代金
今回は短め
愛美が言った言葉は、普通の店ではすぐに追い出されるだろう。
だが、羽妖では…
「…どうやら此処のことをよく調べているようだね。うーん、どうしようか…知っているところまででいいから言ってみてくれないかい?」
「は、はい。
えっと、『先払いはそれに見合った働きを、後払いは働きに見合った望まれるものを』と聞きました」
と自信なさげに答える。
「うん、あってるね。
詳しく言うと、僕たちはどんな代金でも仕事を受ける。
それが1ルンの依頼でも。
だけど1ルンの依頼だったらそれだけしか働かない。
例えば畑を耕すという依頼を1ルンで受けたら、鍬を振るうこともせず手で一回すくって終わり。
でも、後払いなら、畑をすべて耕しはするけど請求されたものを出さなければならない。
もちろん求められたところまでやるからその分高くなる、という感じだね」
光は笑みを浮かべたまま、愛美が自身の説明が解っているかを見て確認し、続ける。
「君からの依頼は危険なことも多い。
だから後払いになると、金額にするとざっと1000万ルンは最低でも必要になる」
「高くなるのはわかっています。
お金はどれだけ時間がかかっても必ず払います!
だから……」
そう頭を下げようとする愛美を止め、光は話し始める。
「さっきも言ったけど、請求するのはもの。
お金を請求するときもあるけど今は足りてる」
「では、何を渡せば……?」
そう光に聞くと真面目な顔をして答える。
「君の身体」
ルンはこの世界のお金の単位。
1ルン=1円