俺、決意する
はめられたとは言え息子がシヴァ島送りだなんて、これじゃあ俺、親不孝者じゃん。あーきっと父ももう機械技師の仕事ができなくなるだろうな。凄く申し訳なさが残る。
いや待てよ、確かシヴァ島って...
そう思って俺は幼馴染のレイに聞くことにした。レイはとても物知りで学者をやってるはずだ。
じゃじゃーん!携帯言交わし機ー!
何度も言うが俺は機械技師だ。これは持ち歩ける手紙のようなものだ。発信機を改良して作った俺天才。これでレイとたまに会話をしていた。
メッセージ送信!
(レイ!お前シヴァ島の秘密とか知ってる?)
おっ返ってきた。
(あの島?なんで急に?)
(いや、実はさ俺やらかしてシヴァ島送りになっちまって...)
(は?本気で言ってる?)
(そうだよ。だからシヴァ島から出たいんだ。確か出たらなんたら〜みたいな伝説があったよな?)
("伝説"ね?そこのところわかってる?不可能よ。)
(俺ならやれるはずだ)
(あんたって昔からそうよね。ほんと呆れちゃう、まぁいいわ教えてあげる)
(よく聞いて...ー。)
(なるほど、さんきゅーな。助かるぜ)
(あんた絶対出られないわよ!あたしが...)
ブチッー。
ありがとうレイ。助かったぜ。
レイから聞いた情報をまとめるとこうだ。
・シヴァ島は木が生い茂る小さめの島
・シヴァ島の周りは常に海が荒れ狂っていて泳いでこっちの港に戻ることは不可能
・シヴァ島の中は調査不可能で何もわからない
・過去に脱出して生還したものは0名
・仮にシヴァ島からの脱出者が生還した場合、その者の罪は帳消し
最後のが1番大事な情報だ。俺が生還すれば父さん母さんが虐げられることはなくなる。これまで何人かシヴァ島送りになったやつを見たが家族の運命もまた地獄だった。耐えかねずほとんどが心中をするのだ。
レイが匿ってくれると言っていたから暫くは大丈夫だが早いほうがいいだろう。
その時、扉の方から俺を呼ぶ声がした。
「あっ、ロイ!」
「静かにしろ、聞こえるだろ」
「悪ぃ、そういえばお前ここの兵士だったな」
「あぁ、てかお前なんで捕まってんだよ」
俺は事細かに説明した。
「そういうことか、お前が叛逆なんてするはずないもんな」
続けてロイが言う。
「幼馴染のよしみじゃないけどよ、お前がなるべく生き残れるように協力してやる。なんか島に持っていきたいものあるか?」
「うーん、家に置いてきちゃった工具箱が欲しいな」
「ふーん、そんなんでいいのか。わかったぞ。」
話を聞くと、俺が島に送られる当日の当番がロイらしい。工具箱を持ってきてくれるのはとてもありがたい。
それから3日後、扉が開く音がした。
「出ろ。刑を執行する」
よし、俺の戦いの始まりだ。
島までの渡航は最悪なものだった。きっと俺の他にも重罪を働いたものがいるのだろう。ずっと鳴り響く雄叫びの数々。
頭がおかしくなる...
計二日間かけて島に着いた頃には瀕死状態だった。
そこへロイが来た。
「せいぜい頑張れ。生き残れることを願うよ」
手には俺の工具箱が。
「ほんとにありがとうな。またハイセンで会おう!」
そんな俺とは対照的にロイは涙を浮かべていた。
「そうだな...これくらしいかしてやれなくてすまん」
なんだよ、最後のお別れみたいに言いやがって。
船が行ってしまったあと、俺は島への一歩を踏み出した。