隣の席は欠席中。
石川さんは変わった人です。
でも、いないと僕の調子がくるってしまいます。
だって、マニアックな本の感想を誰にも聞いてもらえないからです。
「今日の欠席者はいませんか?」
今日も保健委員が欠席者の確認をしています。
でも、僕は思うんですよ。なんで欠席者を確認するんでしょう?
いらないですよね。「あ、だれだれ欠席なんだー。ふーん。」でみんな終わりますよね。
みんなじゃなくても僕は思います。
あと、なんで手紙書くのですか。あれもらったことありますけど意味ないですよね。
「今日の給食、ゼリーついてきたぜ。いいだろ!」とかもらって誰が喜ぶんですか。
ふーん、そうなんだー。くらいしか出てきませんよ。
あと、あなたはどこぞの小学生ですか。
「あ、石川が欠席だ。」
え、本当ですか。
石川さんが欠席しました。
やったー、これで石川さんのお母さんに入荷情報教えてもらえますね。
「じゃあ、授業始めるぞー。」
これでまた僕のこれコレクションに花が咲きます。
ありがとうございます。石川さん。
あ、人の不幸は蜜の味って本当ですね。
「あと、田村。石川のノートとっとけよ。」
「・・・はい。」
嘘です。さっき言ったことを訂正します。
人の不幸は不幸です。
でも、授業は終わりました。
ついでも言うと放課後で下校です。
早いと思いましたよね。
実際早いです。今日は特別で午前中だけでした。
なんて石川さんはタイミングがいいんでしょう。
「こんにちは。石川さんのお宅ですか?」
当たり前のことを堂々と聞く僕。
普通どんな家でも言いませんか?
そんなこと言っている間に玄関に入れてもらいました。
「はーい。あら、旭君じゃない。」
「はい、旭です。」
「ごめんね。あの子ったら熱出しちゃって。」
「知ってます。」
「じゃあなんで。」
「お届けものです。」
「ああ、学校の。」
「はい。」
僕のことをわかっていながらもう一度聞く石川さんのお母さん。
さっさと渡して帰ろう。
「はやかったわね。」
「特別でしたから。」
「そう。上がっていく?」
「結構です。お気持ちだけで十分です。」
そう言って、届け物を渡して帰りました。
石川さんが休んでも僕は疲れます。
石川さんの届け物で2倍ノートを書かなくてはいけないからです。