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前編

 推理小説という新しいジャンルが流行している今日この頃、婚約が決まった。

 子爵様の嫡男ということで、男爵家の娘である私が嫁ぐにはラッキー!なのかもしれないけれど、何しろ事情が複雑で、諸手を挙げて喜べない。


 婚約の顔合わせの数日後、婚約者様の屋敷に呼び出された。

 政略結婚なりにも少しずつ交流していきましょう、という話なら良いのだけど、どうもそんな雰囲気ではなさそうで。

 テーブルにはお茶のセッティングがされているものの、何というか針の筵。

 席に着いた私は、息を詰めて婚約者様の様子を窺う。


 青い瞳に銀の髪、すらっとして背の高い整った容姿をお持ちの婚約者様。

 噂では、口数少なくストイック、氷のような雰囲気と称される方だけど。

 席に着くこともなく立ったまま、アイスブルーの眼差しが私を睥睨する。


「俺は、お前を愛することはできない。」


 ……、驚いた。

 私の侍女とこの屋敷の従僕が、息を殺して様子を窺っているのが感じられる。

 呆然としているうちに、婚約者様は部屋を出ていかれてしまって。

 だから、聞きそびれてしまった。


 婚約者様はとても正直な方のようだ。

 こんなにもはっきりと“愛せない”と言われて驚いた。でも、よくわからいまま冷たい対応をされるよりはマシ。

 だからこそ、私は聞きたい。


 で?


 婚約者様のお気持ちはわかった。で?

 それで、今後どのように行動することをご希望なのだろう?


 跡継ぎができれば、その後は仮面夫婦になりたい?

 私と関わりをもちたくないから、跡継ぎは養子で、私にはいっそ領地へ行ってほしい?

 あるいは病気療養と理由を付けて、私を閉じ込めてしまいたい?

 もっと言えば、私は婚約後に知ったことだけど、無理矢理別れさせられたという恋仲の女性、彼女と添い遂げるため婚約破棄したい?

 それとも彼女を愛人に、私をお飾りの妻にしたい、とか?


 選択肢はいろいろある。

 婚約者様は、いったいどんな未来をお望みなのだろう?




 というわけで、お互い腹を割って話し合えるような場を持つべく、婚約者様にお手紙を差し上げたのだけど、返事がない。

 困った。読んでもらえてはいるのか、読んでもらえてもいないのか、そこからわからない。

 仕方がないので、侍女を通して婚約者様の従者にコンタクトを取ってもらった。が。

 従者にとって私は敵認定されているようで、にべもなく断られたと侍女が憤慨していた。


 では屋敷の執事ならどうだと、婚約者様の留守中に押しかけて強引に執事と話をしてみることにした。

 さすがに執事は婚約者となった私のことを無視するわけにもいかず、慇懃無礼な態度ではあったが話を聞いてくれた。

 私はチャンスとばかり、手紙を読んでほしいこと、内容は決して婚約者様をなじるようなものではないこと、穏便に話し合いたいことを精一杯主張した。


 数日後、執事から連絡があった。私の手紙は読んでもらえたと。

 思わず立ち上がり、侍女と手を取り合って喜んだ。

 きっとたぶん、あの老練な執事はこんな感じのことを言ってくれたに違いない。差し出がましいこととは存じますが、婚約者になられたご令嬢のことを快くお思いになられていないなら、なおのこと、この手紙を無視することで何らかの不利益を被ることは避けられた方がよろしいかと、とか何とか。

 しかし、続きの文面を読んで愕然とした。婚約者様は私と会う気はない、と。

 思いっきり落胆した。

 どうして、あんなにも私は婚約者様にとって危険な存在ではないと書き連ねたのに。

 私は婚約者様にダメ出しをしたり、婚約者様を否定したり、婚約者様をディスったりはいたしません、と。

 …………かえって、くどかったかも?


