出すだけで、小折の目には涙が溢れてくる。

「泣くのは後だ。まずは、真柴を殺害した犯人を捕まえてこそ、真柴への一番の供養になるんだからな。泣くなら、犯人逮捕後、真柴の墓前で報告しながら泣け」

 岐志はいつも以上に強い口調で言った。そこには犯人への憤りを感じる。小折同様、岐志にも、秋彦への思い出があるのだろう。

「岐志さん……」

 小折は岐志の言葉に更に泣きそうになりながらも、無理矢理その涙を飲み込んだ。そうだ。犯人逮捕こそ、秋彦への供養となる。秋彦のこれからまだ先の長い人生を無惨にも摘み取った犯人。それを捕まえること。

「今回は、警察も躍起になるだろうから、解決は早いだろう」

 岐志の言葉に小折は飲み込んでも溢れ出てしまった涙を手の甲で拭いながら頷いた。

 ──現職の刑事が殺害された。

 これは、警察の威信に懸け、何が何でも犯人をいち早く逮捕する。今回の捜査はそこに重点が置かれることだろう。小折としては、それは何処か腑に落ちない気もするが──殺人事件は被害者が一般人であろうとも迅速を極めるべきものだからだ──、それでも、小折の私情としても、一秒でも早く秋彦を殺した犯人を捕まえたい。

 小折は決意を固め、捜査会議へと挑んだ。


「颯ちゃーん、お姫様が起きたよ」

 颯真がホットプレートを仕舞っていると、色羽が呼んできた。

「お、起きたか」

 颯真は急ぎ足で比奈子の元へと向かい、そして直ぐ様頭をがばりと下げた。それに、何とか起き上がった様子の比奈子は目を丸くしている。何が起きているのか理解出来ないのだろう。

「びびらせて、悪かった。理由は、聞かない。でも、怖がらせたことは確かだから、謝る」

 颯真は頭を下げたまま、そう言った。

「……大丈夫、です」

 比奈子は色羽が掛けてあげた毛布で顔を半分隠しながら、小さな声で言った。

「ごめんね?」

 颯真に続けて色羽も謝る。

「あ……あの、私……」

 比奈子はぼそぼそと、か細い声を出す。先程起きたときとは少し様子が違う。もしかしたら、まだ少し怖がっているのだろうか。颯真はそんな不安を抱えながら頭を上げた。

「さっきは、まだ混乱してたので……その、平気だったんですが……」

 ということは、今はもう混乱状態から抜け出せたということだろうか。颯真は色々と考えながら比奈子の大きな瞳を見た。すると、比奈子はぱっと俯き、颯真から目を逸らす。颯真はそれに微かに傷付きながらも、自業自得か、と内心溜め息を吐いた。

「あの……私、小さい頃の、出来事が影響して……、対人恐怖症……なんです。その、自分で言うことでは、ないのかもしれませんが」

 比奈子はやっと、という調子で喋っている。精一杯、一生懸命。苦手だけど、きちんと伝えなくては、という想いが伝わってくる。もしかしなくとも、少しは信用してくれているのかもしれない。颯真はそう思い、先程傷付いた心が癒えるのを感じた。

「うん、わかった。何か気を付ければいいことってある?」

 早くも比奈子の状態に順応したらしい色羽が、比奈子から少し距離を取って尋ねた。確かにそれは、聞いておく必要があるだろう。これから、出来る範囲とは言い、比奈子の兄を殺した犯人を探し出すのだから。

「えっと……その……」

 特に思い付かないのか、比奈子は口ごもってしまった。顔を毛布で半分隠したまま、大きな瞳だけが揺れている。

「うん、あれだね。今まであまり人と接してこなかったから、何を気を付けてもらったらいいか、思い浮かばない」

 色羽が大きく頷きながら言う。こういう、色羽の観察眼というか、相手のことに気付ける部分を颯真はいつも尊敬していた。何分、颯真はわりとというか、かなり雑な性格をしているので、こういったことはまず出来ない。

 比奈子は色羽の言葉に、はい、と本当に小さく頷いた。

「わかった。それはこっちで追々理解していくね。でも、お兄さんを殺した犯人を捕まえる為にも、出来るだけ協力はして欲しいんだ」

 殺した、という響きに比奈子の肩が僅かに揺れた。混乱状態から脱したといっても、全てが元通り、というわけにはいかないのは当たり前だ。誰だって、身内が殺されて数時間で日常を取り戻せるわけがない。そしてそれは、数時間どころか、何年経っても、だ。

