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おっさんAの異世界冒険譚 ~転生者、詰みそうな町を事業計画で立て直す~  作者: タツダノキイチ
第二部

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おっさんA、緊急討伐に参加する02

「すみません。お待たせしました。リザードマン討伐に参加してくださる方ですか?」

そう言ってやや期待のこもった眼差しを向けてくる受付嬢に、

「ああ。概要はさっきたまたま商業ギルドで聞いたんだが、群れの規模や特色について詳しく教えてくれ」

と少し苦笑い気味の表情でそう返す。

受付嬢はほっとした様子で、

「今、詳しい資料をお持ちします」

と言ってカウンターの奥に下がっていった。

すぐに資料を持って戻ってきた受付嬢によると、統率個体つきの群れの規模は当初五百を超えていたらしい。

都会に近い場所なら騎士団が出張ってくる規模だ。

現在は三百ほどまでにその数を減らしているが、群れの結束が異常に強く、苦戦しているのだとか。

「現在二十人ほどの冒険者が討伐に参加してくれていますが、そのうちA級の人は一人しかいないんです。運悪く、この町を拠点にしてくれているA級のパーティーが遠征に出た直後のことだったので……。それで若手を中心に討伐隊を組んでいるんですけど、統率の取れた動きをする相手に翻弄されて、なかなか討伐できずにいるんです。さっきもけが人が出てしまいましたし……」

「そうだったんだな。ちなみにさっきのけが人は大丈夫だったのか?」

「はい。ただ、骨折しているようなので、戦線復帰は難しいかと……」

「そうか。わかった。明日にでもさっそく現場に向かおう。一応、指揮官らしき人に挨拶した方がいいか?」

「いえ。おそらく前線にいると思いますので、現実的に難しいかと思います。現在の状況だと南側に戦力が偏っています。なので、北側に遊撃隊として入っていただけるだけでもずいぶん戦況が変わってくるかと思いますので」

「わかった。ちなみに、俺も一応A級だから、ちったぁ戦力になってみせるさ」

「ありがとうございます!」

「おいおい。そんなに頭を下げんでくれ。こっちは仕事を引き受けるだけだからな」

そう言って地図をもらいギルドを後にする。

「ざっくり突撃して統率個体から先にやっちゃう?」

「いやいや。全体の数を減らすのも重要な役目だ。第一、統率個体がどこにいるのかわからん」

「そっか。その辺はアレンに任せる」

「ああ。了解だ。とにかく明日は現地で状況を確認してみるところから始めよう。みんな、いいか?」

「「「おう!」」」

私たちはそれぞれに気合のこもった表情でうなずき合うと、まずは町で雑貨屋を探すことにした。

商店街で尋ね、雑貨屋に入る。

湿地帯が近くにある町の雑貨屋なら必ず扱っているだろうと思ったが、やはりそこには防水性のある靴やズボンが売られていた。

「なんか、動きづらくなりそうなんだけど?」

と言って少し顔をしかめるサーニャに、

「濡れた状態で長期戦になると体温を奪われて早くばてるんだ。少々動きづらくなるかもしれんが、結果的に得をするんだ」

と言うとサーニャは少し驚いたような顔で、

「そんなの気にしたことがなかったや。アレン、さすがだね!」

といつもの様にニカッとした笑顔で言ってくる。

私はなんとなく照れたように苦笑いしながら、

「おそらく二、三日は泥の中で戦うことになるだろうから、覚悟しておいてくれよ」

と言った。

宿に戻り飯にする。

こちらも閑散とした宿の食堂で温かいシチューを軽く食べ、その日は早めに床に就くことにした。

翌朝。

さっそく湿地帯に向け出発する。

湿地帯の入り口へはものの数時間で着き、私たちはさっそく靴とズボンを履き、湿地帯の中へと入っていった。

軽く緩んだ地面を慎重に踏みしめ、大きな水たまりを避けつつ先に進んで行く。

行動食で昼をすませ、そろそろ午後の小休止を取ろうかと思っていると、リザードマンの群れがいるのが見えてきた。

数は十五ほど。

(初戦としては、少し数が多いな。地面の悪さを考えるとちょっと厄介だ)

と思っていると、その群れの後方にいた三匹ほどが、さっさと後退しようとしているのが見えた。

「いかん! 援軍を呼ばれるぞ! マイ。後方に魔法を頼む! リズは前に出て防御!」

「「了解!」」

次の瞬間、マイの魔法の矢が後退していったリザードマンの前方に降り注ぐ。

私は突進するリズの後につき、湿地帯の中を慎重に駆けていった。

やがて接敵する。

私はリズが相手の動きを止めてくれたのを見て一気に前線に躍り出た。

「サーニャ。あっちを頼む!」

「了解!」

その言葉だけで、サーニャが後退しかけていた一団に追いすがる。

私はとにかく目の前の敵に集中し、刀を的確に振っていった。

(湿地帯ではリザードマンの方が俊敏性は高い。となれば、とりあえず脚を止めてトドメは後だ)

