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無限の天空

 空を大地が埋め尽くしていた。海の青と大地の色が混じり不思議な色をかもしだしている。それは死ぬ前ではとても考えられなかったような光景だ。

「ここは≪無限の天空(ラニアケア)≫と呼ばれる世界。その名とは裏腹に天に大地を持つ閉鎖された空間、世界樹を失った我々が住まうことを許された大地。そしてそんな場所でさえ戦うことを辞めることができない愚か者どもが住まう場所」

 青髪の少女に館、というか暗い廃墟から連れ出され自分が立っている場所をありありと見せつけられた。

 まず自分が立っている場所だが、屋内では気づかなかったが動いている。というか浮いている。ラピュタみたいな場所といえばわかりやすいか。浮遊要塞とでも形容するような外観であった。

「オレ達が立っているのはそのラニアケアのどのあたりなんだ」

「ちょうど真ん中のあたり、真央に近いところ。それと同時にここは世界に恵の光を与えるところでもある」

 空に大地があるということは、この世界は球体の内側ということになる。ということは必然的に恒星、太陽となる存在が球体の中央に必要となる。生命が活動しているならばの話だが。少女の説明によれば“ここ”がその場所ということになるが、だとすればここはかなりの熱エネルギーを放出していることになる。

 しかし、そういった熱さや熱気といった感覚は感じられない。むしろ快適にして適温で静かな風が先ほどから何度も頬をなぜている。

「あの人魂みたいな炎はあとのことはワルキューレに聞けといった。君がそうなんだな」

まだあどけなさの残る表情に相反する長い時を生きた風格を携えて少女は頷いた。

「そう私は戦乙女(ワルキューレ)、死者の魂を運ぶ者。そしてその最後の生き残り。でもそれは役職。名前は好きに呼んで」

「今度は私の番、あなたの名前をおしえて。私はあなたの魂を呼びはしたけれど名前を知ることはできなかった」

 それには少し困った。というのもオレはこっちに来たとき自分の名前すら忘れていたからだ。だが、名前は思いだせなくても不思議と生活のことは思い出せる。見たもの聞いたもの知っているもの知識。なぜかそのなかに自分という概念が抜け落ちている感覚なのだ。

「好きに呼んでくれ。どうせこっちに知り合いなんていやしないんだろ。誰がなんと呼ぼうと勝手だ」

「じゃあこれから青色三号と呼ぶ」

「いや、やっぱり自分で決める。じゃあパズーでいいか。ちょうどラピュタっぽい場所だしな」

 ワルキューレのあまりにあんまりなセンスから逃れるためとっさに浮かんだ名を口にした。

「パズズ? そうパズズなのね。これからよろしく」

 何もかもわからないことだらけだが、とりあえず名前はパズズと決まった。 

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