 表面的には何事もなく日常を送れるようにはなる。それも、思っていたよりも早いうちに。けれども、その出来事は心の奥底に根付き、一生消えることのない傷となる。瘡蓋かさぶたになることも出来ず、風化することもなく、確実に膿んだ傷として残るのだ。それは、颯真が痛いほどに体験したから言えることだった。

「それは……勿論、です。……宜しくお願い、します」

 この場面で、宜しくお願いしますという言葉は酷く不釣り合いに感じられた。けれど、それ以外の言葉がないのも確かだろう。

「よし、じゃあまず、兄貴の名前と年齢、そんでもって、いた警察署を教えてくんねぇか?」

 颯真は少しだけ重くなった空気を変えるように、わざと大きな声を出した。すると、それに比奈子がびくりと反応する。

 ──大声は、禁止。

 颯真と色羽は顔を見合わせてそれを確認した。

「す、すみません。気にしないで大丈夫です」

 比奈子はおずおずと発言した。

「大丈夫大丈夫。ただ、颯ちゃん、ちょっとがさつだからごめんね?」

 色羽が颯真に対して失礼なことをさらりと言う。

「おい、がさつってなんだ」

「ごめん。ちょっとじゃないや。かなり、がさつなんだ」

 色羽は颯真の方を見ず、比奈子に笑顔で付け加えた。

「おい、かなりってなんだ」

 確かに、自分でも優雅ではないと、胸を張っては言える。けれど、人に言われるのはまた別の話だ。自分の短所というものは、他人に指摘されるほどに嫌なものではない。

「本当のこと言っただけだよ?」

 色羽は悪びれもせずに言う。颯真はそれに、ちょっと待て、と色羽の肩を掴んだが、色羽はそれをいとも容易く振り解く。

「颯ちゃんの性格を表すのに、がさつ以上にしっくりとくる言葉はありません」

 尚も、続ける。

「確かに俺はがさつかもしんねぇけど、人に言われると腹立つんだよ」

「自覚あるならいいじゃない」

「だから、そういう問題じゃねぇんだよ」

「じゃあ、どういう問題ですか?」

 このままでは埒が明かない。何よりも、颯真は色羽に口で勝てる気がしなかった。それは昔からそうだった。色羽は颯真よりも何倍も、何十倍も頭が良い。それに加えて、頭の回転も早ければ、口も達者だ。そんな色羽に、頭は良くないわ、加えてボキャブラリーも少ない颯真が勝てるはずもないのだ。

「お前は……本当、ああ言えばこう言う──」

 颯真がわなわなと唇を震わせたそのとき、くす、と小さな笑い声が聞こえた。そして、それが色羽のものではない証に、色羽は頬を膨らませていた。颯真はその笑い声に驚き、きっと、その笑い声をあげた本人である比奈子に目を向けた。

 比奈子はいつの間にか毛布を顔から外し、目を細めて笑っていた。元々顔立ちが可愛いだけに、その笑った顔は尚のことだ。しかも、彼女は今までずっと怯えた表情をしていたので、更にその可愛さは際立つ。

 颯真と色羽は言い合いをしていたのも忘れて、暫しそんな比奈子の顔に見入られていた。すると、二人の言い合いが止んだことに気付いてか、比奈子はぱっと笑うのを止め、再び毛布で口元を隠し、目線を下に落とした。

「ご……ごめんなさい」

 比奈子は口喧嘩らしきものに笑ってしまってことを申し訳なく思っているのか、消え入りそうな声で謝罪をしてきた。

「少しでも笑えんなら、大丈夫だな」

 颯真はに、と笑顔を浮かべて、比奈子の頭を撫でた。絹のように細い髪の毛はさらさらとしていて、柔らかくて、手触りがよい。それはまるで子どもの髪の毛のようだ。

「ごめんね? 颯ちゃんが五月蝿くて」

 色羽は比奈子の正面に座り、可愛らしい笑顔を作って言う。

「五月蝿くしてたのは俺だけじゃねぇだろ」

 颯真は色羽の言葉にすかさず突っ込んだ。

「だって、颯ちゃんの声、五月蝿いじゃん」

 それは、言い掛かりだ。颯真はそう思った。颯真の声は寧ろ低い方なので、耳障りというほどの声ではない。ただ、人より少し声のボリュームが大きいので、五月蝿いか五月蝿くないかと言われれば前者なのだが、颯真自身にその自覚はない。