そう考えつつ、なるべく下から刀を出し、リザードマンの足を狙う。

「リズ。マイを護衛!」

そう指示を出し、リズが下がっていったのを確認しながら、相手を引き付けるような動きをとった。

こちらに襲い掛かってくるリザードマンの攻撃をなんとかしのぎつつ、的確に一撃を入れていく。

すると、そこにマイの魔法の援護が来た。

(よしっ!)

一気に攻めに転じる。

一歩踏み込み、下から刀を振り、まずは一匹の胴を薙ぎ払った。

「次っ!」

思わず声に出し、右から襲ってきた個体の胴を抜くように斬り払う。

そしてすかさず後ろを振り返ると、今にも襲い掛かって来ようとしていた敵に足下が少しぬかるむのを気にしつつも思いっきり袈裟懸けの一刀を叩きつけた。

「ギシャァァッ!」

と汚い声を上げて倒れるリザードマンには目もくれず次の個体に向かう。

そして五匹ほど始末した時点でサーニャがこちらに来たので一気に戦闘は終結に向かっていった。

サーニャが大剣を振り、ズバッと音がしそうなほど鋭い斬撃で次々に敵を討ち払っていく。

私は、

(相変わらず、すごいなぁ……)

と感心しつつ、一応サーニャの背中を守れる位置についた。

しかし、そんな心配は必要なく終わる。

サーニャが最後に少し大きな個体を倒したところで初戦が無事、勝利に終わった。

「お疲れ」

そう言ってサーニャとハイタッチを交わし、後ろにいたリズとマイの元に向かう。

そちらでも軽くハイタッチを交わすと、

「大丈夫だと思うが、念のため今日は開けた場所で野営にしよう。夜襲があるかもしれん。今のところ大丈夫だと思うが、こちらの動きが察知されている前提で動くぞ」

と今後の指示を出し、さっさとその場を後にした。

計画通り開けた場所で野営にする。

交代で見張りを立てながら体を休めたが、夜中に遠くから見つめられているような気配を感じた。

(ちっ。さっそくバレたか)

と思いつつ夜明けを待つ。

そして明るくなると、私たちはなるべく開けた場所を選びながら北西の方角へ進んで行った。

もう少しで昼になろうかというころ。

少し離れた低木の茂みの向こうから何やら戦闘音が聞こえてくる。

気のせいでなければ悲鳴も聞こえたようだ。

「救援に向かうぞ!」

そう叫んで一気に駆け出す。

するとしばらくして三人の冒険者がリザードマンに囲まれているのが見えてきた。

(ちっ! こんな茂みの中を移動するからだ。おそらくリザードマンに隠れて行動しようとしたんだろうが、逆効果だ)

と思いながら、

「リズは後方で待機。マイを守れ! サーニャ。周りは俺が引き付ける。あの三人に加勢してくれ!」

そう指示を出し、三人を取り囲んでいたリザードマンの背中に斬りつける。

そしてリザードマンに向け、

「こっちだ!」

と大声で叫ぶと、三人の冒険者からリザードマンの目を逸らすために動き始めた。

とにかく動き回り、リザードマンの注意を引き付ける。

しかし、湿地帯での機動力はリザードマンの方が上なため、私はすぐに囲まれてしまった。

(ちっ! 泥が邪魔で動きにくいったらありゃしねぇ!)

と心の中で舌打ちしつつ、とにかく刀を振る。

リザードマンの強烈な爪の攻撃をかわし、なんとかしのいでいると、そこに魔法の矢が降ってきた。

(助かった!)

と思いつつ、怯んだリザードマンに斬りつけ包囲網を突破する。

そして私は一匹のリザードマンの背後に回り込むと迷わずその背中を斬った。

続けざまに来る攻撃をかわしつつ、相手の足を削る。

三匹ほど足を止めたところで相手の動きが変わった。

少し大きな個体がなんらかの号令を発し、さっさと後退していく。

サーニャがそれに追いすがろうとしたが、

「深追いするな!」

と叫んで止めた。

サーニャがこちらに少し不服そうな顔を見せてくる。

私はちょっと苦笑いで、

「今はこいつらの状態を見る方が先だ」

と言い、手を膝に置いたり、その場にへたり込んだりして肩で息をしている、明らかに若い冒険者たちに視線を送った。


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