後輩達の魔獣狩り ②
8大名家の次期当主達より
8大名家の次期当主達は森の奥で2人の少女を守りながら、3体の魔獣と闘っていた。3体とも上位魔獣で8人とも闘ったことのない相手だ。そのせいで8人は完璧に押されていた。
「マジ、あり得ないだろ。これは。」
大樹はそう言いながら、氷の下位魔法『アイスボール』を使う。
「それ、同意するよ。」
智輝が肯定する。
2人が話をしている間に1体の魔獣がブレスを放つ。2人は避けきれず、ブレスが直撃する。2人は体をボロボロにしながら、立とうとするが血を吐いて倒れる。
「大樹、智輝。」
貴行は声を張り上げながら叫ぶが2人からの返事はない。貴行は装備系魔法を使い、赤い炎のような剣を作る。そして、貴行の精霊、火属性の上位クラス最強の精霊を呼び出す
「来い、フェニックス。」
すると、炎を纏った不死鳥が出現する。
貴行がフェニックスを出すと、サキがユニコーンを、アヤがアーヴァンクを、ユキがサンダーバードを、拓斗がズラトロクを、進がアクリスをそれぞれ出した。6人は怒りを爆発させて暴れまわる。それでも、3体の魔獣達によって止められる。そこに年上と思われる学生2人が来た。
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雷と謙より
8大名家の次期当主達は3体の魔獣の圧倒的な力に追い込まれていた。2人の少女を守りながらということもあってか、次期当主からは2人が倒れていた。雷は見ていられなくなり、すぐに闘いの中に入って行く。謙もそれについていく。
「大丈夫か?」
雷が尋ねる。雷は内心『大丈夫な訳ないか』と思っていた。
「すいません。あの2人を助けようとしたのにこの様で。」
8人の中から拓斗がすごく申し訳なさそうに言ってくる。
「いい、全然。お前達がしたことは悪くない判断だったと俺は思う。でも、もう俺達が来たから、お前達は休め。」
「はい。」
倒れていない、6人が後ろに行く。
そして、雷は魔獣達を睨む。
「謙は闘わなくていいぞ。俺がやるから。」
「何でだよ?俺にも闘わしてくれよ。」
謙は両手を重ねて頼んで来る。
「駄目だ。これは俺がやる。」
雷も引き下がらない。
「わかったよ。やれよ。」
謙が折れる。
雷は満足したように魔獣に目を向けて聞き始める。
「お前達は魔獣王の魔獣だ。そんな、お前達が何しにここに来た?」
「そんなの8大名家の次期当主達を魔獣王に捧げるためだ。」
「それはそれはご苦労なことで。でも、こいつらは渡さない。これ以上、魔獣王に力を持ってもらうとこちらが困るからな。そんじゃ、始めようぜ。」
雷の言葉とともに3体の魔獣達は人間の姿になって攻撃してくる。雷はその攻撃を全て躱し、背中にある2本の剣を抜き、切り刻んで行く。それを見た8人は『すげぇ~』と思った。3体を切り終えると、雷は全員いるかを確認すると、転移する。
「校内に着いたから、後は勝手に保健室に行け、いいな。」
雷が言う。
「あ、あの~。もしかして、雷兄さんと謙さんなの?」
ユキが聞いてくる。
「確かに俺達の名前は雷と謙だが、人違いだ!」
謙が否定する。
「嘘だ。あれはどう考えても兄さん達だ。」
進が謙の言葉を否定する。雷と謙は相談する。
「今、言うか?」
雷が聞く。
「うるっせいし、言うか。まとわりつかれても困るし。」
謙が頷く。
「進の言う通り、俺達はお前らの知ってる奴らではあるがもう他人だから、もうついてくるな。」
そして、雷と謙は転移していった。
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学園長室より
雷と謙は今、花井カヤと書かれた学園長室のドアの前に立っている。2人はドアを乱暴に開けると、『カヤ』と叫びながら、入って行く。呼ばれた張本人は速くも手をあげている。
「な、何かな・・・?雷ちゃんと謙ちゃん。」
カヤは怯えながら、聞き返して来る。
「お前、わざとあいつら8人の技量を見るために強力魔獣に注意の看板を外して、上位魔獣達が来ていると噂のあった森の奥に入れたな!」
雷はカヤを睨み付けながら言う。
「いやいや、雷ちゃん達も8人の技量を見たいと思ったから。」
カヤは『てへぺろ』と言いながら、見てくる。そこに雷と謙の手刀がおでこに当たる。
「痛った。こんなかわいい顔に手刀はひどいよー」
カヤが抗議する。
「「顔じゃなくて、おでこですけど!」」
雷と謙はタイミングよく言う。
「だって、ある国からの頼みなんだもん。」
それから、雷、謙、カヤの3人はこんな言い合いをしていた。
そんな、裏では魔獣王が少しずつではあるが力を着けていた。