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騎士の嫁入り  作者: 純太
第1章

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城下街デート

大変お久しぶりです。。。

しかも短くてスミマセン

「やはり、仲は深めるためには二人で過ごすのが一番だと思うのです」


 朝食を終えて一息入れていたとき、突然ヨハンが現れたかと思うとそんなことをのたまった。

 ユエルは目を点にしてヨハンを見つめた。

 カイネは我関せず、というようにユエルの空いたカップに紅茶を注いだ


「突然どうされたのですか?ヨハン様」

「早い時間より失礼いたしましたユエル様。しかし、これは大切なことだと思うのです」

「はあ」


 気のない返事でユエルは返すが、ヨハンは拳を握りユエルに力を込めて説いてきた。


「と、いうことで、城下街デートをしましょう!」





「俺には仕事の山があったんじゃなかったのか?」


 呆れ顔のレオは、力説するヨハンによって無理やり城門前に連れてこられていた。

 その恰好は、城下街に馴染む様、質は良いが派手でない衣装に変えられていた。

 ヨハン曰く、そこそこ貴族の坊ちゃんのお忍び風衣装、らしい。


「そこはしっかり予定を組んでおりますのでご安心ください」

「それはつまり、仕事が減ったわけではなく、明日からまたギッシリみっちりってことだろ?」


邪気のなくヨハンは笑った。


「陛下がせっかく乗り気になって下さったのですから、私達も全力で恋愛成就の手助けをして参ります。それに、大臣達も大乗り気で、“陛下の純愛のため、尽力をします!”と仰っていましたよ」

「この国の中枢は、頭が春すぎないか?」

「それだけ今回の縁談に期待しているということですよ」


 家臣たちのやる気にレオは溜め息しか出なかった。





 カイネ曰く、そこそこ裕福そうなお嬢さん風という服に身を包んだユエルは裾を摘まんだ。

 確かにいつもより軽装である。派手さも華美さもない。だが、乙女度が増している気がした。


「フリフリ・・・・・・・」


 くるりと回ればふわりと広がるスカートには、ふんだんにあしらわれたフリルとレース。

 ユエルの顔は自然とひきつった。


「本日はデートと言うことでしたので、女性らしさを強調してみました」


 なるほど。勝負服ということか。

 世の女性は勝負をかけるとき、このような格好をするのか。

 世論を学ばせてもらった。


「ユエル殿、準備はできただろうか?」


 扉の外からバルトが迎えに来たことを知らせた。

 ユエルはその言葉に是と返し、カイネに見送られながら自室を後にした。




 城門まで行くと、レオとヨハンが既に待っていた。

 待たせていたことに気づいたユエルは、少し早足で二人近づいた。


「ごめんなさい。待たせてしまったみたいですわね」


  駆けて近付いたユエルを見てヨハンはレオの脇を突き、小声で話しかけてきた。


「陛下、セオリー通りの展開ですよ」

「は?」

「ここでお決まりのセリフを言うのです」

「何て?」

「“全然待ってないよ”です」


 どこの三流少女小説だよ。

 意気揚々と告げるヨハンにレオは呆れた顔をせずにはいられなかった。


「今時そんなセリフでどうにかなるかよ」

「分かってないですねぇ。こういう古典的なものほど効き目があるんですよ。あ、これはいつか見た物語の一場面みたい(ハート)という感じに女性はときめくのです」


 そういうものなのだろうか。しかし、妙な説得力がある、とレオは思った。

 貴族の女性程夢見がちだという言葉を聞いたことがある。かくいうユエルという少女も貴族ではないが高貴な女性であるには違いない。ならば彼女もその類ではないのだろうか。

 試してみる価値はあるかもしれない。もし、本当ならば面白いかもしれない。

 レオは好奇心と検証をするために、ヨハンの案に乗ることにした。


「・・・・・・いや、全然」

「それは良かったですわ」


 レオの言葉に対してユエルは普通の顔と普通の返答を返した。

 特にときめいて頬を染めるというようなこともなければ、普通に息を整えているだけ。

 その反応にレオはヨハンを見るが、ヨハンはニコリと微笑んだままユエルを見ており、レオの方を向こうとはしない。

 こいつっ・・・・・・。


「それでは参りましょうか」


二人の会話に区切りがついたところでバルトが声をかけ、城門を抜け出した。


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