三十九話
いよいよ最終話です!
「サリー?大丈夫?」
「はい。ローズ様。」
ジルはまるで姉妹のように笑いあう二人を見て、ほっと笑みを浮かべた。
ローズもサリーも二人ともその後健康を取り戻し、イラットに毎朝健康チェックをされた後は二人で仲良く過ごすようになっていた。
そしてその様子を微笑ましく見つめながらも、ジルは内心で少しだけ焼きもちを焼いていた。
「ねぇ。そろそろ僕もかまってほしいんだけど。」
突然抱きしめられてそう言われたローズは顔を真っ赤に染め、目の前でそれを目撃したサリーは慌てて立ち上がると、言った。
「すっすみません。私、イラット様の所に忘れ物をしたので行ってきます!」
サリーは耳まで真っ赤にしながらそう言って立ち去り、残されたローズはジルの腕の中で両手で顔を覆った。
「もう!ジル様・・・恥ずかしいです。」
「ごめんごめん。でも・・かまってよ。」
「・・・はい。」
ぎゅっと抱きしめられながら、ローズは笑みを浮かべた。
「ふふ。でも何だか、メイドとして働いていた頃が懐かしいです。」
「え?・・僕は何で気付かなかったんだろうって、恥ずかしくなるけど・・・」
「そうですか?でも、私は婚約者がジル様になって本当に良かったです。」
「うん。僕も。ローズが婚約者でよかった。これから末永くよろしくね?」
「はい。」
ローズが可愛らしく笑った瞬間、ジルはにっこりとその唇にちゅっとキスをした。
「へ?・・・」
見る見るうちにローズは顔を真っ赤にさせていく。
ジルはもう一度、今度は少し長めにキスを贈ると、悪戯が成功した時のような顔を浮かべて言った。
「今後は、こうしたスキンシップにも慣れて行こうね?」
「そっそれは・・・まだ早いです!!!!」
あわあわとするローズを見つめながら、ジルは楽しげに目を細めた。
これからちょっとずつ、二人の時間を増やしていこうと頭の中で画策する。
そんな二人の幸せは末永く続いていく。
サリーはローズの侍女となり、そんな二人の物語を娘達に話して聞かせた。
「むかしむかしある所に、婚約破棄をされた美しき令嬢がいました。彼女はその後第二王子の婚約者となるのですが、なんと、第二王子にはメイドと勘違いされてしまうのです。」
その物語は、王国に長く語り継がれていくことになるのでした。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
読んでくださる方がいてくれたことが、作者かのんの喜びでした。
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作者 かのん