 何か、ほかに手はないだろうか。

 婚約者様に無理矢理会うのは、どう考えても難しそうだし。仮に会えても、話を聞いてもらえなければ意味がないし。

 誰か、ほかに婚約者様にアドバイスしてくれそうな方、私と話し合うことをすすめてくれそうな……。


 そうだ、ご友人がいらっしゃった、仲が良いと噂されていた、同じ子爵家嫡男の。

 名前は確か、オーウェン様。

 婚約者様と同じように整った容姿をお持ちだけれど、見た目の雰囲気はかなり違うらしい、噂では。


 友人の子爵令嬢に彼の話を聞きに行ったところ、何と数日後、彼女の家で催される夜会に出席されるという情報を教えてくれた。

 ついでに、私と引き合わせてくれるとも。




 夜会の日がやってきた。

 それなりに着飾って、オーウェン様が現れるのを友人の近くで待つ。

 彼女には結局、私の婚約にまつわるゴタゴタを全部話すことになり、よくある話よ、と慰めの言葉をもらった。

  

 客の挨拶が途切れると、友人がこちらを振り返る。準備は良い?という目くばせに、私は小さく肯く。

 不意に周りのご令嬢方、ご夫人方がざわめいた。

 あの方だ。すらっとして背が高く、整った容姿の方。

 けれども、緑の瞳に金の髪、婚約者様とは違うやわらかな雰囲気をお持ちの。


 一瞬思う。婚約者がこんな方だったら……、いやいや今はそんな場合ではない。


 友人がオーウェン様に声をかけ、そして私を紹介してくれる。

 彼の表情が一瞬変わる。私が誰の婚約者なのか、気づいたみたいだ。

 私の印象が良いものか悪いものか、それは読み取れなかったけれど。

 友人が他の誰かに声をかけられ、そちらに向かう。

 今この近くには、彼と私の二人だけ。


「お願いです。婚約者のことでご相談したいことがあります。どうかお時間を取っていただけませんか。」

 彼の口の端が皮肉そうにゆがめられる。

「事情は聞いていますよ。その感じだと、断っても付きまとわれそうだ。」


 ……、そんなに深刻そうな顔になっていたかな?

 でも、婚約者様には婚約者様の望みがあるように、私は私の理由で必死なのだ。


 彼がにこりと笑う。

「ここでは人目がありすぎる。

 妹のお茶会に招待しますよ。その時にお会いしましょう。」




 後日、招待状が届いた。

 婚約者様のご友人様は、本当に相談に付き合ってくれる気があるようで、まずは一安心。


 そしてお茶会当日。密かに別室に通された。

 お茶のセッティングがしてあるけれど、和やかにご相談って雰囲気にできるかな?


「お待たせしました。」

と、ご友人様も席に着く。カップに紅茶がそそがれる。彼が私をみてにこりと笑う。


 手の内を明かさない笑み。この方の愛想の良さは、鎧のように身を守るものなのかもしれない。

 そうだとしても、本当に婚約者様とは違う人当たりの良さがある方だ。おかげで、まだ話がしやすい。

 いいえ、婚約者様は有能と聞いているから、氷対応なのは私だけかも。ちょっとへこむけれど。


「お茶をどうぞ。まずは、お互い落ち着きませんか。」

 ご友人様が言う。つまり、私に落ち着いて欲しいということですね。

 でも、このチャンスを逃すわけにはいかない。握り締めた手に力が入る。

 それでも、カップを手に取り紅茶を一口飲みこむ。その香りと温かさに少しほっとする。

 ご友人様は、さりげなく私を観察している。

 さあ、私ができることをやってみよう。


「本当に、ありがとうございます。お時間を取っていただいて。」

 ご友人様が話を促すよう少し肯く。

 では。


「婚約者様から言われたのです、“俺はお前を愛することはできない”と。」

 見事に、ご友人様の顔が引きつった!

 よし、つかみはOK、ぜひこのまま話を聞いてください!


