再び 盛山 けやきの場合
なし
再び 盛山 けやきの場合
昨年講師の平川先生、
当日参加するといったものの
姿が見えない。
そこへの電話。
「いやあ、すみません
けやきさん。
実は、足をくじいてしまいましてねえ。
残念ながら
札幌にはいけません
あなたの晴れ姿みられなくて
本当にすいませんねえ。」
まったくあやまっている氣配を
感じない御大。
当日朝のいきなりのどたキャン。
若手アイドルも真っ青の
スクープ。
まさかのMCなしで
開幕した。
第一部は
クリアな白ニットのワンツーコーデ
ピンストライプの
パンツ。
ごそごそ
一人で服を楽屋で着替えていれば
いつのまにやらどこかで見た顔が
そうそう、
去年の芸研で
知り合った活用女子大の堂山優子さん。
「それにしても
あんた
化粧の仕方へたくそね。
いつもどんな化粧しているの。」
あいかわらずのずけすけ口調。
「おっ、
服はいいの選んだじゃん。
これなら
腹が出ていても大丈夫。」
言葉はきびしいが
さすがに
脚ぴったりは
無理かと思って
選んだパンツが幸いした。
「ただのゴムパンツだから
でぶにも大丈夫。」
ストレートな
でぶの言葉に苦笑しつつも
あやさんも同じ視線だったかと
そこがくやしい。
結局
褒められてんだが
けなされてんだが
まったくわからない。
そこへ
「ちわーし」
大きな荷物を抱えた金髪青年と
カメラマンご一行。
業界関係者かと身構えるも
なんと
それは邦男だった。
「なしたの、
なんでこんなとこさ」
私は、あやさんに洗脳され
いつの間にか
えせ北海道人。
「いろいろあって
ファッション誌で働いてる。
この企画、密着で取材する」
言葉少なく語る邦男。
私にはピンポイントでしか
話がみえてこない
なんで、何を密着?
しかし、それを尋ねる時間もなく
金髪と邦男で
機材設定を行って
素早く写真を撮り始める。
本当にたぬきだ
遠山。
そこへ
遠山、当の本人。
「いよお、久しぶりじゃない。
おっ
期待の若手って
おまえのことだったか。
頑張ってるやつだからって
キャップもよろしく言ってたよ。」
挨拶もそこそこに
「お祭り始まるぜ」
ごそごそと邦男に何か伝える金さん
これだから
男は困る。何かの隠し事。
「お待たせ致しました。
ただいまより
学生たちによる学生たちのための
産学一体のイベントを始めます。
学生たちの熱い想いを
みなさん楽しんでいってくださいませ」
たくさんのお客さんだったが
緊張せずに
すらすら言えた。
これもそれもみんな
プロンプターのおかげ。
両脇をみながら会場中の
お客様に声をかけられた。
1台20万にびびったが
金ならあるといって
2台左右に設置させた遠山。
やはり勘所が違う。
大統領が使う
重要会見のようだった。
そう思った瞬間。
すごい音響と共に
白いランウエイを
3人の女子が肩をならべて
ほこらしげにすすんでいく。
さっきの優子さんがいる。
そしてほかの二人は
去年のお仲間。
銀のテープが宙にはじける。
なし