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おっさんAの異世界冒険譚 ~転生者、詰みそうな町を事業計画で立て直す~  作者: タツダノキイチ
第一部

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おっさんA、海に行く02

市場で本当にしこたま魚や貝を仕入れ浜辺に向かう。

私的には干物類を大量に購入できたのがよかった。

(これで、お出汁の効いたみそ汁が毎日楽しめるぞ)

そんなウキウキ感を密かに持ちつつ、歩いているとあっという間に浜に到着した。

誰もいない浜でさっそく炭火焼きの準備をする。

「ねぇ、アレン。アタシたちちょっと海で遊んできていい?」

「ああ。いいけど気を付けてな。特にマイは泳げないんだから、ふくらはぎより深い所には行ったらいかんぞ?」

「はーい」

「よし、行こう!」

「「おう!」」

そう言って駆け出していく三人を、

(若いっていいねぇ……)

といかにもおっさんらしい感想をもちつつ見送る。

そんな眩しい青春の一ページに少し目を細めつつ、私はさっそく炭を熾し始めた。

やがて、魚がいい感じに焼き上がり、

「おーい! そろそろ焼けたぞ!」

と声を掛ける。

「「「はーい!」」」

元気な声と共に三人がはしゃぎながら戻ってきた。

「ああ、ああ、そんなにずぶ濡れになって。ちゃんと体拭いとけよ?」

「はーい。でも楽しかったね!」

「うん。大きな貝殻も拾えたし、大満足!」

「うふふ。海のお水が本当にしょっぱくて不味くてびっくりしましたわ」

楽しそうに笑う三人に、

「スープがいい感じに出来てるから、冷えた体を温めてくれ。あとサンマとハマグリがいい感じだ」

とさっそく料理を勧める。

三人は嬉しそうな顔でさっそくアクアパッツァ風のスープを飲み、

「美味いっ!」

「ええ。お出汁がとっても濃いですわ!」

「これ。売り物になるレベルじゃん!」

とニコニコ顔でそんな言葉を口にした。

ワイワイ楽しく食事を進め、全員が満足したところで女子三人が浜辺に寝そべる。

「ふいー……。お腹いっぱい」

「だね」

「ええ。もう食べられませんわ……」

そういう三人にお茶を淹れてやりながら私は、

「いい思い出になったな」

と声を掛けた。

「なにそれ。おっさんくさいよ?」

「ええ。それにまるでもう来られないみたいな言い方じゃないですか」

「そうだよ。また来ればいいじゃん。ね?」

そう言われてハッとする。

(そうか。この仲間でまた海に来ることもあるかもしれんのだな)

そう思うと、なんだか胸が温かくなるのを感じた。

これまで私は一人で冒険者生活を送ってきたことを思い、ふと考える。

その日々は楽しくもあったが、やはりどこか味気ないもので、自分自身でも、

(俺の人生はこのまま地味に終わっていくんだろうな)

とどこか達観したふりをして諦めていた。

(それが今はこんなにたくさんの仲間ができた。これがいつまで続くのかはわからんが、きっとしばらくの間は楽しい日々が続くんだろう。私はこの出会いに感謝して、せいぜいみんなの笑顔が続くように立ち回らなければな)

