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呪われた年下王子の婚約者 ~王子はメイドと勘違いしているようです~  作者: かのん


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二十四話

 辺りが明るくなり、ローズは静かに村を見ていたが、どうやら平和な村のようで村人たちは挨拶を交わしながら日常を過ごしているようだった。


 話しかけても大丈夫だろうかと、ローズは思いながらも、自分がいる位置さえ分からずこのままやみくもに動くことも出来ず、仕方がないと立ち上がると、村人の方へと歩いて行った。


 村人たちは突然現れたローズに、顔を歪ませると図体の大きな男性がローズの前へと進み出た。


「あんた、何者だ。悪いが、ここは小さな村だ。さっさと出て行ってくれ。」


 ローズは呼吸を整えると、ひるみそうになりながらも男性に言った。


「リフレ王国へと向かいたいのです。道だけでも、教えてはいただけませんか?」


 その言葉に、男は眉間にしわを寄せた。


「リフレ王国だって?・・・やめといた方がいい。今、タージニア王国とリフレ王国は緊迫した状態なんだ。お前さん、知らないのか?」


「え?」


「はぁ・・あんたどこの田舎もんだ。しかたねーなぁ。ほら、こっちにこい。その顔色からして朝飯だって食ってないんだろう。」


「え?あの・・・」


「いくら俺だってな、若い娘っこに酷い扱いはできねーさ。ほら、来い。俺はゴラン。この村の長の息子だ。」


 ゴランはそう言うとすたすたと歩きはじめ、ローズは慌ててその後ろをついていった。


 村人たちはゴランがどうにかするだろうと思っているのか、肩をすくめるといつもの日常へと戻っていく。


 ローズはゴランに案内されて、小さな家の中に入る。その中には赤ん坊を抱えた女性がおり、ゴランはその女性を呼んだ。


「ルルー。すまねぇが、朝飯の残りはあるか?」


「ん?どうしたね?まぁまぁ。若い娘さん。旅人さんかい?それにしたって・・・その恰好は・・・」


 ルルーと呼ばれた女性は驚いたような顔をすると、腕に抱えていた赤ん坊をゴランに抱かせると、ローズに駆け寄り手を引いた。


「寝巻のような恰好で、若い娘が歩くんじゃないよ。私のお古で良ければあげるから、こっちにおいで。その後で朝食をあげよう。ゴラン。可愛いリリーをお願いね。」


「・・あぁ。」


 今にも泣きだしそうな赤ん坊にゴランは必死になり始め、ローズはルルーに連れられて奥の部屋へと入ると着替えを渡された。


 簡素な茶色の服は、少しばかりローズには大きかったので、腰の所を紐で縛り、調節をした。ルルーはすぐにスープとパンをローズへと振る舞ってくれた。


 味の薄い、冷えた食事ばかり食べていたローズの瞳から、大粒の涙がこぼれた。


「おや、どうしたんだい?あらあら、泣くのはおよしよ。」


 温かい食事がこんなにも美味しく、心が温まることをローズは初めて知った。涙はきっとサリーの分も含まれているのだろう。しばらくの間、ローズの瞳から、涙はこぼれ続けた。


「落ち着いて食べな。大丈夫さ・・・あんた・・もしかして何か酷い事でもされたのかい?」


 背中をルルーにさすられながら、ローズは涙を必死に拭って首を横に振った。


「だい・・丈夫です。」


「そう・・・かい。大丈夫さ。きっとあんたにはこれから素晴らしい未来が待っているさ。気を落とすんじゃないよ?」


 ルルーの優しい言葉にローズは頷き、そしてゴランにこの村の位置と今、タージニア王国とリベラ王国がどういう状況になっているのかを聞いた。


「俺も詳しい事はわからねぇが、とにかく今は緊迫した状況になってんだ。けど、今度タージニアの王城にリベラの王子様が話をしに来るっていうから、そこで上手くいけば、また前みたいに平和になるかもなぁ。」


「王子が?」


「あぁ。何ていう名前だったかな・・・」


「・・・ジル第二王子・・・?」


「そうそう!お前、それは知ってるんだな!」


 ローズは驚いたように目を丸くすると、これからどうしたらいいのか思考を巡らせ拳を強く握った。





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