本実験の意義
『逆花言葉の令嬢』の前は、Sonnet 3.5で自律的にAIに物語を生成させていました。そこそこ面白く一貫性もありましたが、心に残るレベルとなると1本しか生成できませんでした。しかも2万文字~4万文字程度でした。
この自律的な生成でも、設定・プロットは事前に作らせて自律的にプロットを修正させ、それを元に本文を生成させていたため整合性はある程度ありました。アイデアについても、ブレーンストーミングをAIに行わせつつ2つをランダムにピックアップさせていたため、面白いものもありました。
もちろん、自律的な生成の場合の生成速度は速く、人の操作を入れても数十分で完成します。
ただし、以下の課題がありました。
- 長編が書けない
- アイデアは面白いときもあるが画一的になりがち
- 構成が甘い
- 読者への間の持たせ方が甘い
- 物語中に発生した問題に対して説得力を持つ解決方法が甘い
- キャラクターの行動原理に一貫性が欠けていることがある
- キャラクターの心の移り変わりが早すぎてついていけないときがある
- ロジカルな解決方法が不得意
- 読みやすいが文章に独特の癖がある
- 導入の引き込む力が弱い(ジャンル導入のテンプレが確立されていればある程度解消)
- 伏線などの弱さ
- 地の文:一人称視点に弱い(情報が限定されている状況を上手く描けない)
- 暇つぶし以上のクオリティの物語ができにくい
今回の実験的な生成によって以下についてはある程度マシになったと思います。
- 長編→1話1話執筆させることで10万文字までは達成
- アイデア→ダメ出しの繰り返しで妥協可能なところへ
- 構成の甘さ→プロットを創作論の観点から徹底的にダメ出し
- 読者への間の持たせ方→方向性の指示
- 物語中に発生した問題に対して説得力を持つ解決方法の甘さ→ダメである具体的な説明
- キャラクターの行動原理に一貫性→ダメである具体的な説明
- キャラクターの心の移り変わりの速さ→ダメである具体的な説明
- ロジカルな解決方法の苦手さ→思考モードのAIに考えさせる
- 伏線などの弱さ→改稿により後の展開の要素が以前の話に組み入れられる
地の文の一人称視点は生成AIが長編で使いこなすのはかなり困難だと思われるため、三人称一元視点でいいと思います。
文章に関しても、1年前のSonnet 3.5の頃とは異なり、今ではかなりコントロールできるので当時ほど癖は強くないと思われます。
クオリティに関しては個人的には良いと思っていますが、世に問うてみないとわかりません。
残る課題は以下ですが、1年後の今ならある程度解消できているものもあるかもしれません。
- より良いアイデアの生成
- 導入で引き込む力
- タイトルの弱さ
- 数巻に渡る長編が可能か
- コピペなどの操作が面倒




