Every garden may have some weeds
「なぁ、いいだろう。オレもいよいよ王国魔法騎士団の兵長になるわけだ。そろそろ良い返事を聞かせてもらいたいな」
「あら、あなたとはもう何度もお断りしたはずだけど」
「冗談じゃないオレは本気だよ」
地上の極点に坐するという軍都ローレンツ。その王家が住まい政を行う宮殿。そこはまさしく豪華絢爛という言葉がよく似合っていた。整然とならべられた石畳に均等に立てられた大理石の石柱と彫像。
どれもとてもよくできている。
なによりも中庭にある庭園が目を引いた。見たこともない植物が色鮮やかに咲き誇っている。そのためしばしここに来た目的を果たす前に見入ってしまっていた。
庭園には自分を除けばやたらと身なりのいい男女が二人いるばかりである。
「何度も言わせないで、私は強い殿方が好きなの。私より弱い人は、は」
何やら女のろれつが回らなくなっている。
男の声にしてやったりの声音がこもる。
「動けないだろ。独自に開発した束縛のルーンを使って一定時間動けなくするトラップ型の魔法さ」
その糸の巣に蝶をとらえた蜘蛛はこのような愉悦を浮かべるのであろうか。
「オレはこれでもう何人もの女をものにしてきてんだよ。そんでオマエを手に入れて、ゆくゆくはこの国を……」
「クッ、そ、そんな卑怯な男だったなん……」
魔法の縛りを必死に解こうとするが、不可能に近いようだ。やがて男の手が、女の頬に添えられた。
いよいよ限界がきたので、持ってきていた杖をふるって男の頬をしたたかに打ち付けた。肉の先にある骨を砕く感触、奥歯を何本かやったようだ。
「どうやら全ての庭園に雑草はあるという言葉は本当だったみたいだな」
雑草などという名の草などないという言葉もあるが、ここでは別に続けない。
嘆息しながら、この世界の男はこんなタイプの奴しかいないのかと内心で愚痴った。
「テメェだれだ。いつからココに入り込んでた。どこからきた!?」
白い歯に赤い血を混じらせながら男がわめく。口で返すのも億劫なので黙って天上の太陽を指さした。




