隣の席は昼寝中。
僕の隣の席は石川さんです。
僕にだけPDAに打ち込まれた文字で会話してくる不思議な人です。
「おーい。起きてください。見つかるよー。」
『もうちょっと』
なんで半分寝ながら文字が打てるのか不思議でなりません。
でも、今は授業中なのでそんなことはどうでもいいと思いませんか?
「起きてください。先生に見つかります。おこられます。あなたのライフが崩れます。」
『もうちょっと』
なんで起きないのでしょうか。
「今から起きないと石川さんに貸した本のネタバレをします。」
『』
何も書かないで差し出されました。
「あの最後の犯人捜しで捕まるのは・・・」
『sjみなせんでsyた、』
何打っているのかわからないまま差し出されました。
僕のセリフにかぶらせながら。
あと、石川さんに貸した本はミステリーなので犯人は結構痛いネタバレになります。
『すみませんでした。打ち間違えた。』
あれは、すみませんでした、だったようです。
何かいているのかわからない上に謎解きにみたいになってます。
「もう寝ないでください。」
『わかった。』
少しだけ打つのが早かったです。
「おい。田村。石川としゃべっていいと言ったか?この問題解いてみろ。」
「・・・-3です。」
「せ、正解だ。」
復習だったのでとても簡単でした。
でも、なぜ石川さんは怒られないのでしょう?
なんだか損な気分です。
「次の問題。石川。」
「・・・」
石川さんは喋りたくないようです。
ちゃんと石川さんも怒られました。先生は偉いと思います。
あ、黒板に行った。
「・・・」
先生に無言のプレッシャーを与えています。
黒板には15と書かれています。これも簡単な復習です。
「正解。」
石川さんが戻ってきました。
『ドヤ!』
いつ打ったのでしょうか。そんなことを差し出してきました。
「すごいですね。」
『だろ!』
簡単な文字は打ちやすいのか案外はやく返信が来ます。
全部簡単な文字だといいのですが。
『さすが私だと思わないか?やっぱり私はすごいだろう。』
でも、なぜか褒めると調子に乗って長い文を打ち出します。
「そうですね。」
こういう時は何となくの返事で大丈夫です。
ルンルンで席に座りました。
今日の部活は自慢話でもちきりですね。
「きりーつ。れい。」
こんなことを考えているうちに授業が終わりました。
「あんがとーございました。」
今日の授業は大変でした。