ふつつかな刃物
「人間以外のもちらほらいるようだが」
こちらの様子をうかがい見ながら襲いかかる隙を探している連中、その中には明らかに人類とは思えないような者の姿があった。
全員が全員なにかしらの得物で武装し取り囲もうとしている。
「どの種族からもあぶれた連中が徒党をくんでいるのかもしれないね」
さしずめならず者の集まりといった連中か。行動も見た目もそのまんまだが。
「そういえば人間以外は初めてだったね。私見でよければ彼らの種族的特徴を伝えようか」
「ああ、頼む」
言うと同時に地面を蹴って走り出す。相手の囲いが出来上がる前に隊列を潰しておいたほうが効率が良いためだ。虚をつかれた相手は自分が狙われてるのに気づきバックステップで距離をとろうとした。構わず詰めより伸びきった相手の腕、得物を持ったほうを掴み、そのまま投げ飛ばす。
「そいつがホブゴブリン、体躯は小さいけど動きは敏捷、集団戦闘を得意としており数が多いと厄介になる。森に集落をつくる習性を持つ」
こちらの投げの動作を隙と見たのか、残りの連中が一斉に飛びかかってきた。そのためとても手間がはぶけた。こちらの手には既にナイフが握られている。
投げる際に奪い取った得物、握り拳二つ分程度の刃渡りを持つ刃物。
それが反射させる光の線がひとつ、ふたつと煌めく。
「ワーウルフ。人間と比較して高い運動神経と嗅覚をもつ……まだ半分もいってないのだけれど」
オオカミ男みたいな奴の喉笛に突き刺したナイフ、赤く光るそれを引き抜きながら答える。
「弱点は木の杭だったかな」
「それは吸血鬼だよ」
場に立つ敵は残すところあと一人となっていた。英霊アメイジアを詐称したリーダー格の男。そいつただ一人に。