~天界と地上が出会う場所~ー3
スタンリーは諦めずに三日三晩ツルハシを振り続けた。そして転機が起きる。
4日目の朝のこと、いつものようにツルハシを持ってテントから出ると、スタンリーは異変に気づいた。壁の向こう側がいつもの見ていた暗黒ではなく、今までで見たこともないような強い光を放っていた。スタンリーはそれを見ると一瞬で悟った。それが地上のそれではなく、天界のそれだと。神だと。スタンリーは神を見るのは初めてだったが一瞬でそれが神だと認識した。頭で理解したのではなく、心でそう感じたのだ。頭がまだ状況を整理できていない間に、神からスタンリーに言葉が届く。
『何故、壁を壊そうとするのか?』
神の声は頭の中で響いていた。スタンリーは声を出し答えた。
『俺はこの世の全てを知りたい。俺は世界のあらゆるところを旅してきた。この先に何があるのか、俺はそれが知りたいだけなのだ』
寒さのせいか、神に臆したせいか声がうまく出なかったが、堂々とした口調で言った。神はそれを聞き、声を上げて笑った。
『その願い叶えてやろう』
すると、壁があったであろうところに黄金でできた階段が現れた。その階段は壁の向こう側、スタンリーが行きたいと望んでいた暗黒の中に伸びている。そして神は続けた
『この階段を登り切った時、この世の全てを知ることになるだろう。ただし、一度登り始めたら後戻りはできない。覚悟を決めろ』
そう言うと神は初めからそこに居なかったかのように消えていた。スタンリーの目の前には終わりの見えない果てしない階段が永遠に続いていた。普通の人間なら、戸惑いや恐怖を覚えるような状況だが、スタンリーは違った。周りの雪が溶けるような情熱を身体から発し、つぶやいた。
『まだまだ俺の知らない世界が広がっているんだ』
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