「まあ、いいわ。言い合いしてても話は進まねぇしな」

 颯真は気を取り直し、軽く手を叩いた。比奈子も大分落ち着いたのか、漸く顔を隠すのをやめてくれ、可愛い顔を颯真に向けている。

「じゃあ、まず、兄貴の名前と年齢。後は働いてた警察署を教えてくれ」

 颯真が言うと、色羽が自分の鞄から少女趣味のようなうさぎがプリントされたメモ帳とポールペンを取り出した。どちらも同じキャラクターらしく、お揃いで購入しただけか、セット売なのかはわからない。

「兄の名前は……真柴 秋彦、です。今年、三十歳で、去年の春までは湊端みなはた市の交番勤務でしたが、その後、所轄の刑事になりました」

 湊端市。それは颯真が住んでいるところの隣市だ。

「元々は何処の交番にいたの?」

 色羽がメモを取りながら質問する。

「元々は、この市です」

 比奈子は颯真達に慣れてきたのか、淀みなく受け答えが出来るようになってきた。目線も、逸らすことなく、質問してきた者にきちんと向けている。

「だって。颯ちゃん、知ってる?」

 この街に住んで二年。とはいえ、この市だけで幾つ交番があるというのか。その中でも颯真が顔見知りの警察官がいるのかは、片手で足りる程度だ。二年以上前ならば、もっと多くの警察官にお世話になっていたので知っている可能性も上がるが、今となってはなかなかに難しい。

「ううん、いや、真柴、てのは聞いたことないな」

 色々な警察官の世話になっていのは、この街に移り住む前だし、世話になるようなことをしていたのも、この市ではない。この市を訪れることはあったにしても、頻繁に警察官の厄介になっていたわけでもない。

「……警察官のお知り合いが、多いんですか?」

 比奈子の質問に、颯真は、いや、と歯切れの悪い返事をした。

「多いっつぅか、なんだ、その……」

「颯ちゃん、ヤンキーなんだよ」

 颯真が返している途中で、色羽が割り込んだ。しかも、颯真が言い渋っていたことをさらりと。

「ヤンキー……?」

 比奈子がそれに一瞬、表情を曇らせる。確かに、対人恐怖症の娘からしたら、ヤンキーなどという人種は恐ろしいものにしか思えないのがしれない。

「おいっ……」

「その昔はね、何とかっていうグループにも入ってて、日夜喧嘩を繰り返し、あまつさえ、そっち系の知り合いまでいるんだよ。凄いでしょ」

「おいおいおい。ちょっと待て」

「そんでもって、二年前、所属してたグループのリーダーに、次のリーダーはお前だ、て任命されたにも関わらず、いえ、俺は、卒業します、とかいって、グループ抜けたの。ヤンキーに卒業って何? 卒業って、何処のアイドルですか? て感じだよね。てことで、今は自称善良な一般市民だから、比奈ちゃんも怯えなくていいよ」

 色羽は勝手に颯真の人と成りについての説明を比奈子へと伝えた。所々突っ込みたいところは勿論あるし、何にせよ、それは色羽の主観たっぷりの説明であった。だが、それでも大半、いや、大幅に間違いではないので、颯真としても何を言えばいいのかわからなくなった。

 事実、颯真は二年前までは所謂、世間一般で「ヤンキー」と呼ばれることをしていたのだ。ヤンキー、という言葉自体死語に近いのかもしれないが、不良、という感じでもなければ、ギャングでもない。はたまた、完全にそっち系だったというわけでもない。

 ただ、バイクを気が向いたときに乗り回し、家にも帰らず、夜中じゅう街を徘徊し、同じような奴等と喧嘩をし、それでもって、金髪とジャージ姿。それを色羽はよく、「何処からどう見ても完全なヤンキーだね」と称していた。

 けれど、颯真自身、人様に迷惑を掛けるような行いだけはしない、と固く心に誓って行動してきたのだ。確かに、深夜にマフラーを改造したバイクの音は五月蝿いだろうし、喧嘩に負けたりして、血塗れになって道端に倒れているのだって、迷惑と言えば迷惑かもしれない。実際、その度、警察のご厄介になり、警察官の方々にも多大な迷惑を掛けたかもしれない。しかし、颯真が言いたいのはそういったことではなく、人の道に外れた行い、というのが、人様に迷惑を掛けるような行い、ということだ。