「そのお話のあと、お会いすることができません。

 ですが、私にはお聞きしたいことがあるのです。それで、と。」


ご友人様が大きくため息をつく。

「それで、とは?」


「婚約者様のお気持ちはお聞きしました。それで、その上で、どのように行動されたいのかをお聞きしたいのです。

 円満な婚約解消に持ち込みたいのか、いっそ婚約破棄なのか。

 それとも、このまま結婚して、恋仲の女性は愛人にしたいとか。

 それとも私も彼女も遠ざけて、跡継ぎは親族の子どもにするとか。

 選択肢はいろいろありますので。」


 ご友人様が一度目を伏せ、それから私をじっと見る。

「“で”、あなたこそ、どうしたいのかな?それを聞いて。」


「私、協力しないとは言っておりません。ただし、内容によります。」

 そう、私はこれを言いたいのだ。私にとっては当たり前のことだけど。でも。


「へえ、どんな条件なら協力すると?単に金か、あるいは隠したい秘密でもある?それとも、男?」

 ご友人様のさげすむような眼差し、馬脚をあらわしたなとでもいうような。

 ……どの辺を警戒されているのかな?私にそんなややこしいものはないのだけど。

 私が第一に確保したいものはただひとつ。


「じゃあ、ちょっとこの毒を飲んで、毒殺されて欲しい、と言われても協力いたしかねます。」


 おや、ご友人様が小さく口を開けたままポカンとしていらっしゃる。しかし、さすがイケメン、それでもサマになっているとは。

 しかしこの驚きよう、もしやすでに計画中とか!?


「もしかして、すでにその案はおありでしたか。

 病気にみせかけて、毒殺。事故に見せかけて、撲殺。自殺に見せかけて、絞殺。」

 いくらでも方法はある。隠蔽されてしまえばそれまで。警察は貴族の屋敷には手を出せない。

 くっ、ここは何としてでも回避せねば。

 ただ、口に出してしまった私が言うのもあれだけど。

 “さすがに結婚してすぐは怪しまれるから、頃合いを見計らって溺死予定なんで、よろしく”

 なーんて被害者予定の私に言うとも思えないから、どうしたものか。


 しかし、その懸念は当たらなかった。

「いやいや、あなたの発想はちょっとヘン過ぎるよ!?突拍子もない!

 いま流行りの推理小説じゃあるまいし!」

と、ご友人様に真顔で反論されてしまった。


 そうかなあ?推理小説の愛読者ではあるけれど。まあ、いいや。気を取り直して。

「では、私を罠にはめて、または罪をなすりつけて、監獄行きにすることで私を排除したいと言われても、協力いたしかねます。」


 ご友人様が額を抑えている。

「それは確かにそうだろうけどねえ。それでも、あなたの思考回路はヘンだよ。」


 そうかなあ?

「私はまず身の安全を確保したいのですが。」

 身を乗り出して主張すると、とうとうご友人様が笑い出してしまわれた。

 ……どのあたりに笑いのツボがあったのかな?


 ご友人様が私に向き直る。

「わかった、ちゃんとあなたの話を聞こう。

 僕はあいつの恋愛相談にのっていたからね。事情は詳しいんだ。

 あなたは、どれくらい知っている?」

「婚約が決まった後、婚約者様に恋仲の女性がいると聞かされました。

 その女性が、騎士爵の方の三女であることも知っています。」


 婚約が決まる前に知ることができれば、私は反対した。

 婚約が決まる前ならば、どんな理由を付けてでも、家出騒ぎを起こしてでも、修道院に入る入る詐欺をしてでも、駆け落ち騒動でも、あるいは婚約者様にコンタクトを取って共謀するとか、ぶち壊すための選択肢は多かった。実際に壊せるかどうかはどもかく。

