隣の席は部活中。
隣の席の石川さんは変わった人です。
部活のときでもPDAでも会話が続きます。
『どうするの?』
「なにがですか?」
『出し物』
「なんのですか?」
『毎月の部活紹介掲示板』
「よく飽きずに打てますね。で、どうしましょうか?」
『それを聞いてる』
「いつも通り本の提示で決まりです。」
『了解』
こんな感じに会話が進みます。
省略されていますがこの間に僕は10ページぐらい読めます。
石川さんとの会話は疲れます。(精神面が)
『これはどうだ』
「なんですか?」
『人の100の殺し方』
「何の本ですか。」
『初代先輩が書いたやつ。案外面白かった。』
「研究はあるけれど愛好がありません。誰にも好かれる本を提示します。」
『ケチ』
「いちいちカタカナ変更しないでください。読みにくいし時間がかかります。」
『けち』
「二回言っても同じです。」
石川さんは変なところで頑固です。
そんなところが彼女のいいところなのかもしれませんが僕には欠点にしか思えません。
仕方ないです。
しつこいんですもん。
『面白いのに。』
そう言いながら例の本のおすすめのページを開きながら『ここ』っと言ってきた。
【萌え殺し。
まず、2次オタか好き過ぎてたまらないキャラがいる人を探します。
次に、その人をトリップさせましょう。特にここで好きなキャラに合わせることが重要です。
すると相手は萌えで死ぬでしょう。
トリップの仕方はググってください。】
・・・これをみて誰が何を学ぶんですか。
あと、ググってくださいって。肝心なところ丸投げじゃないですか。
どうやってトリップするんですか。
絶対先輩暇つぶしで書きましたよね。
「・・・こんなものは貴方の世界だけで済ませてください。」
『こんなものって言った!』
「はい、いいました。」
『先輩不孝めが!』
「親不孝をもじらないでください。」
『お願い。』
「だめです。」
『おーねーがーいー』
「だめです。」
『なんで?』
「・・・これ以上言うと怒りますよ。」
『怒んないもん。』
「・・・」
『お願い。』
決めました。
今度、石川さんがこのことを言ったら怒ります。
さっきの僕と、今の僕に誓いました。
『いいでしょ?』
「・・・いいましたね。」
『え?』
「今から罰としてネタバレをします。」
『』
石川さんは文字も打てないほど絶句しています。
いい気味です。
「石川さんに貸した本はもう僕に読破されています。」
「なので結構痛いネタバレがわんさかです。」
「あの主人公は死にます。まあ、あの展開からだ度薄々気づいていると思いますが。」
「あと、主人公の幼馴染は敵になります。で、・・・」
さっきから石川さんがタイピングをしながら黙り込みました。
何をしているのでしょうか。
のぞいてみましょう。
『え。ちょ、やめて、言わないで。ね。アッキーラは偉いからわかるよね。うん。やめよっか。今すぐ口を閉じなさい。やめてええええ。あ、そこ言わないで。聞きたくなかった。聞きたくなかった!気づいてなかったよ!てか私読んでんの一巻だよ?知るわけないじゃん。あ、まだいうの? いや、やめて。この鬼畜が!鬼畜うう。駆逐だ駆逐。包丁持ってこい。あ、だめだ。アッキーラがいなくなったら本借りられなくなる!鬼!この鬼が!ああああ、アッキーラだけは信じていたのに!』
・・・・カオスでした。誰ですかアッキーラって。
人の名前を勝手にもじらないって先生に教わらなかったんですかね。
あ、読み飛ばしてかまいませんよ。石川さんの嘆き。
「わかりましたか?」
『アッキーラが鬼畜だということが。』
「・・・ごめんなさいは?」
『ごめんなさい。』
「もうしませんは?」
『もうしません。』
ちゃんとわかってくれたようです。
呑み込みが早くてよかった。
なんでかって?まあ、ねえ。
「なので、いつも通りの普通の本を選んでください。」
『でも、あn』
「拒否権はありません。打たせませんよ。」
『はい。』
「僕が一冊、石川さんで二冊提示します。」
『はい。』
「いいですか?すべての生徒が安心して読める本をお願いします。」
『はい。』
「わかりましたは?」
『わかりました。』
「ちゃんと選べたら飴上げます。」
『マジで!?』
「はい。」
『急いでいってくる。』
「いってらっしゃい。・・・地獄に」
『地獄に!?』
この後石川さんはアドベンチャーものを僕は恋愛ものを提出して終わりました。
そして僕は石川さんの選んだ本の感想をたくさん言われました。
なんか勘違いしてますよね。まあ、仕方のないことですけど。
いつもの部活は楽しいです。
いつもと違う石川さんが見れるので。