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Old Remember,Now Me.  作者: 玲於奈
6/15

小田 真理の場合

なし

小田 真理の場合


古めかしいビル。

私はこの白いビルが大嫌い。


雑誌の内容とは

うらはらに伝統を重んじる。


派手なファッション業界。


しかしながら

雑誌を作るほうにしてみれば

見た目と仕事の

ギャップが大きく

離職する若いやつも多い。




しかしながら

自分に関していえば

そんなことはなく

あっていたのだと思う


そして

性格的にも

一つのことにはまると

あっという間。


地道な作業を

続けに続け

キャリアにキャリアを

重ねた




誰も行きたがらない

読者モデル集めに

各地へ

札幌、名古屋、大阪、博多。



「飛行機よ飛べ」


「これくらいの

 台風に負けるな

 まだまだ30m。」


「新幹線よ

 動け。」


「関ヶ原は大丈夫。

 氣のせい、氣のせい、

 雪になんか負けない。」


そう念じ続けてきた。


それに比例し

マイルがたまり

安い切符の手配に詳しくなり

反比例では

ごくごく

少ない男友達は

完全にいなくなっていった。


そして

時々

現れる

ボスキャラ。


親の七光りで登場する

女王様。


なんともいけすかないが

役職は上。


そんな時には


「バシルータ、バシルータ」


どこかへ

飛んで行け


そして、

自宅寝室の

サンドバックをたたく。


ひたすらに

呪文を唱え続けた。


そして

上り詰めた

ファッション誌編集長のポスト。


そう私の名前は

小田 真理。


そう泣く子も黙る。

おだまり。



しかしながらの

ここにきての

失点。


あれは

4月の歓迎会。


なんで

ここにいるの?


どうしようもない男


センスのかけらもないやつが

はいってきた


まあ

いつものことながら

歓迎会の1次締め

波がひくように

消える部下たち。


お局つぶしか、やつと

場末の飲み屋に


桜がさびしかったことを

言い訳にしていた私。


そうとう酔っていた

そして

思わず言ってしまった。


「私、関係者と認知されると

 バックステージの仕事だかなんだか

 自分のヲタ活動なんだか

 わからなくなるのよ。

 でも、わたしは追いかけたいの。」



Jがらみでは

公演に招待されることが多い。


いつからか

はまってしまった。


仕事と趣味の違いが

分からなくなりそうな自分。

いつもいつも必死に

押しとどめている。




半年経過


そいつは

まだ生き残っていた。


へたれていく

編集者の中でも

フットワークは軽い


だからこそ

博多、大阪、名古屋、札幌、

そして仙台も無理矢理追加し

毎月これでもかこれでもかと日帰りで

飛ばした。


「バシルータ、バシルータ」


それでもめげない。


はいあがってくる。


まあ

男なのか

女なんだかよくわからない

アンニュイな感じが

この業界にはよかったのかもしれない。


そして、ついこのあいだ


12月。


やつの

下請け、同期が辞めてしまい

もうやつに言うしかない状況、

しかたない決断。


ここにきて

年内の事務所の動きは

押さえていたのだが

まさかの突然変異。


「加奈子。

 札幌にとんでらっしゃい。

 驚きなさい。

 読者モデルの取材じゃないわよ。

 

 私も目に掛けていた7人組。


 売り出し急上昇グループ。


 そのうちの最若手が

 ファッションコラボに出るそうよ」


なんやかんやいって

電波の元締めからの提供。


「わが社の雑誌力を見せて

 媚びてらっしゃい」


総務省の産学一体イベント。

権限があり、予算がつく。


これは広がる氣がする。



「しかしもう

 あなたがいくなんてねえ

 くやしいわあ。」


思わず

長い髪を振り乱して

左右に肩をふる


「バシルータ、バシルータ」


フロア中央

借り物、ブランドバック。


思わずくやしさに

投げつけたかった。



なし

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