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おっさんAは転生してもやっぱりおっさんAだった。  作者: タツダノキイチ
第一部

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3/5

おっさんA、迷子のエルフと出会う01

サーニャと一緒に適当な依頼を選んだ翌日。

さっそく森に向かう。

森の入り口までは街道を行く乗合馬車に乗っていくことにした。

「ねぇ。さっきのイリアの実ってどんな薬になるの?」

「ああ。二日酔いの薬だな。サーニャには必要ないかもしれんが、けっこう需要があるんだぞ」

「へぇ。ああ、一応アタシも二日酔いになる事くらいあるよ?」

「本当か? あの量飲んで平気だったらどれだけ飲んでも平気そうだと思ったんだが」

「あはは。一応、あの倍くらい飲むとなるね」

「おいおい……」

と、どうでもいいようなことを楽しく話しているうちに、馬車が森の入り口に到着する。

時刻は昼を少し過ぎたくらい。

そこで私は、

「ここで軽く腹ごしらえをしておこう」

と提案すると、さっそくホットサンドメーカーを取り出した。

買ってきたばかりの食パンを適当な厚さに切ってチーズとベーコンを挟む。

ただそれだけの簡単な料理だが、私の横でサーニャは、

「おお……」

と感嘆の声を漏らしていた。

「簡単なものですまんな」

と言うが、サーニャは、

「これ、すっごく美味しい! すごいよ。ほんと。アレン天才なんじゃない?」

と大袈裟に褒めてくれる。

私はそれが妙に嬉しくて、ついつい苦笑い気味に微笑んでしまった。

(なんだかこういうのもいいもんだな)

