制作プロセス
『逆花言葉の令嬢』をどのようにしてAIに生成させたかを簡単に記述します。
AIへの指示はプロンプトと呼ばれます。『逆花言葉の令嬢』を生成する際、一番最初に入力したプロンプトが以下です。
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大正時代で少しファンタジーな世界。伝統のある家庭に生まれながら特殊な事情で虐げ尽くされ、絶望に継ぐ絶望を感じているところに、最悪な噂だが出世の見込める家系の男性に嫁ぎ、少しずつ男性が噂と異なることが分かっていき、小さな幸せを感じる女性の小説を書いてください。手順は、特殊な事情のオリジナリティのあるアイデア出し→ログライン→プロット→小説の執筆と段階的に進めてください。特殊な事情が小説全体に深く影響するように一貫させてください。また、象徴的なアイテムを小説全体を通して存在させて主人公にとっての意味を変えていってください。ファンタジー要素は現代日本女性に馴染みのあるものにしてください。また公正世界仮説を徹底し、犯した罪に等しい罰を与えてください。1話4000トークン程度で15話構成でお願いします。
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この指示を2回やり直しさせると、AIは「花言葉が逆になる」という能力と、物語のキーアイテムである「祖母の手鏡」をアイデアとして提示してきました。
また、以下のログラインを提示してきました。
「花言葉を逆に伝えてしまう呪いを持つ令嬢が、"鬼"と噂される男との政略結婚で絶望するも、その噂もまた"逆"だったことに気付き、呪いと共に生きる術を見出していく」
これは面白そうだと思い、プロット生成へ移行しました。
その後、AIが提示してきたプロットに何度もダメ出しし、創作論の範囲でアドバイスをし、本文・話毎の展開・キャラクターの行動/思考・アイデアにもダメ出ししていきながら小説を生成させていきました。最終的に全33話で約10万文字。一通り生成が終わった後、物語の整合性を取るために最初から1話ずつ改稿を行わせました。
ポイントはプロットまでと本文執筆を分けたことです。
アイデア出しから話毎のプロットまでは連続したチャットで行い、あとは1話1話、毎話新規チャットを起こし生成しました。毎話の前には、必ず設定とプロット、これまで生成した小説本文を全て添付しました。これで小説としての一貫性を保ちながら、AIが執筆に集中することができたと考えています。
流れをまとめます。
ステップ1: アイデア出し、ログラインまでを納得いくまで繰り返し生成
ステップ2: プロットを納得いくまでアドバイスしながら生成
ステップ3: ここまでの設定、キャラクターやプロットを完全な形で出力させる
ステップ4: 毎話新規チャットで話を納得いくまでアドバイスしながら生成。最初に設定・プロット・ここまでに生成した話の本文全てを添付。途中で、2度ほどプロットを作り直させることもあった。そのため全33話となった。
ステップ5: 最後まで執筆が終わったら、第1話から最終話まで新規チャットで1話ずつ改稿。全体の整合性に気を付けるように指示。毎回、設定・プロット・改稿部分を差し替えた小説全文を添付。
作業は基本的にスマホ(Android)で行い、Claude Sonnet 3.5とGoogle Keepを使いました。一か所、アイデア出しにChatGPT o1-previewを使った記憶があります(Sonnet 3.5にはLLMを思考させるモードがなく論理的なアイデアに弱かったため)。




