俺、直す
意外と下まで続いてんだな。
この家を作った技師はきっと凄腕だったんだろう...。
「おっ、部屋か...」
下りた先にあったのは小さな部屋だった。
そして...出会ってしまった
「なんだ...このロボット...」
こんなロボット王国ですら見たことがない。
女の子のような見た目だが塗装がはげている箇所があったり繋ぎ目が千切れている箇所があったりしている。
「こんなの...直すしかないだろ!」
罪人になって初めて機械技師になってよかったと心から思ってしまった。
直すとは言ったものの今ある工具の中で、ましてや俺の知識だけで直せるのだろうか。
「とりあえず繋ぎ目を補強して、塗装はまぁそのままでもいいか。」
あとは電源がつくかどうかなんだが...やっぱりだめか。
「うーん、どうしたもんか」
諦めかけたその時机の上のものが目についた。
「このメモ...また古代文字か。」
読んでみると、"スペア 床下にあり" と書かれている。
「スペア?なんだろう。床下ってことは隠してんのか。」
おれはおもむろに床を見つめた。
この家の主は忘れっぽいのだろうか、至る所にメモ書きがある。
きっと、じいさんが住んでたのかね。
おおっと、また同じ解読方式の錠前か。
「よし、解けたっ!」
中には何が入ってるのかな〜?
見るとそこには核のような球体があった。
「まさかこれ動力源の縮小物か...?」
ありえない、現代でも確立していない技術なのに...
手の震えが止まらない。こんな技術の塊が目の前にあるなんて。
多分こいつはあのロボットの心臓みたいなものだろう。
「はめてみるか...」
俺が核をロボットに近づけた途端吸い込まれるように核が装着された。と同時に電源が入る。
「な、なんだこいつ...」
まっすぐな瞳で見つめるその姿はまるで人間の少女だ。
「あなたは誰?」
「しゃべっ...た...」
言葉まで考えて発するなんて...人間の子の融合体なのかこいつはっ...!
「お、俺は人間だ。」
「ニンゲン...?」
「お前は?」
「ワカラナイ」
なるほど、何も知らないロボットか。ただ、俺の知的探究心を満たすいいおもちゃになりそう...。
っといかんいかん、これだからレイに白い目で見られるのか。
「名前も何もないのか?」
「ナイ」
「そうか、まぁロボットだもんな」
外を見るとすっかり暗くなっている。
やべぇ、そろそろ食料を調達しなければ。
「ドコヘイク?」
「食べ物を探しに行ってくるぞ」
「ワタシ、イク」
こいつ付いてくる気か?
まぁいいか、貴重な資料が取れるかもしれない...
「じゃあ来いよ、ロボッ...いやなんか違うな。」
「...?ドウシタ」
「お前の名前はラオだ!」
と叫んだと同時に辺り一面が光り輝く。
「ワタシ、ラオ、アナたに着いていきます」