と思いつつ、お替わりを求めるサーニャのためにまたホットサンドを焼く。

そして、たっぷり腹ごしらえするといよいよ森の中へと入っていった。

「今度の依頼はこの間より浅い所で済ませられるから、魔獣もゴブリンくらいしか出ないと思うが、どうする?」

「うーん。それじゃあ、宿代が返せないから、もう少し奥まで行きたいかな?」

「そうか。じゃあ、せめてオークが出る辺りまでいこう」

「了解。オークなら何十匹出てきても平気だから任せといて」

「いやいや。この程度の森で何十匹も出てきたら異常事態だからな」

「あははっ。そうだね。そんなのスタンピードでもない限り出てこないか」

「ああ。そうなれば国家が動くレベルだな」

「そうだね。一介の冒険者には関係ない世界か」

と冗談を言いながらずんずんと進んでいく。

やがて夕闇が迫ったのを見て、適当な場所で野営の準備に取り掛かった。


「トッピングの目玉焼きはひとつでいいか?」

「ふたつ!」

「了解。パスタはたっぷりめに作ったからたんまり食ってくれ」

「ありがとう。いやぁ、いい匂いだけど、これなんていう料理なの?」

「ん? 一般的な名称じゃないが、私はナポリタンと呼んでいる」

「ナポリタン? そりゃまた変わった名前だね」

「ああ。しかし、味は確かだぞ」

「うん。見るからに美味しそうだよ」

「ははは。遠慮なく食ってくれ」

「いただきます!」

という明るい感じで夕食が始まる。

サーニャは野外で作ったにしてはなかなか良い出来のナポリタンを豪快に頬張ると、

「うんまっ! なにこれ。初めて食べるのにすっごく懐かしい感じがする! これ、本当に店で出せるよ!」

と、なかなか嬉しい感想を言ってくれた。

「そうか? パスタはまだまだあるからな。いくらでも作るぞ」

と調子に乗ってそう言ってみると、サーニャは本当にお代わりを求めてきた。

結局二回お代わりを作りようやく晩飯が終わる。

「冒険中に食い過ぎたな。大丈夫か?」

と聞くとサーニャはケロッとした顔で、

「私、胃腸だけは丈夫なんだよね」

と答えてきた。

そんなサーニャと一緒にまた森の奥を目指し、一度の野営を挟んだ翌日の午後。

目的の群生地に到着し、

「この実だ。この青いやつを取ってくれ。赤くなったのはもう熟してるから使えないんだ」

とサーニャに指示し採取していく。

初めての薬草採取にどこか浮かれたような顔をしているサーニャを微笑ましく見ながら採取していると、一人でやるよりずいぶん早く目標の量に達した。

「このくらいにしておこう。あんまり採り過ぎると他のやつの分がなくなってしまうからな。このくらいがちょうどいいんだ」

「了解。ってことはご飯?」

「ああ。そうしよう」

「やった!」

と仕事を切り上げ飯にすることにする。

その日は干し肉とチーズを使ったリゾットを作り、これまた楽しく食事を終えた。

「いやぁ、相変わらずアレンの料理は美味しいね」

「そうか? 何の変哲もない野営飯だと思うがな」

「いやいや。なんだろう。何が違うかはわかんないけど、なんか妙に美味しいんだよ。さっきのリゾットもチーズとお肉の割合が絶妙っていうのかな? 『そうそう! これを求めてたんだよ!』っていう味がした気がする」

「ふっ。そうか、ありがとう」

「どういたしまして」

と話しながらお茶を飲む。

食後のお茶には特にこだわりがないというサーニャの意見を聞き、私の好みで緑茶にした。

翌朝。

今度はサーニャの仕事を探しにさらに奥を目指していく。

すると、魔獣の痕跡を発見する前に、一人の冒険者が地図を片手に困っているのを発見した。

「おい。どうした? 迷子か?」

と気さくに冗談っぽく声を掛ける。

見た感じは少女と言っていいほど若いエルフのようだ。

そのエルフの少女がこちらを向き、

「よかった! 助かりました! お願いします。町の方向を教えてください! 街道を迂回して近道しようと思ったら迷っちゃって……」

と言ってきた。

そのある意味素っ頓狂な質問に、思わず「え?」というような顔をしてしまう。

(おいおい。町を目指しててなんでこんな森の奥に迷い込むんだ?)

と思いつつ、

「ここはけっこう森の奥だぞ。街道に出るにはまっすぐ行っても二日はかかる。……大丈夫か?」

と声を掛けた。

その時の私の顔はきっとものすごくかわいそうなものを見るような目をしていたことだろう。

私の横でサーニャも、

「なんか筋金入りっぽいね……」

と、つぶやいていた。

「あの、すいません……。初めての場所だと、どうもダメっぽくて……。何回か通えば覚えられるんですけど……」

と恥ずかしそうに言うエルフの少女に、

「ああ、まぁ、私たちに出会えてとりあえずよかったな。ちょっと地図を見せてみろ。現在地を教えてやるよ」

と言いながら近づき、少女が手に持っていた地図を覗き込む。

すると、その少女は明らかに地図を逆さまに持っていた。

(あちゃー……)

と思い軽くこめかみのあたりを抑える。

「あの、どうしました?」

と、きょとんとした顔で聞いてくるそのエルフの少女に私は、軽くため息をつきながら、

「お嬢ちゃん。よく冒険者になろうと思ったな」

と苦笑いでそんな言葉を贈った。

「あはは……。そうですよね。これまでなんとかやってこられたのが自分でも不思議です」

「まぁ、なっちまったもんはしょうがないさ。で、冒険者になってどのくらいなんだ?」

「まだ、一年くらいです。ここまでは街道を通ったり他の冒険者さんと一緒に行動したりしてたんでなんとかなったんですけど……」

「そうか。まっすぐ帰る道を教えてやりたいが、その分じゃまた迷うだろうな。魔獣討伐の経験は?」

「あ、はい。オークくらいなら何度か」

「へぇ。そいつは見かけによらないな。じゃあ、とりあえずついてこないか? 私たちもこれからオーク辺りを狙ってこの辺りを探索してみようとしていたところなんだ。その仕事が終わったら送っていってやるよ」

「本当ですか! ありがとうございます。これも森の神のお導きですね」

「ははは……。まぁ、とりあえず一緒に行こう。サーニャもそれでいいか?」

「うん。構わないよ」

「よし。じゃあ決まりだ」

という話でなんとなくそのエルフの少女が同行することになる。

私は、

(なんだか最近、妙なのとよく出会うな)

と思いながらも、オークの痕跡を探し、適当な方向へ進み始めた。


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