 盗み、恐喝、暴行、薬、殺人。所謂、犯罪、と呼ばれるもの。

 バイク音は確かに騒音ではあるが、決して人が通らない車道を走ったし、法定速度も厳守した。喧嘩だって、同じようにヤンキーと呼ばれるような奴等とだけで、無関係の人間にいきなり殴りかかったりはしなかった。それは、颯真が入っていたグループの決まり事でもあったし、颯真自身、それだけはしてはいけない、という信条があった。

 家にまともに帰らなくなり、同じような仲間とつるみ、グループに入ってから四年経ったある日、グループのリーダーが真っ当に生きる、と宣言をした。大柄で野性的さも感じさせながら、それでいて穏和な瞳をした人。それが当時のグループのリーダーだった。まだ十四歳という年齢で、家にも帰らなくなり、日がな一日、街中を彷徨うろつく颯真を拾い、グループの一員にしてくれたのも彼だった。

 彼がグループを抜ける決意をしたきっかけは、母親の死だった。最期まで自分の行く末を心配していた母親に、死後くらいは安心して欲しいから、と選んだ道だったのだ。そして、そんな彼は、次のリーダーに、颯真を任命した。十八歳という年齢は悪ふざけをするのに若い年齢でもない。グループ内に彼の意向に反対する者はなく、誰もが颯真を次期リーダーとして認めてくれた。それでも、颯真は即座にそれを辞退した。そして、同時にグループを抜けることも告げた。

 当時のリーダーを含め、グループにいた人間全員がそれに驚いた。彼について辞めるのか、とも訊かれた。勿論、それが全くないとは言えなかった。恩人と共に過ごす時間。だから、グループにいたとも言える。けれど、それだけではなかった。彼以外のグループの人間のことも信頼していたし、心から仲間だとも思っていた。

 ──これからは、真っ直ぐに生きます。今までよりも、もっと。

 それが、颯真が皆に告げた言葉だった。なにというきっかけがあったわけではない。たんに、潮時だろう、とすとんと、そう思い、そのまま実行したに過ぎなかった。

 そのとき、独り暮らしをすることを決意し、この街に移り住んだのだ。元々、自宅には殆ど帰らない生活をしていたので、親にこのことを告げることもかった。告げたところで何の反応もないのもわかっていたし、何より、親と会話をするのが颯真にとって恐怖以外の何物でもなかったのだ。

 ──と、颯真の短い人生についての説明は一旦終わり、とばかりに色羽が声をあげた。

「さ、どうでもいい話は置いといて」

「どうでもいいって、お前が勝手に言ったんだろ」

「きゃー、颯ちゃん怖い。比奈ちゃんが怯えちゃう」

 色羽は通常より甲高い声で、棒読みの如く、感情の籠らない科白を吐いた。それに、比奈子がまた、くすりと笑う。

「ま、話を続けようか」

 色羽が颯真を無視して、比奈子へと向き直った。色羽は、颯真がどんなに家に帰らずとも、どんなに悪い連中とつるもうと、決して離れることをしなかった。元々、家が隣同士で、生まれたときから一緒にいるのだが、いつも、昔と変わらず颯真を見てくれた。そして、颯真にとってそんな存在は色羽しかおらず、颯真にとって、それはかけがえのない存在と言っても過言ではなかった。けれど、それとこれとは別、というのが存在するのも確かなわけで。

「ええと、聞きづらいことを聞くけど、お兄さんが誰かから恨まれてたってことは?」

 しかし、色羽は颯真の心情など、察する気配もなく話を続けた。

「……それは、よくわからないんですけど、職業柄的にはなくはないのかなって」

 確かに、と颯真は頷いた。警察官、刑事。本人達は市民の為に働いているつもりだろうが、恨みを買うこともあるだろう。実際、颯真も警察官に良くない感情を抱くことも度々あった。けれど、それで殺人を犯そうとも思わないが、そういう発想に至る人間もいるだろうとも思う。

「そっかー。そうだよねー」

 うーん、と色羽が唸る。素人捜査は既に行き詰まった気しかしない。颯真は深い溜め息を吐いた。

「取り敢えず、颯ちゃんの知り合いの警察官の人達に知ってるか訊いてみる?」

 色羽の提案に頷いてはみたが、それをしたところで、事態が進展する気もしない。颯真はやれるだけは、とスマホを手にした。

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