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夏至祭り、ひとつを選んで燃やし尽くした。

本日2回目更新

この年の夏至祭りはいつもより華やかで、なんと言うかすごかった。

朝から鍛冶屋の息子のダンさんと、村長さんの娘のマーサさんの結婚式が行われたためだ。


華やかだというのは、いつも以上に気合を入れて飾り立てたというよりも、新婦のマーサさんがとってもきれいで輝いていたため、そしてすごかったというのは村にサーカスがやってきたことよりも、村長さんとロゴスさんが飲み比べをして壊れたため。

ロゴスさんは大笑いして誰彼かまわずお酒を飲ませようとするし、反対に村長さんは大泣きして近くに居たジェットを捕まえて、涙やら鼻水やらこすり付けていた。

僕はジェットを尊敬する。

だってマーサさんに救出されるまで村長さんのされるがままになって おとなしくしてたんだから。


まだ続いている宴会から抜け出て僕はひとり小屋に戻ってきた。

今日こそおじいちゃんの袋を開けよう。

絶対に開けられるような気がする。

おじいちゃんはきっと魔術士にちがいない。

魔法を使っているのを見たことが無いけどそうに違いない。

だとしたら袋はマジックアイテムで、僕が魔力を込めれば開くはず。

僕はフェンリアースを倒したときから僕は魔術の矢を撃てるようになった。

弓も出せるようになった。

それだけしか出来ないけれど、きっと開けることができるはず。

絶対に出来ない言葉をおじいちゃんが残すはずが無い。


僕は弓を射るときと同じように心を沈め袋の口に手を掛けた。

指先に力が集まってくる。

紫色の光が滲み出してくる。


開いた。


さすがおじいちゃんのマジックアイテム、開けると同時に袋の正しい使い方が頭の中に入ってきた。

この袋の名前は合切袋。、

手紙以外にも、本やいろんな道具、食料、お金、いっぱいつまってた。

僕のために。


早速おじいちゃんの手紙を取り出して読んだ。

僕宛はまず分厚いのが一通。

そして血で書いてあるのが一通。


まず普通の厚い封筒を先に開いた。

几帳面なおじいちゃんの字で、僕が誰なのか、僕の両親は誰なのか、どうして僕はここにいるのかすべて書いてあった。

そしておじいちゃん自身のことも。

そして予想されるいくつかの未来。

袋には僕がどんな未来を選んでも困らないように本当にいろんなものがつまっていた。



血で書いてある方を開けた。

震える字で一言だけ。

”自由に生きろ。”

目をぎゅっと閉じて歯を食いしばった。

でないと・・・


2時間くらいしてやっと物事を考えられるようになった僕は、入っていた指輪にチェーンを通して身につけ、おじいちゃんが用意してくれた手紙の内2通だけを出すことにした。


一通はノルトのお城にいるフライシスカさんへ、もう一通はフェアネス皇国の魔法学院へ。

選ばなかった手紙は灰になるまで燃やしつくした。


僕はおじいちゃんの名前を継いで、クルト・デ・マーリンを名乗り、魔法を学ぶ。

そして夏至の日にはここに帰ってこよう、僕はお父さんとお母さんの子供なんだから。

マーリン家の紋章が刻まれた指輪に誓った。

自分で選んで自由に生きる。


お父さんたちはあさってに帰ってくる。

きっとびっくりするぞ、僕が大きくなったから。






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