 しかし婚約が決まった後、双方傷がつかない方法となると、これが難しい。


「ずいぶん、淡々と答えるのだね。」

 ご友人様が、小さく息をついて続ける。

「確認だけれど、あなたがあいつとの婚約をねだったのかな?」


 やっぱり、そんな風にみえてしまうとは。

「いいえ、それは違います。」

 これは本当に違うのだけど、わかってもらえるだろうか。しかし、それはあっさりと覆された。


「そうだろうね。ただ、あいつはそう思っている。思い込んでいる。

 だから余計に、あなたと話し合いをしたくないのだと思うよ。」

 あんなに頑張って手紙を書いたのに、思い込みの前には敗北してしまうのか……。


 ご友人様がさらに続ける。

「あなたには気分のいい話じゃないと思うけれど、大丈夫かな?」

 肯く。もう、毒を食らわば皿までの心境ですよ。


 ご友人様が紅茶のカップを手に取った。ゆっくりとした仕草でお茶を飲み、カップを降ろす。


「あいつは基本的に人を頼らない。力量があるからやっていけてるけどね。

 ただ、恋愛ばかりは勝手が違ったようだ。プレゼントやデートの場所について、僕に聞いてきた。

 その様子から分かったんだが。


 あいつは本気だった。本気なあまり、子爵家当主殿に真っ向から彼女と結婚したいと言ったほどだ。僕は止めたんだけどね、その方法では当主殿は納得しないと。

 しかし、あいつは融通がきかないというか、真面目というか。認めてもらうのだと正面からぶつかった。そういう方法がむしろ最善のこともないわけじゃないが、やはり僕の予想通り今回は悪手だった。

 何度か親子喧嘩を繰り返した挙句、当主殿が勝手に婚約者を決めてしまった。

 その婚約者があなただ。


 そこであいつは板挟みになった。結果として、次期子爵としての責務を果たすこと、これを放り出すことは、どうしてもあいつにはできなかった。僕もそうだけれど、自分の生き方を否定することになるからね。

 そしてあいつは、彼女と別れることを決めた。」


 あれ、それはおかしい。

「無理矢理、別れさせられたのではないのですか?」


 ご友人様が少し顔をうつむける。

「そういう話になっているのか……。

 あいつからすれば、婚約がなければ別れなくて済んだわけから、無理矢理婚約者を決められ、無理矢理彼女と別れることを決めさせられた、ということかもしれない。

 実際、婚約者を決められれば、彼女とは別れるか愛人にするかの選択肢しかなくなると、当主殿は考えただろうからね。


 実は、彼女と別れることについては、僕は止めたんだ。

 あなたには不愉快な話だとは思うが、あいつは本当に彼女を思っていた。

 昨今、婚約解消は珍しいことじゃない。相手の婚約者の状況によっては婚約話がなかったことになる、これも珍しいことじゃない。だから様子をみるべきだとね。

 しかしあいつは、彼女と別れることに決め、そしてあなたには愛することはできないと告げた。

 いったい何を考えているんだ、あいつは。」


 ご友人様が頭を抱えている。

 私は何となく思った、婚約者様はたぶん、誠実で不器用な方なのだろう。


「というわけで僕も、あいつがこれからどうしたいと考えているのかよくわからないんだ。

 次期子爵としての責務は果たすつもりだろうけれど、それ以外については、もしかしたら本人もわかっていないのかもしれない。」


 ご友人様がじっと私を見る。あの、イケメン様に見つめられるとちょっとドキドキしますけど。

「あなたが協力してくれるというのなら、友人として僕は有難いと思う。

 ただし、ひとつ問題がある。」

 何だろう?


「あなたの幸せは、どのあたりにあるのかな?」


 答えに詰まった。

 ……考えてはダメだ。でも思ってしまう、こんな方が婚約者であったら良かったのにと。

 いやいや今はそんな場合ではない。


「私には少々罪悪感があります。

 もともとこの婚約は、婚約者様が反対しているにも関わらず勝手に結ばれた婚約です。

 裕福なうちの男爵家が、少しばかり財政難に陥っている子爵家に強引にもちかけた婚約です。子爵家と縁続きになることで得られるメリットは大きいと。

 同時に、父としては次期子爵で有能と評判の殿方を婚約者とすることで、娘の幸せを考えてくれたのだろうとも思います。婚約者様のお気持ちは別として。というか父からすると、婚約者様のお気持ちは一時の気の迷いということになるらしいですから。

