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呪われた年下王子の婚約者 ~王子はメイドと勘違いしているようです~  作者: かのん


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二十三話

 私がまず行ったのは、サリーの体に刻み込まれている術式の解読である。どこかで行われた呪術の対価としてサリーの魔力と魂を削るというものらしいが、術式自体は難しいものではなかった。ジルと共にこの三年間魔術や呪いなどに関してはかなり深くまで調べていたことが役に立った。


 しかも、私自身の魔力は残っていた。サリーの魔力はほぼ空であるが、私の魔力があるので、サリーのわずかな魔力を損なわずに済んでいる。


 私はやることを決めた。


 一つ目に、体の術式の解除。


 二つ目に、この場所からの脱出。


 三つ目に、ジルの元へと帰り、自らの体に戻り、そして、サリーを救う事。


 サリーは願っていた。タージニア王国の呪術の犠牲者が出ない事を。


 サリーと自分は全く関わりはない。けれど、サリーが居なければ恐らく自分は魂のままさまよい、そして死んでいたかもしれない。


 いうなればサリーは恩人なのである。


 私は胸に手を当てると、とくりとくりと鳴る心臓を感じながら呟いた。


「大丈夫よサリー。私、きっとうまくやって見せるわ。」


 半分はサリーに向けて、もう半分は自分を奮い立たせる為に口にした。



 それからどれくらいの時が流れただろうか。ローズは体に刻み込まれていた術式を解読すると、それに新たな術式を咥えて解除することに成功した。そうすることで、体に刻みつけられ浮き上がっていた術式は消えた。


 そして、ローズは泉の周りを調べた結果、生贄の少女の魔力を飛ばすための版、装置のような物が泉の中に仕掛けられていたことに気付き、それも今日壊した。


 もうそろそろ五年目が終わる。そして解除したことによっておそらくはサリーは死んだものと思われ、誰かが死体を回収しに来るはずである。


 足音が聞こえ、ローズは扉の裏へと身をひそめると、鍵を開け、中に入ってきた一人の男性に背後から魔法をかけた。


 男は記憶が混濁するように魔法を掛けた途端、その場に倒れ、ローズは恐る恐ると言った様子で男の懐を探ると、申し訳ないと思いながらも財布を奪い、長い暗い道を登って行った。


 所々湿っていて滑りそうになるが、どうにか外に出た時、そこはひっそりとした森の中であることを知った。


 サリーの記憶によれば、この場所は神殿の最深部であり、通常の道を真っ直ぐに行けば本殿にたどり着く。


 ローズは本殿のある方へと背を向けると、森の中へと駆けこんだ。


 出来るだけ遠くへと逃げなければならない。まずは神殿にばれないように神殿の領域から出ることが先決である。


 ローズは森の中を走り、森が暗くなっても、川辺を音を出来るだけ立てないようにしながら歩いていた。


 神殿の領域からは出られたかもしれないが、自分が今どのあたりを歩いているのかが分からずにいた。この森には獣はいるかもしれないが、ローズには魔法がある。多少であれば、防御も出来る。


 だからこそ休んではいられないと、暗い中を進んで行った。


 そして、夜が明ける前、人の集落らしきものをローズは見つけ、しばらく森の中から伺っていた。


 小さな村のようで、明かりも数える程度しかない。


 ローズは、夜が明けるのを木の少しばかりの休憩をしながら待った。



 

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