表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安価で俺は変わろうと思う  作者: aaa168(スリーエー)
人生で、一番長い二日間
12/166

不審者


「がんばえーー!!!」

「負けるなーー!!」

「びえええええええ!!」


「……」


朝9時。映画館。

スクリーンでは派手なアイドル服のアニメキャラ達が敵と戦っている。


冒頭のバトルシーンから、響き渡る子供達の声。


こういった映画は、話すのとか叫ぶのが全然OKらしい。

初めて知った。映画館って静かに見るイメージしかなかったからな。



「うおおおおおおおお行けーーーー!!」

「負けるな○×! 負けるな○×!!」

「“俺達”が付いてるぞーーーー!!!!」



だとしても、大きいお友達 (おっさん)が一緒に叫ぶのはどうなの?

子供達が一緒にはしゃいでるから悪くはないんだけどさ。


……でも。

悔しいが――ぶっちゃけ熱かった。

幼児向けと侮るなかれ、スクリーンのアニメキャラはかなりの窮地に立たされている。


かつての仲間が洗脳され闇堕ちし、主人公は手を出すに出せない。そのまま何も出来ず時間が過ぎ、味方全てが捕らえられた。当然全員洗脳。


しかし今、主人公は覚醒した。

かつての仲間全員、正義の元に倒す事を決意したのだ。

1対5という圧倒的不利。


だからこそ――



「がんばえーーー!(幼児)」

「負けないでぇ……!!(幼児)」


「うおおおおお俺達も一緒に戦ってるぞ!!!(おっさん)」

「○×頑張れ! ○×頑張れ!(おっさん)」


「いっけーーーー!!(俺)」



今、会場は一つになったのだ。






「……楽しかった……」



息は絶え絶えだが。

その後の同時上映である、無事仲間の洗脳が溶けた後の日常編もまた良かった。

一緒にご飯つくるところとかいいね。なんかこう良すぎて泣きそうになりました(感涙)。



素晴らしい緩急。

☆は5個中10個といったところですかね(上限突破)。



「はぁ……」



エンドロールは短めに。

スクリーンが消えて、会場に電気が灯っていく。

この瞬間結構ノスタルジックで好き。


なんというか。

夢から現実に戻ってきた感じがあって――――



「――ッ!?」



さあ出よう。

そう思った瞬間――前方、先に居た『三人』に気が付く。


思わず俺は顔を俯け座席で隠す。



「はぁ~楽しかったね~『かのんちゃん』。あやのんもお疲れ~」

「うん!」

「疲れたわ……」



如月さんに初音さん。

そしてもう一人……周りの幼児達と同じ年齢ぐらいの子供を挟んで居る。


如月さんは制服とは違う大変可愛らしい私服姿。

初音さんも今朝のジャージと違って、レザージャケットを羽織り女の子らしさが――


ってそんな眼福に浸っている場合じゃない!

どうして此処に!?

いや、それはあっちの台詞だろ!


マズい。

今俺が居る事は、絶対にバレてはならない。

入った時は暗くて気付かなかった。

一体何時から――いや、間違いなく俺が入る前から居た! 大丈夫!

どうする?

どうする――隠れるか? 逃げるか?



いや、隠れるって何処にだよ。

逃げるしかないって!



「ッ――」



荷物を一瞬で片付け逃走。


三人をチラッと見て確認――良かった。あの三人は子供が居るから多分まだまだ時間が掛かる。

これなら、余裕で脱出できるぞ。



「よし……」



ゴミを捨てて、会場から出て――息を付く。

ここまで一分掛かってない。

このあと出てくる彼女達は、万が一俺を見つけてもこの映画を見ていたとは思うまい。


ミッション達成。我ながら完璧だ……(恍惚)。







「……どうしたの桃?」

「ん~? バレてないと思ってるのかな~って思って」


「? 何の話かしら?」

「なんのはなしー?」


「んふふ。何でもないよ~かのんちゃん楽しかった?」

「うん!」

「もう~、かわいい大好き!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あれ、このヒロイン性格最高…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