二十二話
揺れているのが分かった。そして、自分が今どうなっているのかも、漠然としながらも、理解していた。自分は体から弾き飛ばされて、そして今、魂の状態で小瓶に入っている。
エミリの姿が見え、そしてその声が聞こえた時にはお前も関係していたのかと怒りが込み上げてきた。それと同時に、自分がどうなるのかと言う不安を抱いた。
下手をすればこのまま、瓶の中で過ごすかもしれない。もしくはエミリに利用されて、人間の尊厳などない死を迎えるかもしれない。
怖かった。
そんな時、何かに導かれるように小瓶は転がりそして森の中を転がって川へと落ちた。
エミリの手の中にあるよりはましだろうと思ったが、水の中をさまよううちに、このまま水底に沈んで、そのまま死ぬのかと思うとジルの事が心配でならなかった。
ジルは大丈夫だろうか。きっと、自分の責任だと、自らを責めているに違いない。
帰らないと。
どうにかして帰らなければならないとそう思った時、水の流れが変わり、どこかへと導かれていく。
目や耳はないはずなのに、キラキラ光る水の中の世界は、とても美しく感じられた。そして、声が聞こえた。
女の子の声だった。
自分が自ら引き上げられ、そしてその少女の手の中にいるという奇跡に驚いた。
けれど、少女を見た瞬間にどうして?と疑問がたくさん浮かんでくる。
どうしてそんなに悲しい瞳をしているの?
どうしてそんなに苦しそうにしているの?
どうしてそんなに生気のない顔をしているの?
どうしてそんな微笑を浮かべるの?
その、どうしての原因を私はその後すぐに知る事となった。少女の体がぐらりと揺らぎ、倒れた瞬間に開けられた瓶の中にあった私の魂は、少女の体の中に引きこまれるようにして、胸の中へと吸い込まれた。
ぐらぐらと世界が揺れるような感覚を味わった後、私は瞬きをした。
吐き気が押し寄せ、体を起き上がらせると、おう吐を繰り返した。そして、泉の水を飲み、どうにか落ち着いた時、私は少女の人生を知った。
見ず知らずの少女の人生。それはあまりにも短く、それはあまりにも辛く悲しい人生。ほんのりと胸の中に、少女の魂のかけらを感じる。
暖かい。
けれど、それは弱り切っていて、小さな鼓動しか打たない。
「サリー・・・よく頑張ったわね。」
知らない少女。出会ったばかりの少女。けれど、その体の中に私、ローズの魂が宿っていた。
水面に映る少女の顔は、まだ幼さの残るもので、十五歳くらいだろうか。赤茶色の髪に、薄い茶色の瞳。そばかすのある少女の肌は白く、長い間太陽の日差しにあたっていないのが分かる。
サリーの記憶によれば、五年以上生き残った少女はいないと言われたようだった。私は、自分とサリーが生き残り、かつ、自由を得られる方法を必至に頭の中で考えた。
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