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プロローグ 終わらない物語の始まり

お読みいただきありがとうございます。


過去に投稿したものを改稿していたり、新しいエピソードになっていたりしますので、お読みいただけたら幸いです。

ラブコメのつもりで書いていますが、異世界と現代を行ったり来たりします。

◇◇◇

「おはよう」


 ――目が覚めると、俺の目の前には制服姿にマフラーをした幼馴染・天戸うずめの姿があった。

「天戸?」

 俺が呼ぶと天戸はニコリと頷いた。


「信じて貰うのに時間が掛かると思う。だけど、これは夢じゃないの」

 自分の身体を見ると、俺も制服姿だった。眠る前はTシャツにハーフパンツだったにもかかわらず。

 

「あー、……そう。夢じゃないなら、なんなんだ?」


 よく見ると、辺りは教会のようだった。赤いカーペット、壁に嵌められたステンドグラス。なんだか眩しいな、と思い天井を見上げてみると、教会の屋根は巨大な何かに切り取られたかのように斜めに切られて青天井になっており、その先に見える青空には太陽が三つ浮かんでいた。そのうちの一つは、血のように赤く、不穏に俺たちを照らし出す。


「え?やっぱり夢?」


 引きつり笑いを浮かべた俺の反応がお気に召した様子で、天戸はクスリと笑い言葉を続ける。


「言ったでしょ?夢じゃないって」

 天戸は教会内を見渡して問い掛ける。


「私を()んだのは誰?」


 凜とした声で周囲に呼びかける天戸の声に、何かが始まる予感に思わず俺も高揚する。そして、俺の高ぶりを余所に、物陰から一人の女性神官が現れる。

「……本当に、勇者様なのですか!?」

 ――勇者!?天戸は怯える子羊のような神官を安心させるように、にこりと微笑んだ。


「この世界の脅威はなんですか?」


 女神官はぽつりぽつりと天戸に語り出した。この世界に訪れている危機……魔王が世界を滅ぼそうとしている、と。


 教会を出た後で、天戸は大きく安堵の息を漏らした。

「よかった、魔王だって。杜居くんを危険な目に遭わせなくて済みそう」


 何だか言葉がちぐはぐだな。

「魔王って危険じゃないの?」

 俺の問いに天戸は首を傾げる。

「危険?ん~、でも……殺せば終わりでしょ?」


 天戸は事も無げに笑った。


 ――これが、俺と天戸の初めての異世界転移。俺と天戸の、終わらない物語の始まりだった。


 


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