天網恢恢疎にして漏らさず
仲間の死、それをもたらした突然の部外の来訪者にその場の一同は釘付けとなっていた。巨躯の男の死体を視認し、こちらを明確な敵と認識したようだ。
「これがいまの地上のすがた。世が乱れ弱きものの血と涙を吸う大地」
戦乙女の変わらぬ淡々とした口調の中に憂いと悲しみが濃く混じる。
そして、その言葉が実感をともない理解となって染み入ってくるのを感じた。
品性のかけらもないツラの男がわめきたてる。
「てめぇ、オレらが英霊アメイジア様にお仕えするアメイジア軍としってのやってんのかっ!」
公然とわかる嘘を大声で平気にまくしたてる姿はもはや哀れというほかなかった。
「英霊? いまオマエは英霊といったのか。そうかそれなら、今からオレがオマエたちに行うことを戦乙女の審判に委ねようじゃあないか」
隣に立つ少女がまるで詩でも詠むかのように単語を羅列させる。
「英霊の名を騙り弱者を踏みにじる罪は千を超せども、その生涯において英霊に及ぶこと一つとしてなし。よって主たる先考に代わり告げる」
それは厳粛な裁判官が判決を下すに似ていた。
「その存在に罪と罰(ズュンデ ウント シュトラーフェ)を」
さぁ処刑の時間だ。