と思って頬を緩める。

そんな私を見て、サーニャが、

「ははは。アレンってほんとおっさんだよね!」

と言いいつものようにニカッと笑って見せた。

その後、なんだかんだで夕方まで海で遊び、宿に戻る。

その日もまた蚊に悩まされつつ、なんとも言えない夜を過ごした。

翌朝。

やっぱり体中のあちこちがかゆいのに辟易としながら食堂に下りる。

そこにはやっぱりうんざりしたような表情の三人がいて、

「まいっちゃうよ。朝起きたらやっぱりかゆいんだもん」

「私はちょっと寝不足気味ですわ」

「私も。これさえなければいい所なのにね」

と口々に不満を言っていた。

「うまくいけばそんな問題も解決されるさ。がんばって商売といこうじゃないか」

と声を掛ける。

「だね! しっかり稼いでよ。たっぷり飲みたいんだから!」

「おいおい。サーニャが本気出したらいくら稼いでも追いつかないぞ?」

「そうそう。何事もほどほどが一番だよ?」

「えー。いいじゃん、ちょっとくらい」

「うふふ。サーニャの場合、ちょっとじゃすまないから問題なのよ」

「むぅ……」

朝からそんな会話をし、私たちはしっかり朝食を食べて宿を後にした。

たんまり食料を買い込み、また船に乗る。

南の町に辿り着いたのはもう夕方過ぎだった。

「ねぇ。またあの店に行こうよ!」

「そうだな。その前にさっさと宿を取ってしまおう」

そう言ってさっそく宿に入る。

そして、私たちはまた新鮮な魚介を満喫し大満足で宿に戻った。

久しぶりに蚊の邪魔をされずにぐっすり眠った翌日。

さっそくリネア村に向けて旅立つ。

「楽しみだね」

「ああ。いい結果になるといいな」

「大丈夫。きっと上手くいくよ」

「がんばろうな」

リズとそんな会話をしながら歩く道はなんとも楽しく、私たちは順調に旅を重ね、無事リネア村にたどりついた。

宿を取り、さっそく村長宅に向かう。

「お久しぶりです。お早いお戻りでしたね」

「ああ。問題は無事解決したぞ。おそらく次からはギース以外の商人が来ることになるが、適正価格を示してしっかり交渉してくれ」

「さようでございますか。それは、それは、大変なお手数をおかけいたしました。しかし、これで村も潤います。本当にありがとうございました」

そう言って喜ぶ村長に、さっそく例の試作品は出来たかと尋ねると、

「ええ。しっかり完成しておりますよ。しかし、ほんの少し草の匂いがするので衣服には向かないのではないかという話になっておりまして……」

と少し不安げなことを言ってきた。

「ああ。それなら大丈夫だ。新しい商品を思いついたからな。ちょっと設計図を書くから紙を貸してくれないか?」

「ええ。それはかまいませんが……」

そう言って村長が持ってきた紙に「蚊帳」の絵を描く。

「例の防虫効果のある布でこういうベッドの上から吊って全体を覆うようなものを作ってくれ。布は通気性がいいように少し目を粗くしてくれよ。ただし、蚊が入り込まない程度には細かくな」

そう言って指示を出すが村長はピンと来ていないらしく、

「はぁ……。そんなもの売れるんでしょうか?」

と頭に疑問符を浮かべていた。

そこで、私は海辺の町では蚊の被害が深刻なことを伝える。

そして、この村で蚊帳を生産して南の町の大商会に販路を任せれば相当な商売になるだろうということを伝えた。

「それは魅力的な話でございますね。しかし、本当に南の町の商会が動いてくださるでしょうか?」

「俺の勘ではおそらく大丈夫だと思う。自分たちが儲かるかどうかはこのリズの交渉次第だから、それはわからんが、おそらく商品開発の話は確実にくるだろう。そのためにも見本になるようなものを作って欲しいんだが、どのくらいかかりそうだ?」

「そうですね。気合を入れてたくさん糸を作りましたから、材料は揃っております。布も目を粗くしていいのであればそれほど日数はかからないでしょうから、五日ほどいただけますか? それまでにきっちり完成させてみせますので」

「わかった。なら私たちはまた森に入ってイノシシでも狩っておこう。なに。暇つぶしに入るだけだから、依頼料は発生しないぞ」

「それは助かります。ではさっそく作業に取り掛からせていただきますので」

「ああ。よろしく頼む」

最後は握手を交わし村長宅を後にする。

私たちはいったん宿に戻り、冒険の準備を整えると、翌日に向け、ゆっくりと体を休めた。


翌日。

さっそく森に入っていく。

一日目は痕跡を発見できずに終わったが、二日目の昼、なにやら大きな痕跡を発見した。

「おいおい……」

「うん。イノシシじゃなくてオークじゃん。なんでこんなところに?」

「わからん。おそらくはぐれが迷い込んだんだろうが……」

「これは一大事だね」

「ああ。あまりにも村に近い。急いで後を追おう」

そう話してサーニャを先頭にさっそくオークの痕跡を追っていく。

すると夕暮れ前になって、三匹のオークを発見した。

「ちっ。群れてやがる」

「どうする? アタシならまとめて一発で仕留められるけど」

「いや。肉もとりたいから慎重に攻めよう。マイ。牽制と足止めに矢をたくさん放ってもらっていいか? その隙に私とリズが一匹引き付ける。あと二匹はサーニャ、頼んだぞ」

「「「了解!」」」

「サーニャ。肉をとるから丁寧にな」

「もちろんさ!」

軽く作戦を決め、オークに近寄っていく。

そしてそろそろマイの射程圏に入っただろうか? というところでマイに視線を送ると、しっかりとうなずき返してくれた。

「よし。いくぞ!」

「「「おう!」」」

そう言った瞬間サーニャがものすごい速さで駆け出していく。

私とリズがそれに続き突っ込んでいくと、マイの矢が放たれた。

雨のように降り注ぐ矢が的確にオークを足止めしていく。

サーニャは常人では考えられないほどの高さまで飛び上がり、一刀でオークの首を刎ねてみせた。

リズも負けじとオークに突っ込んでいく。

「どっせい!」

という気合の声を上げ、リズがオークに体当たりを食らわせると、オークがバランスを崩し、仰向けに倒れた。

その隙にすかさず駆け寄り首元を一閃する。

さっと飛び退き状況を確認すると、ちょうどサーニャが最後のオークを仕留めたところだった。

「今夜は生姜焼きでお願いね!」

笑顔でそう言ってくるサーニャと軽くハイタッチを交わす。

そして駆けつけてきたマイやリズともハイタッチを交わすと、私はさっそく生姜焼きに適したロースの部分を切り出しにかかった。


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