 ですが私は、そうは思えなかったので。」


 だから罪悪感がある。

 そして私が動かなければ、この状況は何の問題もなくそのまま結婚に向かってしまう。

 ゆえに私は、無理矢理ジタバタしているのだ。


 ご友人様が首をかしげる。

「だからといって、あなたが強引に婚約を推し進めたわけでもないだろう。

 当主殿の意向に逆らうのは、令嬢であればまず難しい。あなたもまた巻き込まれた一人だ。

 あなたは、どうなれば幸せなのかな?」


 ……ああ本当に、こんな方が婚約者なら良かったのに。

 いやいや、本当に今はそんな場合ではないのに。


 婚約が決まった。その後、婚約者に恋仲の女性がいることを知らされた。

 この状況どうしたものかと途方にくれた。それから、やっかいな立場になることを覚悟した。

 それでも、政略結婚なりにお互い良好な関係を築くことができるかもしれないと、希望を持って体面に臨んだ。

 初めて婚約者様にお会いした時、私はほっとした。態度は固いけれど、噂通りの誠実そうな方だったから。

 でも、婚約者様は。


 私を見て、がっかりした。


 たぶん、婚約者様も覚悟を決めて体面に臨んでくださったのではないかと私は思う。

 それでも、婚約者様にとって私は期待外れだった。

 期待外れの理由は、本当のところは婚約者様にしか分からない。ただ私はこう推測している。


 恋仲であった女性は、美人で、気立てが良くて、しっかり者の、仕事もできる女性らしい、街で評判になるくらいの。

 そんな彼女と私を比べて、婚約者様はがっかりした。


 その時私は、これはダメだと思った。いや、なんというか。

 私は、私を良いと言ってくれる人がいいと思った。

 たとえ、十人並みの容姿でも、性格がちょっとヘンでも、能力が取り立てていうべきところはなくても、私が良いと言ってくれる人がいいと思った。

 そんな人がいるかどうか、わからなくても。


 ご友人様が、静かに私の考えがまとまるのを待ってくださる。

 私が望むものは。


「円満に婚約が解消になれば、私の方に問題はありません。

 父が新たな婚約者を探すだけですので。

 しかし、婚約者様がこのまま結婚をご希望なら、話し合う必要があります。

 お互い、幸せになれる方法を探すために。」


 そう答えた後のご友人様の眼差しがやわらかくて、驚いた。

「僕はあいつの幸せを願っているけれど、あなたにも幸せになってほしい。そのためには、確かに二人で話した方が良さそうだ。

 話し合いの場をセッティングしてあげるよ。必要とあれば、僕も同席しよう。」


 !!!

 やった、嬉しい!

「是非是非、同席をお願いいたします。

 私、まったく自慢になりませんが、婚約者様から氷対応をされていますので。

 ブリザードっていうか、ここ北極かな、南極かなって感じで。

 でも、オーウェン様が同席してくださるなら、多少は氷もとけて、陽だまりもできようかというものです。

 そうなれば、私も大変話しやすく、きっと婚約者様が幸せになるような提案をしていけるのではないかと!」


 喜びのあまり話し続けて、ふと我に返った。

 ……しまった。素でしゃべりすぎた。しかもお名前まで呼んでしまった。

 ご友人様を窺うと、何だか楽しそうに笑っていらっしゃる。


「僕を陽だまり製造機にしようとした人は初めてだから、可笑しくてね。

 しかしあなたは、今までに出会ったことのないほど、何というか、“妙”な令嬢だ。」

 ご友人様が、何とも表現しがたいという顔をされているけど。

 ごく真面目に男爵令嬢をやっている私に、“妙”とはこれ如何に?


「それから、僕のことは名前で呼んでくれて構わないよ。ハリエット嬢」

 今度は私が、ご友人様に名前を呼ばれてしまった。……ちょっと恥ずかしい。




 数日後、またオーウェン様の妹様からということでお茶会の招待状が届いた。

 同封されたメッセージカードには、“存分に話し合うといい。僕も同席する”の文字。

 落ち着いた力強い筆跡に、勇気づけられた。


 だったのだが。





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― 新着の感想 ―
[一言] 友人もわりとクズなような・・・ 主人公がどういう立場かある程度知っているのに、主人公に対して失礼すぎる。というか、当人の解決する問題ではない、双方の家の問題になぜしない?
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