幼馴染
「おっはよ。早く行こうよ」
本当に綺麗な声だなあと思いながら今日も迎えに来てくれた幼馴染、花梨を見上げる。
ベッドに横たわっている俺の視界には、可愛い美少女の顔がある。……幸せな朝だなあ。
「おーい、まだ寝ぼけてる?」
花梨が俺の顔の前で手を振るたびに、彼女のトレードマークであるツインテールもぴこぴこ揺れる。
なんだ、この可愛い生き物。
よく考えなくても、俺はこの幼馴染が好きすぎる。…まあ、実際、恋してるんだけどね。
視線をさりげなく下へ卸せば、そこにはたわわに実った果実が揺れていた。
朝起きたばかりの思春期男子に、この光景はちと破壊力がありすぎる。
「……エッチ」
しかも、即効でバレてるし。
恥じらいながら胸を両腕で隠すしぐさとその表情がまたエロいと知らないようだ。
「もう、起きたよね。私、リビングで待ってるから」
「…あい」
寝ぼけた声で返事をした俺をしょうがないなあという目で見た後、花梨は俺の部屋を出ていった。
「……」
普通に、どきどきと心臓が高鳴ってる。
俺、あいつのこと好きすぎるだろ。あいつが俺をどう思ってるかは知らんけど。
「はあ」
海辺に存在するこの町は、いつも塩の香りで満ちている。
その中に、さっきまでここにいた少女の爽やかな香りも残っている。
「起きるか」
学校に遅刻するわけにもいかないし、花梨を待たせるのも悪い。
ああ、でも、これから俺、あんな可愛い子と一緒に登校するんだよな。
毎日、そんな贅沢を味わっているというのに、俺は今日もそんなことを思うのだった。